ニュー・サブスク・パラダイス

愛だろ、愛

この記事は約9分で読めます by 野田浩樹

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奇才ウェス・アンダーソンの映画世界

こんにちは、野田です。

前回適当なことを書きなぐって仕事をしたつもりになっていたら、「今度は恋愛物でやるのはどうよ?」とお題を出されてしまいました。そうですね、確かにこの年まで恋愛物の名作も数多く見てきましたよ、ええ。5、6本くらいパパっとリストアップできますね。ローマの休日とか…あとは…ローマの休日でしょ、それから…ローマの休日ですかね。

うん、無理だ、やめとこう。

と思ったのですが、意外と社内ではおもしろがられて「やればいいじゃん」の声が。社内イジメそこまで期待されちゃあしょうがない。やってやろうじゃないですか! しかしこれって今更ローマの休日の紹介とかは誰一人期待してないですよね。やっぱりアニメなんですかねえ。私の場合、実写映画はジャッキーチェンとかチャップリンとかに偏ってるからなあ…そんなわけで、アニメの恋愛物に絞って紹介してみました。一部恋愛物に対する独自解釈も混じってるけどそこはご愛敬ということで。

時をかける少女

時をかける少女
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2006年の作品。恋愛物というより青春物では? と思う人もいるかもしれませんね。ま、今回は恋愛物ってことで。これをアウトにされたらただでさえ少ない引き出しが空っぽになっちゃうんでね、目をつぶってください。

細田守監督の出世作として有名で、当初は上映館が非常に少なかったのですが、口コミで少しずつ広がっていき、最終的には100館を超えたようです。

私も評判を聞いて見に行ったのですが、映画館を出てまず思ったのは「これは映画館で観たことを後々自慢できるな」でした。有休で観に行ったので、「会社のみんなが働いている時にこんな隠れた傑作を観た」という謎の優越感もありましたね。

内容はタイムリープ物で、ギャグ・友情・恋愛・青春と全てが詰まった作品です。プリンやらカラオケやらの欲望全開シーンが突如としてシリアスになり、そして怒涛の後半とまったく飽きさせない展開が素晴らしい。

終盤のまことがジャンプするシーンなんかもうね、心の中で「行けーーー!!!」と叫んでますよ、間違いなく。ラストが切なくて、エンドロールでガーネットがかかった当たりで涙腺崩壊するおっさんが続出したとかなんとか。

実写版の主人公(原田知世さんが演じた子)がまことの叔母さんとして出てくるのですが、まだ結婚してないんですよねー。本編ラストも切ないですが、こちらも密かに切ない。DVDが発売された時は、光の速さでポチりましたよ。間違いなく名作です。

化物語

化物語
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2009年の作品。「ばけものがたり」と読みます。恋愛物というか化け物の話というか萌えアニメというか微妙なラインだとは思いますが、今回は恋愛物ってことで。先に言っておきますがこんなんばっかです。

監督はまどかマギカで有名になった新房監督。非常に特徴的な演出をする監督さんです。監督さんの癖なのか、シャフトという制作会社の癖なのか、あまり詳しくないのでどっちがどっちかわからないのですが、同じようなオブジェクトがずらーっと並ぶシーンを多用するのですぐにわかります。そのくらい特徴的なので合わない人にはとことん合わないでしょう。

そしてこのアニメは原作が西尾維新氏。この人も非常に特徴的な文章を書くのではっきり人を選ぶ作家さんです。この二人が結びついた結果、アニメなのに会話がほぼ全て、という会話9割くらいの中にシュールな演出が頻発するという、非常に癖の強いアニメです。

そんな作品をなぜ紹介するかと言うと、完全に自分の趣味何だかんだで2000年代を代表するテレビアニメの1つだと思うんですよ。2000年代ろくにアニメを見てない私が言うのもなんですが。商業的な話をするとブルーレイディスク(以下BD)がテレビアニメの新記録を作ったくらい売れましたし。たしか。

作品の内容は、主人公が化け物と関わりやすい体質(?)で、化け物と関わってしまった女の子たちの問題を解決していくお話です。前日譚や後日譚が色々あるので、それを踏まえた思わせぶりなセリフや映像があっちこっちにありますが(一話オープニングとか)、それは全く解決しませんので気になる人はそっちを見てね、的に作られています。

私はもちろん気になったので小説を買って読んでBDも買いそろえ、オープニング・エンディング曲のCDまで買うという講談社の手のひらの上で踊らされるファンの鑑的な行動をしました。BDのキャラクターコメンタリーの出来がね、最高でした。

で、今回これを書くために見直してて思ったのですが、忍野さんは6人目(7人目?)のヒロインだったんだなあと。おっさんなのに。

非常に癖の強いアニメですが、良かったら見てみてください。

超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか

超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか
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1984年の作品。「ロボット物じゃねーか!」と思った人もいるでしょうが、制作の方が「三角関係をやりたかったが、そのままやると恥ずかしいのでロボットを出した」と言ってたのをどこかで読んだ記憶があるので、今回は恋愛物ってことで。テレビ版を知らなくてもなんとかなるとは思いますが、マクロス=超巨大戦艦=中に町がある、くらいは知ってた方がいいかも。

監督は河森監督・石黒監督が共同でしてます。内容はロボットアクションと三角関係、これにつきますね。アクション部分は「板野サーカス」「マクロスミサイル」なんて単語が作られるくらい濃い内容で、これを手書きで作成してるのが信じられないくらい動きまくり、ミサイル撃ちまくりです。三角関係の方は、当時の男子がみんな「大人になったらこんな人生が…」と妄想したんじゃないかってくらい男性の妄想がさく裂したような甘~い内容です。

で、大人になるとその内の99%の人は自分が一条輝(主人公)じゃなくて柿崎(部下のモブ)だったことに気が付くんですけどね。大人になって柿崎の散り様を思い出すと自分に重ねちゃって涙が止まりませんよ、ほんと。

ちなみにこの柿崎、テレビ版でも映画版でも散っていくのですが、それぞれシチュエーションが異なります。映画版だとわりとあっさり散っていくので気を抜いてると見落とす心配があるくらい。それ込みで泣けます。

ちなみにちなみにアーケードゲームでバンプレストさんからもマクロスのシューティングゲームが出ているのですが、これの(たしか)4面の冒頭で味方機が横を飛んでるなと思ったらいきなり爆散して「は? 今の何?」「ひょっとして柿崎か!?」「お前ゲームの中ですらあっさり散るのかよ…」と、泣けばいいのか笑えばいいのかわからなくなったのはいい思い出です。

三角関係の話が途中から柿崎の悲話になってるな…。

トップをねらえ!

トップをねらえ!
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1988年の作品。『新世紀エヴァンゲリオン』の庵野監督の初監督作品です。いや、これを恋愛物に含めるのはさすがに…と思った人も多いでしょう。狭義では確かに無理でしょう。

しかしですね、3話の前半とか5話とか、全6話中2話も恋愛関係の話じゃないですか。5話なんか話の中心ですからね。なので広義では恋愛物に入るんじゃないかと。ワンチャンあるんじゃないかと。ワンチャンね。段々苦しくなってきた。

この作品はOVA(オリジナルビデオアニメ)と言って、当時はビデオのみの発売というマニア向けの物でした。内容はほぼ全編パロディで、これは当時は珍しい事だったんじゃないかと思います。

これの3年後にホットショットっていう映画が公開されて、パロディメインの作品というのが一般にも広く認知されたんじゃないかなあ。タイトルからして映画『トップガン』と漫画(アニメもあり)『エースをねらえ!』からのパロディですから、かなり徹底してます。

そのパロディ部分に関しては、正直今の若い人はかなり厳しいんじゃないでしょうか。「ジャコビニ流星アタック」とか「バスターコレダー」とか、普通の若い人は元ネタがわらかないでしょう。ちなみに『アストロ球団』のジャコビニ流星打法と『マッハバロン』のマッハコレダーですね。こんな感じで、元ネタを知っていれば知っているほど楽しめる、シュールなギャグ作品です。

じゃあ元ネタを知らなかったらどうかと言いますと、なんと普通の熱血SFロボットアニメになるんですねえ(恋愛物とは)。4話のガンバスターの発艦シーンとか、5話の「お願い、カズミ、戦ってーー!!」からの一連の流れとか、熱いシーンがてんこ盛りです。庵野監督はロボット物定番のシーンを盛り上げる演出が本当に上手いですね。

個人的には熱血ロボット物だと庵野監督と今川監督(『機動武闘伝Gガンダム』の監督さん)が二大巨頭ですね。あー、今石監督(『天元突破グレンラガン』や『プロメア』の監督さん)もいるか。じゃあ三銃士ってことで。とにかく熱血物が好きな方は必見です。

SF方面で言うと、縮退炉やらエーテル宇宙論やら、そこらへんが好きな人にはたまらない話もたっぷり。ようするに古いタイプのオタクにはたまらないアニメってことです。

もはや恋愛関係なくなってる…。

機動戦士ガンダムF91

機動戦士ガンダムF91
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1991年の作品。富野監督の劇場版ガンダムです。これのどこが恋愛物なんだよ!? と、思った人。気持ちはわかります(この流れ何度目だ?)。しかしですね、ラストでセシリーをシーブックが見つけるシーン、これって普段は戦争の道具になっているニュータイプが珍しくその能力を本来的な使い方をした、感動的なシーンだと思うんですよ。ファーストガンダムのラストに通じるというか。

そして二人が抱き合ったところでかかる森口博子さんの『ETERNAL WIND』がもう最高。これは恋愛物です。誰がなんと言おうが私の中では恋愛物です。ああ、ついに最終兵器を発動してしまった…。

実はこのガンダム、商業的には失敗だったようで、当時もファンの間ではあまりいい評判を聞きませんでした。個人的には好きだったので地味に布教活動をしていたのですが、ここにきてちょっと再評価してもいいんじゃないかと思い始めたのです。

劇中に「バグ」と呼ばれる自動操縦の兵器が出てきて人々を殺戮するシーンがあります。で、「自分で血を流さない戦争は人類を堕落させる」というセリフが飛び出すのですが、当時は「何を言ってるんだろう? 危なくない方が兵士的にはいいんじゃないの?」と思ってました。

これを現代に当てはめてみると、ドローン兵器がまさしくバグなんですよ。アメリカ空軍の兵士はドローンを使用して爆撃を行い、定時になるとサラリーマンのように帰宅する、という話を聞きました。

なんだかシュールな話だなーと思っていたのですが、よく考えるとまさしく劇中の「自分で血を~」って話につながるのではないかと。ドローン兵器が世に出る20数年前からこういう話が出てくる、これが富野監督なんですよ(ドヤァ)。

ちなみにガンダム物としては、メカデザインがちょっと…敵の鉄仮面もねえ…最後の分身はどうなのよ、と不満もあります。ありますけどね。それでもそれらをひっくり返すパワーを持った作品だと思うのです。ガンダムファンはぜひ一度見てみて欲しい作品。

今回はこのくらいで許してください(土下座)。恋愛物とか厳しいです。限界です。作品紹介を読み直すと、恋愛に触れてる物が少ないし。

ネタがなさすぎて『巨神ゴーグ』を恋愛物って言い張って「ゴーグ(ロボット)×ゆう(主人公)のカップリングでワンチャン恋愛物」って書いてたんですがさすがに無理がありすぎたので削除しました。恋愛の欠片もなかったです。こんな駄文ですら2週間くらいかかって書いてます(本当に)。

結局紹介した5つの作品のうち、ロボットアニメが3つも入ってるし。次回のお題が何かは知りませんが、もうちょっと自分の得意ジャンルで書こうと思いました。本気で思いました。

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クレジット

執筆・編集
東京生まれ。ブルーベリーを育てる事と動物が好きなナイスガイ。世界ネコ歩きは毎週欠かさず見ている。プログラマーをしていたはずが、なぜか47にして営業に。
イラスト
1994年、福岡県生まれ。漫画家、イラストレーター。第71回ちばてつや賞にて「死に神」が入選。漫画雑誌『すいかとかのたね』の作家メンバー。散歩と自転車がちょっと好きで、東京から福岡まで歩いたことがある。時代劇漫画雑誌『コミック乱』にて「神田ごくら町職人ばなし」を不定期掲載中。