映画やドラマ、ウェブCMにミュージックビデオまで多岐に渡る作品を手掛け『日本映画監督協会』にも所属する、映像ディレクターの永田佳大さん。一言で映像ディレクターと言っても、実際にどのようなことをしているのか興味がありますよね!? ということで、今回は永田さんに、学生時代から社会人になるまで、そして今後の展望などを聞いてきました。フリーランスとしての活動経験もあったとのことなので、これからフリーで同じ職業を目指している人にも参考になるかもしれません!
『日本映画監督協会』最年少の映像ディレクター・永田佳大
ゴジラになりたかった少年が“監督”を目指すまで
フリーランスで厳しいキャッシュフローも、法人化で何かと便利に
前回は、キャリーケース一つで上京したところから、映像制作会社での仕事についてを聞きました。今回は、フリーランスになってから起業するまで、また日本映画監督協会に入ったきっかけなどを聞いていこうと思います。
フリーランスになった最初の方は、やっぱり大変だった。
私も同じだから、よくわかる! 初めは、みんなどこから仕事取ってくるんだろう!?状態で(笑)
そうそう。だから最初は、知り合いの人たちの繋がりで仕事させてもらったりとか、自分で映像制作会社に営業してたりしたよ。
もともと映像制作会社にいたのは大きいよね。
そんな感じでフリーランス2年目のタイミングで、大手タイヤメーカーから一年間継続のショートドラマの仕事が来て。
1年も契約してお仕事もらえたら、フリーランスにとってはかなり安心だよね!
それもそうだし、やっぱり名前のある会社の仕事をするといろんな人に見てもらえるし、仕事の質も変わるかなと思って。実際その案件をきっかけに結構大きい仕事が決まっていったからここらで「法人化しとくか」と思って。
フリーランスから法人化するのにはどんなメリットがあるの?
フリーランスって言わば個人だから、スタジオ代とかの費用を当日に現金支払いしなきゃいけないことが多いんだよね。それで、立て替えが重なるとキャッシュフローが苦しかったりして。
そっか、クライアントから報酬が振り込まれるまでは、スタジオとかに建て替えなきゃいけないのね。
そうそう。で、これが法人化すると請求書払いとか融通が利くようになるし、機材屋も使いやすくなるから、それならありかなと思って。
じゃあそのキャッシュフローがきっかけで、起業したって感じなんだ。
あとは、企画の段階から入れるようになりたかったから、起業することでできることが広がっていくかなと思って。
起業して一番最初にやった仕事って覚えてる?
うーん、ちょっとわかんない(笑)
というのも、フリーランスでも法人化してもやるのは自分一人だったから、会社にお願いしますっていうよりは、永田さんにお願いしますっていう感じだったんだよね。
じゃあ結局、起業はしたけど、フリーランスと仕事の面ではそんなに変わらなかったんだ。お金としては変わるけど。
そうだね。だからスタジオ代とかを請求書払いにしてくださいとか、法人でしか契約できない機材とかを契約したり、そういうことはできたかな。
毒舌プロデューサーからのありがたい推薦で監督協会に
監督協会に入ったのはいつ頃の話?
起業した年に、お世話になってるプロデューサーから「今度AbemaTVでドラマをやるから、監督をやらない? それで、そのドラマの実績を持って監督協会に入会しなよ。」って誘ってくれて。
すごいありがたい話! 日本監督協会のHP見ると、申し込みには協会員の推薦が必要だって書いてあるし、そのプロデューサーに感謝だね!
入会したら、まさかの最年少だったのは驚いたけど(笑)
監督協会の会合では、先輩監督方の話も聞けて、刺激になるね。
他に、何か監督として変わったこととかメリットってある?
自分は、映画やドラマを軸としてる監督だっていう印象を与えられることかな。
確かに、日本“映画”監督協会っていうくらいだから、企業VPとかよりも、ドラマとか映画っていうイメージがあるかも。
初めて会った人にはやりたい方向性が分かってもらいやすいかもね。監督協会の人だから任せやすいと思ってもらえるのも多少、あるのかも。ただ、直接仕事につながるかっていうと、それはまた別の話なんだよね。
なるほど。資格を持ってても自分から行動しないと仕事に繋がらないのと同じだね。
当時はひたすら企業VPを作ってるVPサイボーグみたいだったから、監督協会に推薦してくれた監督にも「君は本当に空っぽや、なんもないな」とか言われてて。
結構辛辣なことを言われたんだね(笑)
そうね。で、そんなことも言われたけど、翌年くらいから結構仕事は安定してきたんだよね。最初の頃は、知り合いの伝手でしかやってないのにディレクターですって名乗るのが恥ずかしかったんだけど、そういうのもだんだんなくなってきて。
永田監督自体が認められて、仕事が来るようになってきたんだ!
ロッククライミングをしてる感じだよね。ちょっとずつでも上の場所にいけるのを積み重ねていくっていう。でも、ずっとそんな感じだから停滞してるって感じる時もあった。ゲームでも、最初はすぐレベルアップするけど、だんだん難しくなってなかなか進まない状態になってる感覚。
わかる! ダイエットだと、最初の3キロ落とすのは早いのに、その後なかなか減らないみたいなね。でも停滞してたっていう割に、映画祭とかちゃんと出してなかったっけ?
海外でも上映された、地獄の『48時間映画祭』
去年、とりあえず映画を撮れる場所を探してて、武蔵野市が開催してるムービンピックっていう映画祭を見つけて応募したんだよね。
仕事で映像を撮る中で久しぶりに自主制作映画を撮ってみて、どうだった?
公開できる目処があれば、まだ自主制作とかも意味ができると思ったね。期限とかテーマが決まってると、ある程度見えてくるものもあって、すごい楽しかった。結果は市民賞は頂いたんだけど、失敗したなって思うことが多かったかも。
ちなみに、どんな作品を出したの?
武蔵野市を舞台に、不発弾を巡る若者たちの青春と葛藤を描いた「かぼちゃの馬鹿」っていう短編映画を出したよ。
素人目で見ると、そんな難しい内容を短編映画にできることがもうすごい!
そういえば、2年くらい前に『48時間映画祭』にも応募してた! ジャンルを抽選で決めて、キャラクターやセリフも全部考えて48時間以内に短編映画を撮るっていう、地獄の映画祭(笑)
なんかかなり大変そうだけど、青春の匂いがする映画祭だね(笑)
めちゃめちゃしんどかったよ(笑)
でもその時に、脚本家とのコンビネーションがつかめたのと、仲間を巻き込んでいく感覚がすごくあって、実際にそれで観客賞1位とセリフ賞を獲って、海外でも上映されることになったのが自信にもなったな。
海外でも放映されたの!? もう、世界の永田なのね(笑)
じゃあその頃は、結構映画祭にも出したりしてたんだ。
時間とお金が少しずつ安定してきたから、自主制を作る余裕もできてたんだと思う。
感性的なところで言うと、ムービンピックに出した「かぼちゃの馬鹿」は、意図は共感できるっていう評論がある反面、語り口が伝わりづらい部分があるっていう意見もあったから、チューニングが必要だってことを学んだかな。
周りからの意見を取り入れて、どこをプラスしてどこをマイナスするかっていうのを考えてるのね。
そう。だからそういうのもあって、最近ではSNSで見てもらいやすいようなVlog(動画ブログ)を始めたりして感性を磨くっていうのが自分の中のテーマでもあるかな。
なるほど、実際に新しい映像コンテンツを取り入れて、感性を磨いてるんだね。次回はそんな永田監督の今後の展望と、設立2年目にしてまさかの会社買収!?の話など、確信について迫っていきたいと思います。いよいよ最終回、お楽しみに!