『くるみ割り人形 The Nutcracker』山本雅也、飯島望未サイン会レポート

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2021年11月20日表参道RANDSPACEにて、『くるみ割り人形 The Nutcracker』刊行記念として、Kバレエカンパニープリンシパルの山本雅也さん、プリンシパル・ソリストの飯島望未さんのサイン会が開催されました。コロナ禍以降、ファンの方々との交流の機会が減っているということもあり、会場には朝から長蛇の列が。多くの方がふたりへ温かいメッセージを届けてくれました。また会場には、『くるみ割り人形』公演で着る衣裳、舞台で使用する「くるみ割り人形」が展示され、ファンの方々には貴重な一時となりました。

サイン会を終えてみていかがでしたか?

想像以上にたくさんの方が来てくださって、とてもうれしかったです。子どもから大人まで。男性の方もたくさん来てくださいました。コロナ禍以降、ファンの方々と交流する機会が少なくなってしまったので、すごくパワーをもらいましたね。

山本

私はKバレエカンパニーに入って初めてのファンの方々との交流でした。普段は、SNSにメッセージを送ってくださるファンの皆様の言葉に励まされています。でも、実際に会ってお話しして、「応援してます」や「この間の公演観に行きました」など、直接言葉を聞けることが、とても励みになり、活力になりました。

飯島

『くるみ割り人形 The Nutcracker』の印象はいかがでしたか?

『海賊 Le Corsaire』、『白鳥の湖 Swan Lake』に引き続き、とても高品質な本でした。Kバレエの『くるみ割り人形』が忠実に再現されていて、キャラクターの感情やストーリー展開がわかりやすく、舞台美術などもとてもかわいらしく描かれています。舞台を観たことがない人でも舞台の映像が思い浮かぶのではないでしょうか。手に取ってしまえば、あっという間に最後までページが進んでいきます。絵を見るだけでも、どのシーンかイメージできるので、何度でも手に取れる飽きない一冊だと思います。

山本

「アートノベル」と名付けられていますが、絵本というより小説のようなしっかりとした内容で、加えて絵がとても色鮮やかでアーティスティックです。『くるみ割り人形』の理解を深めるにはとてもいいと思いました。文字の大きさも丁度良くて読みやすいですし、本当に老若男女問わず楽しめる絵本だと思います。『くるみ割り人形』という物語の魅力がぎゅっと詰まった一冊ですね。この一冊で幻想的な世界に誰でも入り込めるんじゃないかと思います。その中でも、私は特に各国の人形たちの踊りのシーンのイラストが好きです。Kバレエ版の振りつけや衣裳がそのまま再現されていて素敵です。

飯島

ダンサーにとって、バレエの物語を理解するのには、どんな意味があるのでしょうか?

バレエには歌や台詞がないため、マイムや身体表現で、物語を観ているお客様に伝えなければいけません。もちろん、ストーリーをあらかじめ把握してから観ていただくほうが舞台鑑賞を楽しめるとは思いますが、何の予備知識もなく舞台を観ていただくのも素晴らしいことだと思います。そうした純粋無垢な気持ちで観に来ていただいている方たちにも伝わるように、ダンサーはストーリーやキャラクターの感情を全て把握して、表現しなければなりません。こうしたアートノベルはダンサーにとっても、助けになるようなツールのひとつだと思います。

山本

役を演じる上で物語をきちんと理解することはとても大切です。物語ももちろんですが、その役柄やそのまわりのキャラクターたちとの関係性を理解することが重要です。物語や役をしっかり知ることによって、自分がどう演じたいかという方向性が生まれてきます。 私の場合は、物語や役を理解するにあたって、原作を読んで、役について調べます。それぞれのシーンや振付に沿って、その役の気持ちや状況を思い浮かべてから、踊りに落とし込み、表現しています。

飯島

『くるみ割り人形』公演で演じられる役についての抱負を聞かせてください。

『くるみ割り人形』は、クリスマスシーズンには欠かすことのできない作品のひとつです。しかも、チャイコフスキーの誰もが聴いたことがある音楽がたくさん含まれていますので、子どもから大人まで楽しめる作品です。バレエを初めて観る子どもや、バレエは難しそうだから何を観ればいいか迷っている方にとっても『くるみ割り人形』は親しみやすく、観た後には必ず幸せになれる作品です。今回、僕は「くるみ割り人形/王子」を演じますので、作品内で、物語をひとつにまとめる役目があると思っています。お客様全員が笑顔で帰路につかれるよう、幸せあふれる舞台にしたいです。

山本

今回私が演じる「マリー姫」というお姫様がどのような人物なのか、どのように物語を展開させていくのか自分で明確にビジョンをつくって役作りしていきたいと思います。観てくださる方々が温かい気持ちになり、キラキラと心がときめくような、踊りができるように精一杯頑張りたいです。

飯島
山本雅也(やまもとまさや)
プリンシパル
石川県生まれ。4歳よりバレエを始める。2010年オーストラリアバレエスクールに留学。13年ローザンヌ国際バレエ・コンクール第3位/プロ研修賞受賞。同年、英国ロイヤル・バレエ団へ研修生となる。 14年11月Kバレエ カンパニーに入団。16年11月ソリスト、17年9月ファースト・ソリスト、18年9月プリンシパル・ソリスト、20年1月プリンシパルに昇格。主な出演作は熊川版『白鳥の湖』のジークフリード/パ・ド・トロワ、『ドン・キホーテ』のバジル、『ロミオとジュリエット』のロミオ、『コッペリア』のフランツ、『ジゼル』のアルブレヒト、『ラ・バヤデール』のソロル、『くるみ割り人形』のくるみ割り人形/王子/花のワルツのソリスト/スペイン人形、『海賊』のアリ、『シンデレラ』の王子/王子の友人/鹿、『眠れる森の美女』の宝石、熊川振付『マダム・バタフライ』のピンカートン/ヤマドリ、『カルミナ・ブラーナ』の鳥、『ベートーヴェン 第九』第1楽章主演、『カルメン』のエスカミーリョ、アシュトン振付『ラプソディ』主演、『レ・パティヌール~スケートをする人々~』のブルーボーイ、『バレエ ピーターラビット™と仲間たち』のジェレミー・フィッシャーどんなど。初演キャストとしては、熊川振付『クレオパトラ』のプトレマイオス、宮尾俊太郎振付『Piano Concerto Edvard』がある。 17年8月Kバレエ ユース第3回公演『眠れる森の美女』にてフロリムント王子を踊るInstagram
飯島望未(いいじまのぞみ)
プリンシパル・ソリスト
大阪府生まれ。6歳からバレエを始める。2007年ヒューストン・バレエ団研修生、翌年16歳最年少で入団。19年3月、同団のプリンシパルに昇格。 主なレパートリーは『白鳥の湖』のオデット/オディール、『ロミオとジュリエット』のジュリエット、『マイヤーリング』のミッツィカスパー、『ジゼル』のタイトルロール、『シルビア』のタイトルロール、『くるみ割り人形』の雪の女王/クララ/金平糖の精、『眠れる森の美女』のリラの精/フロリナ王女、スタントンウェルチ振付『マダムバタフライ』のスズキ、『マリー』のマリーアントワネット、デヴィッドビントレー振付『アラジン』のプリンセス(ジャスミン)、ジョージバランシン振付『ジュエズ』のルビーのプリンシパルパート、『バロデラレジーナ』のプリンシパルパート、『バレエインペリアル』のソロパート、『フォーテンペラメント』の3rd theme Pdd、ジェロームロビンス振付『the cage(檻)』のNovice, その他多くのケネスマクミラン、ウィリアムフォーサイス、イリキリアンやスタントンウェルチ作品などで主要パートを踊る。また、様々なコンテンポラリー作品にも多数出演。 19年7月、熊川哲也が総合監修を務めたBunkamura30周年記念「オーチャードバレエガラ~JAPANESE DANCERS~」に出演。 21年に帰国し5月にKバレエ カンパニー『ドン・キホーテ』にゲストで主演。同年8月プリンシパル・ソリストとして入団。 19年、シャネルビューティーアンバサダーに就任。 Instagram

撮影:杵嶋宏樹

くるみ割り人形 The Nutcracker
芸術監修=熊川哲也 / 文=藤田千賀 / 絵=粟津泰成
2,200円(税込)