こんにちは、野田です。
書店クエスト
47歳の新米営業
東京生まれ。ブルーベリーを育てる事と動物が好きなナイスガイ。世界ネコ歩きは毎週欠かさず見ている。プログラマーをしていたはずが、なぜか47にして営業に。
加藤にくっついて書店さんをまわって2週間ほどたったある日のこと。
野田さん、そろそろソロデビューを考えましょうか。洒落じゃなくて(笑)
愛知県三河地方出身。ホームセンターから出版業界へ。様々なジャンルの営業を経験し303 BOOKSへ。何よりも書店に入った時の「本の香り」が好き。
(反応しては駄目だ、スルーするんだ)
そうですね、最初はどこがいいですかね?
(スルーしただと? 多少はできるようだな・・・)
地元とかどうですか?
そうですね、最初は地元からにしましょうか。地元は温かいイメージがありますし
もちろん地元が温かい保証や理屈などありません。温かい対応だといいなー、という願望です。現実逃避とも言います。もちろんもちろん加藤の心の声は聞こえていません。こんな事を考えてそうな顔をしているなー、と思っただけです。脳内妄想とも言います。
そんなわけで地元の書店さんでソロデビューですよ! 普段は帰宅時にしか乗らない電車に乗って地元まで行き、普通だったら土日にしか行かない書店さんに入ります。ちょっと不思議な気分ですね。書店員さんを見つけて絵本の担当者さんに取次をお願いし、そして始まるソロ営業。挨拶をして名刺を渡して弊社の説明を簡単に話し始めた時のことでした。
弊社は元々編集プロダクションでして、主に児童書を制作しておりまして・・・
児童書を・・・どういった本ですか?
例えば図鑑の「○○○○」ですね。
某出版社から出ている人気の図鑑シリーズの1冊を挙げました。この図鑑は知名度抜群なので、おそらくご存知なのではないでしょうか。自信を持って名前を出せます。
他には?
えっ・・・
今まで加藤とまわった書店さんでは、ここで「他にはどんな本が?」と聞かれたことはありませんでした。想定外の質問でした。とっさに本の名前が出てこず頭は真っ白です。
えっと、荒俣宏さんの本とかですね・・・
真っ白な頭でとっさに出てきたのは2007年発行の本でした。しかも正式名称が出てこないというね。
古いよ!
と、会社に戻って報告したら社長に突っ込まれました。あげたのが12年前の本じゃね、しょうがないですね。そして書店員さんの目が完全に変わってしまいました。
(自分の会社の本もきちんと説明できずに何しに来たの?)
(心の声が聞こえる! 脳内妄想なのにやたらとリアルなんですけど!!)
こんな会話(脳内)があったとかなかったとか。
ソロデビューは思いっきりやらかしてしまいました。会社に戻って反省会をすると、加藤から質問が。
私が書店さんをまわった時に会社案内を見せてたじゃないですか。あれはどうしたんです?
持っていくのを忘れました・・・
ベテラン営業マンが示してくれたお手本をものの見事にスルーした形になりました。もう散々です。しかしですね、ここで落ち込んでいても始まりません。切り替えていこうの精神です。同じミスをしないよう、会社案内を持って、会社の出版物も念の為チェックして。説明がやけに早口になっていたのでそれも直して・・・人間緊張すると早口になってしまいますね。
そんなこんなでまた書店さんに営業です。違う書店さんですが、今度は失敗しないように・・・。挨拶をして名刺を渡して弊社の説明をして、お忙しいようだったので注文書だけ渡して帰ろうとしたら、ちょっと考えこんでます。これはもしかして・・・?
とりあえず3冊お願いしようかしら。
え、本当にいいんですか!?
注文をいただいて何が「本当にいい」のか自分でも意味不明なことを言ってしまいましたが、初めて注文をいただきました! そう言えば加藤が「注文取れたらドヤ顔していいですよ」とか言ってたな。ここは一つ、ドヤ顔で加藤と社長に報告です。会社のビジネスチャットアプリを開いて、と。
受注しました(どやあ)
と書き込んだところで気が付きました。注文していただいた担当者さんの名前を忘れてしまった! まさか注文をいただけると思っていなかったので、頭の中が真っ白になって、必死に記憶した書店員さんの名前が飛んでしまいました。注文に影響がないとはいえ、これはやらかしたなあ。「どやあ」とか書き込んだ直後ですが、報告しないとまずいなこれは。
そして書店員さんの名前を忘れるという・・・
そんなオチはいらない。
確かに。オチ不要。
同じミスはしない(新たなミスを生み出して行くスタイル)