こんにちは、笠原です。
修学旅行、みなさんはどちらに行かれましたでしょうか。
私は長野県出身なのですが、小学校の修学旅行は「東京」でした。
ただ東京といっても「首都・東京」ですから、名所だらけなのです。
私が通っていた小学校の修学旅行は、大きく分けて3つの目的地に分けて構成されていました。
1つ目、東京タワーや国会議事堂などの座学要素のある場所。
2つ目、浅草や上野など何種類かある中から自分が選んだ特定のエリア。
3つ目、東京ディズニーランド。(もはや東京じゃないんですが、それはさておき…。)
この2つ目の「特定のエリア」。
この中でも一番人気だったのが「浅草」でした。
浅草周辺では、浅草寺など古い街並みを楽しめるだけではなく、浅草仲見世通りに行けば数々の東京名物をいっぺんに食べることができます。
そんな下町情緒あふれる浅草の地で創業し、浅草名物としてのみならずテッパン東京土産としてよく知られている芋ようかんがあります。
ご存知の皆さんもきっと多いはず!
おいしいものを、もうひとつ…。
今回は「舟和」です!
おいしいものを、もうひとつ
レオニダスのチョコじゃないほう
舟和 概要
“芋ようかん”と検索すると結果の一番上に出てくるので、みなさんもよくご存知かもしれません。
芋ようかんといえば「舟和」、「舟和」といえば芋ようかん。
明治35年(1902年)、羊かん司「舟和」として、芋ようかん、あんこ玉、栗むしようかん、煉ようかんを販売する店として浅草一丁目にお店を構えました。
創業者である小林和助が、当時高級品だった煉ようかんの代わりに、「庶民が気軽に楽しむことのできるものを!」と考案したのが芋ようかんでした。これが現在まで親しまれている芋ようかんのルーツです。
…そんな「芋ようかんの舟和」ですが、他にも有名なある甘味の元祖なのです。
それがこちら!
みつ豆です。
実は初めて喫茶店でみつ豆をご提供したのが「舟和」だったことから、「みつ豆の元祖・舟和」としても認知されてきたようです。
当時は子供のおやつとされていた「みつ豆」に、色鮮やかなフルーツを盛り付けて提供。大人気となったそうです。
現在でこそ、和菓子屋さんに限らず多くの場所で見かけますが、舟和が先陣を切っていたとは!
その後、昭和27年には「舟和の芋ようかん」は東京都観光協会によって観光土産品に推薦されます。デパートへの出店を機に「舟和」は全国展開することとなり、押しも押されぬ人気芋ようかんとして不動の地位を獲得しました。
舟和 本店
今回取材協力をしてくださったのは、浅草にある「舟和本店」。
実は「舟和」は仲見世通りだけでも3店舗あり、浅草全体ではなんと7店舗もあります。
本店は仲見世通りから浅草寺に向かって左手の横道“新仲見世通り”と、“オレンジ通り”の交差する一画に位置しています。メイン通りに比べると落ち着いた雰囲気のエリアで、周りには老舗喫茶店が多く立ち並んでいます。
数年前に改装したという店内は、老舗でありながら明るくオープンな空間になっており、老舗和菓子屋といっても入りやすい雰囲気。
メインショーケースに箱詰めされた商品が並んでいますが、「舟和本店」では単品購入も可能。
ただ、バラ売り対応の可否や取扱商品のラインナップは各店舗ごとに異なっています。
もし何か特定の商品が気になっている場合は、公式ホームページで確認してから訪問するのが良さそうです。
一階にはショップ以外に、イートインスペースも設けられています。
このイートインスペースのすぐ横でソフトクリームやコーヒーなども販売されているので、これからの季節には良い休憩スポットになりそうです。
抹茶、バニラ、ミックスとありますが、やはり気になるのは芋ようかんソフト。
そして、階段・エレベーターで二階に上がると喫茶があります。
光が差し込む居心地の良い空間です。
大きいテーブルも沢山あるので、家族連れでもゆったりとできそうですね。
喫茶では店頭で購入できる舟和の看板商品に加え、喫茶限定メニューも多くあります。
もちろん、元祖・みつ豆、今も変わらずお品書きに載っています! ここでみつ豆の歴史に想いを馳せてみるのも風流ですね~。今回の訪問ではお腹がいっぱいで、残念ながらみつ豆を食べることはできませんでしたが、近いうちに絶対聖地巡礼して参ります。
その他に、季節限定メニューなどがあります。
詳細な喫茶メニューについては、公式ホームページに掲載されているメニューをチェックしてみてくださいね。
【公式:本店喫茶メニュー】
今回試食したもの…
本店喫茶では軽食から甘味まで、様々なおいしいものを注文することができます。
今回、本店喫茶にお邪魔させていただき、特に人気だという以下の商品を試食させていただきました!
・焼き芋ようかん
・あんこ玉
・焼菓子
まず「焼き芋ようかん」。
こちらは最近販売されるようになった喫茶限定メニューだそうです。
焼いただけでなく、バターも一緒に添えられています。
みなさん想像に容易いかもしれませんが…。バターとさつまいも、合わないわけがありません。芋ようかんの食感は残っているため、スイートポテトと同じなようでまた一味違い、新鮮です。
舟和の芋ようかんそれ自体に関しては、私自身も何度食べたか思い出せないほどなのですが、炙ってバターを載せるアレンジとは! シンプルながら、今まで考えたことがありませんでした。
この焼き芋ようかん、おうちでも簡単に真似することができるそうです。
公式ホームページでレシピも公開されています。芋ようかんの幅が広がりますね。
とはいえ、店頭でバーナーでカリッと炙ってもらった芋ようかんは香ばしく、魅力的です。
浅草に来ると、賑やかな仲見世通りの「舟和」でお買い物してしまいがちかもしれませんが…。是非、本店喫茶まで足を伸ばしてみてください!
続いて、二品目は「あんこ玉」です。
6種類あるあんこ玉の中から2種選ぶことができます。喫茶ではやはり基本の黒と白のあんこ玉が人気だそう。一方で、修学旅行生など若い世代は可愛らしい「苺」と「みかん」を選ぶことが多いのだとか。
全種類味見させていただきましたが、写真ではキュートな2色を選びました(笑)
フルーツ系のあんこだなんて珍しいですよね。「苺」は甘酸っぱく、つぶつぶ感が残っています。「みかん」は爽やかな香りであまり酸味のないまろやかなお味。全て、表面はプリッとキレのある寒天コーティングとなっています。
あんこ玉は基本の6種類に加え、季節限定でもう1つ販売されています。
4月の訪問時には「桜」が並んでいましたが、4月中旬から5月下旬は「メロン」だそうです。たいだい1ヶ月ごと変更になるそうなので、定期的に訪問したくなります。
気軽にお抹茶とお菓子が楽しめるのは、なんとも嬉しいかぎり。海外からのお友達をつれて訪問しても楽しめそう!
最後は「焼菓子」です。
こちらのセットでは、人形焼(芋・こし)、おいもパイ、すぐれもんの3種類から2種を選ぶことができます。
舟和なので芋っぽいお菓子を選びたくなるところですが、今回はあえて「人形焼(こし)」と「すぐれもん」を注文。
こし餡がお行儀よく収まっています。
このなめらかな舌触りは、看板商品の芋ようかんに通じるところがあります。
しっとりした生地のほんのり甘い感じ、これがまたコーヒーに合うんですよね~。
さて、次に「すぐれもん」のレポートをしたいのですが…。
実は当連載で「舟和」を取り上げさせていただくきっかけとなったのが、この黄色い丸いお菓子なのです。
舟和の商品のなかでも彗星の如く突如目の前に現れる、黄色いモダンなお菓子。
私自身も食べたことがありませんでした。
今回、舟和営業部の志村様にお話をうかがう機会をいただきました。
「すぐれもん」をいただきながら、「すぐれもん」の謎に迫ります。(贅沢!)
すぐれもん、食べてみた
みなさん舟和のホームページや店頭ショーケースを見てみると、「れ、れもん…?」と思われるのではないでしょうか。
実際、商品数が多い中で選ばれるのは「芋ようかん」や「あんこ玉」であって、あえて「すぐれもん」を購入するお客さんはあまりいないのだそう。また、実はこちらの商品は全ての店舗で販売されていないということもあり、ちょっとしたレア商品でもあります。
先ほど人形焼の隣に並んでいましたが、こちらが「すぐれもん」。
中はこんな感じ。
柔らかくしっとりしたクッキー生地に、レモンピールで香り付けされた白餡がくるまれ、その中心に酸味の効いたレモンジャムが入っています。
実際に食べてみると、「酸っぱい!!」と驚きます。
ちゃんと酸っぱいというか、しっかり酸っぱいというか…、しっかりレモン味がします。
「なんだそのコメント!」と思われるかもしれないのですが…(笑)
個人的に、レモン系のお菓子って“レモンピールの香り”に重きをおいた商品が多いと感じています。なので、酸味まできちんと表現されているレモンのお菓子に出会うと、思わず「おおっ」と感心してしまうのです。
この「すぐれもん」はレモンピールだけでなく、果汁も入っているのがポイントだそう。
レモンジャムにキュッとした酸味を託し、それを爽やかな香りのレモンピール入り白餡の中に入れ、最後は鮮やかな黄色の生地で優しく包んであります。
志村様曰く、夏場に冷やして食べるのも美味しいのだとか…。
今回冷やし「すぐれもん」を食べることはできなかったのですが、いつかきっと試してみます!
「すぐれもん」開発秘話
冒頭でも述べましたが…、舟和といえばまず思い浮かぶのは「芋ようかん」。そしてその次に名が上がる商品が「あんこ玉」でしょうか。
素朴な美味しさを売りにした和菓子がほとんどである「舟和」の商品ラインナップ。
その中でも「すぐれもん」はややユニークで、和洋折衷の雰囲気があるお菓子です。
元々は「すぐれもん」ではなく、「レポン」と言う名前の商品として1968(昭和41)年12月に登場。「和菓子と果物で何かを作りたい」という想いから、新商品開発が始まったそうです。
結構古くからある商品なんですね!
なぜレモンだったのかも、気になるところですが…。
特に選出理由は記録されていないようで、「たまたま選ばれたのがレモンだった」ようです。
この形をみると、私はコンビニでもよく見かける洋菓子の「レモンケーキ」を思い出すのですが、その「レモンケーキ」がブームとなったのが昭和48年〜昭和50年代半ばまでの約10年間というのが通説。つまり、「レポン」は「レモンケーキ」よりも早くデビューしていたということです。
「当時レモンはハイカラなものだったのかな?」と思い、国会図書館などで調査してみましたが、雑誌上で取り上げられているレモンは比較的馴染みある存在として扱われています。
ただ、当時のレシピ本などに記載されているレモンのお菓子に関しては、レモネード、レモンパイ、レモンケーキ、レモンヌガー、レモンチーズケーキetc….、といった洋風なスイーツがほとんど。もしかしたら“レモン味の和菓子”というのは珍しかったのかもしれません。あくまでも想像ではありますが…。
他に「レモンといえば…」で思い浮かぶのが、梶井基次郎の『檸檬』や高村光太郎の『れもん哀歌』。昭和の同時代の曲では、さだまさしの『檸檬』などがあります。
これらを振り返ってみると、レモンは馴染みあるフルーツでありながら、インパクトのある個体として表現されてきました。「レポン」にも、無意識にそんな意図が働いていたかもしれませんね。
話は戻り、この「レポン」という名前、当時商標登録が2件あったそうです。
食品部門で登録されていたのが今回特集したお菓子の「レポン」。もう一つ、その他部門に登録されていた「レポン」があるのです。
それがみなさんおなじみ、レモンの形をした石鹸です。
私も小学校でレモンの石鹸を使っていましたね~。懐かしい…。
あのレモン石鹸も「レポン」としてデビューしようとしていたようなのです。
その後、昭和50年代後半に「レポン」としての販売は終了。工場の機械の都合で中断となってしまったそうです。
平成18年に製造が再開できることとなり、カムバック。この際に新たな名前が検討され、「レポン」から「優れたもの→優れもの→すぐれもん」となりました。
こうして「すぐれもん」は、なんとも江戸っ子らしい名前で再デビューを果たしたのでした。
先ほど“ある種のレア商品”だと述べましたが、オンラインショップではいつでも「すぐれもん」を購入することができます。
・8個入り(税込1,555円)
・12個入り(税込2,332円)
製造から20日間お日持ちしますので、贈答用にもピッタリ! 舟和の箱に入った変化球、きっと喜んでいただけると思います。
「自分で食べたことないものを他人に渡すのはちょっと…」という方は…。
舟和本店2階の喫茶で飲み物と一緒に楽しむことができます。浅草に行く機会に一息つきがてら立ち寄るのもオススメです! また、一部の店頭では個包装で購入することもできますので、1つ味見してから決めても良いかもしれませんね。
おわりに
正直、この企画をしていなかったら食べる機会がなかったであろう「すぐれもん」。
やはり舟和でお客さんが購入する商品は、「芋ようかん」と「あんこ玉」がほとんどだそうです。
しかし「すぐれもん」、酸味が効いており、かなり美味しいです!
「いつも定番の手土産を買ってしまう…」そんな方にも、是非とも挑戦していただきたい逸品でした。
最近は気温も上がり、冷たいスイーツが恋しくなってきましたね。
このご時世、なかなかお出掛けするのも憚られますが、「すぐれもん」はオンラインショップでも購入可。
おうち時間に「冷やしすぐれもん」、楽しんでみてはいかがでしょうか。
おいしいものを、もうひとつ。
舟和 浅草本店(売店・喫茶)
新仲見世通りとオレンジ通りの角1階
TEL:03-3842-2781
営業時間:10:00~19:00(平日)、10:00~19:30(土・日・祝日)
※バール 10:00~18:00
定休日:無休