小松台東「シャンドレ」最速レポート!

この記事は約4分で読めます by 田中隆幸

松本哲也が主宰する小松台東の最新作「シャンドレ」が11月4日、こまばアゴラ劇場で開幕した。宮崎県に実在したスナック「シャンドレ」を舞台に繰り広げられる、夜の街に集う男たちの生き様を演じる。酒、女性、家庭とそれぞれが守るべきものを巡ってすれ違う感情や思惑が交差する。キャストの人物像や立場に応じた人生の価値観、倫理観を全編宮崎弁で表現する。

コロナ禍により大幅に変更を余儀なくされた新作公演

「シャンドレ」は2019年に公演が決まり、客演を招いた総勢10名の出演者で演劇を行う予定であった。

しかし、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、小松台東の劇団員(松本哲也、瓜生和成、今村裕次郎、音響の佐藤こうじ)で話し合いを重ねた結果、2020年6月末に劇団員だけの公演にすることを決断。

主宰の松本哲也は「公演自体を中止することも考えましたが、こまばアゴラ劇場さんもなんとか公演を打てるよう尽力してくれ、スタッフさんも背中を押してくれました。ならば我々も覚悟を決めて挑まねばと決意した次第です」と話す。その結果、松本哲也、瓜生和成は一人三役、今村裕次郎は一人二役を演じることになった。

宮崎の小さな工事業者で働く3人が軸となるストーリー

開演前、舞台に歌声だけが流れる。スナックでカラオケをしている客が歌っているのだろうか。大江千里の「ありがとう」を歌うその人物は、随分と酒が回っているようだ。曲が終わり舞台に灯りがともると、松本哲也が演じる町村が自室で酔いどれのまま布団の上にうつ伏せになって寝ているシーンで「シャンドレ」は幕を開ける。朝目覚めると作業着に血の跡がついている。記憶を取り戻せないまま、舞台は暗転する。

松本哲也演じる町村の作業着のシャツとズボンに血の跡が!

舞台はその後、職場の詰所に転換する。町村の同僚である長友、上司の鈴木部長は3人で会話を交わすが、どこかいまいち噛み合わない。昼休みが終わると、町村と長友はそろって午後の現場へと移動していく。

左から、今村裕次郎が演じる長友、町村、瓜生和成が演じる鈴木部長
心ここにあらずといった表情の鈴木部長
愛妻弁当を食べながら、2人と会話をする長友。

シャンドレに行きたい町村とそうではない長友

午後の現場を終えて、会社へ戻る営業車。ラジオから流れる曲に合わせてぼんやりと口ずさむ町村。それが終わると、運転手を務める長友に町村はからかうように話しかける。どうやら、長友はシャンドレへ行くことをためらっているようだ。しかし、長友は断ることができずにシャンドレへ渋々と足を運ぶことになる。

ふんぞり返って長友にちょっかいを出す町村。
楽しいはずのシャンドレでの時間だが、長友は浮かない顔。
鈴木部長もシャンドレに。

シャンドレ店内で見え隠れする男たちの心情

シャンドレ店内のシーンでは、主要人物3人以外の登場人物が現れる。前述したように、独り2役、3役を演じているため、4人以上でやり取りするシーンは観ることができない。しかし、その制限された状態が観客の想像力をかきたて「明確にならない部分」を深く感じとりたい気持ちにさせられる。

昼の顔と夜の顔、男と女。異なる生活を送っているそれぞれの人物は多くは語ろうとしない。多くは語ろうとしないからこそ、頭の中でどんどんと心の中を探りたくなってくる。実際にシャンドレのカウンターに座って、彼らのやりとりに聞き耳を立てているような気分になってくる。この非日常と日常の境界線をあいまいにさせてくれる没入感と緊迫感こそが、2020年の小松台東が私たちに投げかけるメッセージなのではないだろうか。

そのメッセージを受け取るために、こまばアゴラ劇場に足を運んでいただきたい。公演は11月15日(日)まで。

シャンドレの外には、森崎健康演じるキャップの男の姿が!
公演情報

「シャンドレ」

2020 年 11 月 4 日(水)〜11 月15日(日)
こまばアゴラ劇場
作・演出:松本哲也
出演:瓜生和成 今村裕次郎 松本哲也/森崎健康(KAKUTA)
チケット料金:3,500円(全席自由)

小松台東WEBサイト
https://komatsudaihp.wixsite.com/topmenu

問い合わせフォーム
https://komatsudaihp.wixsite.com/topmenu/contact

開演時間の1時間前までこちらのフォームからご予約いただけます

こまばアゴラ劇場

〒153-0041 目黒区駒場1-11-13
TEL 03-3467-2743
http://www.komaba-agora.com/access

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執筆
福岡市出身。千葉市を拠点に会社役員とライター、2足のわらじを履くパラレルワーカー。 千葉は第2の故郷。趣味はプロ野球、Jリーグ、プロレス観戦。
    構成
    303 BOOKS(株式会社オフィス303)代表取締役。千葉県千葉市の埋めたて地出身。バイク雑誌、パズル雑誌を経て、児童書の編集者になる。本は読むものではなく、つくるものだと思っている。
    撮影
    千葉県出身。どんな趣味も一年であきてしまう45歳。最近始めたジョギングにいたっては冬を越せるか心配中。チーバくんとパンダが好き。
    撮影
    某研究学園都市生まれ。音楽と東京ヤクルトスワローズが好き。最近は「ヴィブラフォンの入ったレアグルーヴ」というジャンルを集めて聴いている。