こんにちは、中根です。日々、仕事を終えて、お酒を飲みながらドラマや映画を見るのが、わたしのささやかな楽しみなのですが、疲れているときほど日常とかけ離れた設定の作品が見たくなるもので……。そこで今回は、ぐったりしているときも、あっという間にファンタジーの世界へといざなってくれる、人外生物×人間の恋愛を描いた作品をご紹介したいと思います!
ニュー・サブスク・パラダイス
奇才ウェス・アンダーソンの映画世界
愛知県出身。猿やムササビが日常的に出没する、のどかな村で生まれ育つ。慢性的な運動不足に悩まされているが、Netflixとの出会いによって、ますます家にいる時間が好きになってきている。ダイエットアプリと家計簿アプリで記録をつけることと、太らないつまみを開発するのが最近の趣味。
星から来たあなた
2014年に韓国で放送され、最高視聴率33.2%を記録したラブコメディの名作です。
物語は、1609年に宇宙人のト・ミンジュンが地球にやってくるところから始まります。
星へ帰る機会を逸した彼は、やむを得ず、地球に住み続けながら故郷に帰る機会をうかがうのですが、なかなかチャンスはめぐって来ません。そしてなんと、404年ものときをひとり孤独に過ごしています。
「わたしが望まぬまま、地球で400年も暮らしてきたように、己の望みとは無関係に起きることがあります。地球人はそれを“運命”と呼びます」
1話の冒頭に、ト・ミンジュンのこんなセリフがありますが、このドラマで描かれるのは、人が(このドラマでは宇宙人もだけど……)抗うことができない運命の話です。そして、この言葉をなぞるように、ト・ミンジュンは韓国のトップ女優、チョン・ソンイと宿命的な恋に落ちていきます。
宇宙人と女優のラブロマンスということで、そもそもの設定からして奇想天外かつドラマチックなのですが、脚本、映像、演出などすべてが奇跡的にかみあって、本当にきらきらとした作品です……! そしてなんといっても、主演の2人がめちゃくちゃ美しい……!
(宇宙人ト・ミンジュンを演じるキム・スヒョンは、まるで地球人じゃないみたいに顔が小さい! そしてトップ女優を演じるチョン・ジヒョンは、実際に韓国のトップ女優で、めちゃくちゃにスタイルがいい……! そしてなぜか、ひょうきんなシーンが盛り沢山! サービス精神旺盛な方なんですかね)
要所要所で、「You’re my destiny~♪」と歌う挿入歌が流れてくるのですが、この曲が良い意味でものすごくベタで、見る者の気分を心地よく高揚させてくれます! もはや、この曲を聞くと、オートマチックに涙腺が崩壊しそうになるレベルです(見たことある方は、わかると思います!)。
韓国のドラマは長いとよく言われますが、この作品も全部で21話あります(韓国のドラマにしては短いほう?)。しかし前世からの因縁、サイコパスの登場、女同士の友情、崩壊していた家族の再生……など、いくつものストーリーラインが次々と織り込まれていくので、最後までどっぷり、夢見心地で楽しむことができると思います……! ああ、もう一度見たいなあ~。
青い海の伝説
ふたつ目も韓国のドラマ。2016年に放送された、人魚と詐欺師の男性の恋愛を描いた作品です。『星から来たあなた』の脚本家と主演女優のチョン・ジヒョンが再タッグを組んでいます。
このドラマのいちばんの見所は、個人的には何といっても1話と2話! 人魚に扮し、海を泳ぐチョン・ジヒョンが、この世のものと思えないくらい美しいのです……。この画が撮りたくて企画したドラマなんじゃないかと思うくらい、最初の2話は美術など凝りに凝りまくっています(2話目以降もすてきなのですが)。
『星から来たあなた』もそうなのですが、登場人物のひとりひとりに細かな設定が施されていて、それが話の奥行き、面白さにつながっている気がします……!
ちなみに今、NETFLIXで話題の『愛の不時着』というドラマにどはまりしているのですが、脚本は『青い海の伝説』『星からきたあなた』と同じ、パク・ジウン氏が手がけているようです。どうりで、好きなわけだ……。『愛の不時着』にはまった方は、『星から~』と『青い~』もおすすめかもしれません!
シェイプ・オブ・ウォーター
2018年に公開された、ギレルモ・デル・トロ監督の作品です。
公開当時に劇場で見て、映像のあまりの美しさ、艶めかしさに「ああ、大きなスクリーンで見られてよかったなあ」とほくほく顔で映画館を後にした記憶があります。
そして先日の自粛期間中に、オンラインで、しかもスマホの小さな画面で見たのですが、ストーリーの力強さと、登場人物ひとりひとりの気高さに、画面の大小関係なく、また感動してしまいました……!
ヒロインのイライザは、アメリカの極秘研究所で清掃員として働いている女性で、子どものころから言葉を発することができません。とびきりの美人というわけでもないし、若くもない。
映画の冒頭、彼女の女性としての生々しさがしっかりと描かれるシーンがあって、ちょっとびっくりするのですが、それは、イライザはただの「おとぎ話に出てくる不幸な女の子」ではない、生身の女性なんだという、監督からのメッセージのようにも感じられました。
そんなイライザが、謎の両生動物である「彼」と恋に落ちていきます。
イライザも「彼」も、言葉を発することができないのですが、ふたりの間には濃密なコミュニケーションが成立。いつしか、お互いの外見にも生物学的なちがいにさえも囚われることなく、心を通わせていきます。
彼らは、「形」あるものに囚われません。
俗世に染まりきって生きている自分をかえりみると、ちょっとまぶしすぎるくらい……。
(他の登場人物も、友だちのため、自らの誇りのために行動できるかっこいい人たちです)
リアルとファンタジーの間を行ったり来たりする1時間57分。
見終わると、長い間泳いだあとのような、心地よい充実感に満たされる映画だと思います。
her/世界でひとつの彼女
2013年に公開された映画です。
舞台は、近未来のロサンゼルス。主人公のセオドア(演じるのはホアキン・フェニックス)は、手紙の代行執筆サービスをするライターとして働いています。
ふだんは、他人の感謝状や恋文を代筆しているセオドアですが、自身はというと、妻のキャサリンに別れを切り出されて、1年近くも別居を続けているという少し悲しい状態です。
なかなか、新しい恋をする気持ちにはなれないけれど、だれかにさみしさを埋めてほしい……。
そんな気持ちで過ごしていたある日、セオドアはAIを搭載したOS「サマンサ」を手に入れます。はじめは、「ただのAI」としてサマンサと接していたセオドアですが、膨大な量の情報からどんどん学習し、自分のことを深く理解するサマンサに、次第に親しい気持ちを抱いていきます。しかも、生身の女性よりも……。
パソコンが苦手なせいか、AIと人間の恋と聞いて、正直、見る前はそこまで気乗りしていなかったのですが、劇中で「サマンサ」の声を聞いた瞬間、そんな気持ちは吹き飛びました!
サマンサの声を担当したのはスカーレット・ヨハンソンです。彼女の声って、意外と低くてちょっとしゃがれていて、不思議な「手触り」「生っぽい感じ」があるんですよね(そしてもちろん、色っぽい!)。
AIなのに無機質じゃない。この声とずっと話していて、しかも自分を深く理解してくれたら、そりゃあ好きになっちゃうかも……。それくらいの説得力が、スカーレット・ヨハンソンの声にはあります。
あと、少し前まで、未来の話となると、つるつるしていて無機質で……という世界観の作品が多かったイメージがあるのですが、この映画は色づかいや美術がレトロフューチャーな感じです。それが、どこかなつかしい雰囲気で、この世界と地続きの話のような感じがあってすてきでした。
まとめ
人間×宇宙人、人魚、謎の生物、AI……と、人間×人外生物の物語ってけっこうバリエーションありますね。どの作品も、世界観のつくりこみがしっかりしていて、安心してエンタメを楽しめるところが、多分好きなんだなあと思いました。魔法がとけない感じというか……。
地上波のドラマも毎クール楽しみに見ているので、日本のドラマでも人間×人外生物の作品、やってくれないかなあ。