絵本作家・長田真作×俳優・松坂桃李『そらごとの月』『ほんとうの星』刊行記念対談

二人の出会い。そして絵本の可能性について

この記事は約6分で読めます by 常松心平

2016年のデビュー以来、30冊を超える絵本を世に送り出してきた長田真作さん。
このたび、新作絵本『そらごとの月』『ほんとうの星』が、303BOOKSより2冊同時刊行となります!
その発売を祝し、作者の長田さんと俳優の松坂桃李さんによるスペシャル対談が実現しました!
第二回目は、お二人の出会いや、他業種へのあこがれなど、つれづれなるままに語っていただきました。

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絵本作家・長田真作×俳優・松坂桃李『ほんとうの星』『そらごとの月』刊行記念対談

平成生まれ、30代。最近気になる節目の話

長田真作(ながたしんさく)
広島県出身。2016年に『あおいカエル』(文・石井裕也/リトル・モア)で絵本作家としてデビュー。『きみょうなこうしん』『みずがあった』『もうひとつのせかい』(以上、現代企画室)、『風のよりどころ』(国書刊行会)、『すてきなロウソク』(共和国)、『とじてひらいて』(高陵社書店)、『いっしょにいこうよ』(交通新聞社)など多数の作品を手がける。
松坂桃李(まつざかとおり)
1988年生まれ、神奈川県出身。2008年に男性ファッション誌の専属モデルオーディションでグランプリを獲得し、モデルとしてデビュー。2009年、『侍戦隊シンケンジャー』で俳優デビュー。それ以降、数々のドラマや映画に出演。映画『新聞記者』(2019年)で第43回日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞。公開待機作として映画『あの頃。 』、 『空白』、 『耳をすませば』を控える。 

「しんさく」つながりで出会った二人

初めて会ってから、もう何年くらい経つのかな? 5年くらい?

長田

そうだね。それくらいだね。

松坂

出会いに関しては、もう一人名前を挙げなきゃいけないよね。

長田

そうだね。満島真之介ね。

松坂

たしか、桃李くんと真之介が先に作品で出会ったんだよね。

長田

そうそう。真之介が「ものすごく仲が良い真作っていうやつがいるんだよ」と。ちょうど、僕がそのとき真之介と一緒にやっていた作品の役名が「晋作」だったんだよね。

松坂

漢字こそ違えどね。あれ、なんていう作品だっけ?

長田

『風俗行ったら人生変わったwww』だね。

松坂

あー!思い出した!

長田

役名が一緒だったから「へー!」みたいな話から「じゃあちょっとご飯食べようよ!」という話の流れになり、そこで出会ったんだよね。

松坂

「左利き、一緒だね!」なんて言って。なつかしい。

長田

あー、そうそうそうそう。

松坂

僕、あの時まだデビューしてなかったからね。「これから出すかな?」という時で。

長田

まだデビューしてない時かあ! 
あのときに、スマホで作品の写真を見せてもらったんだけど、「めちゃくちゃうまいな、これ!」とびっくりした覚えがある。たしか、墨で描かれた作品だったと思うけど。

松坂

そんな事もしたんだっけ?

長田

うん。見た見た。それで、「いや、この絵のタッチ、すごい好きだな!」と思いながら見てた。絵本業界に対して、ものすごく熱く語ってくれたよね。

松坂

そんな事した!?  まずいなあ。

長田

えぇ。言ってましたね、言ってましたね。

松坂

あのー、反省します笑。

長田

ほかの世界へのあこがれ

真作くんて、今回はどれぐらいで絵本を仕上げたの?

松坂

うーん。一冊あたり、一週間弱かなあ。

長田

普通どれくらいかかるものなの?

松坂

ものすごく速いです。1年以上かかることもあります。

編集部

やっぱり速いですよね。いや~、すごい!

松坂

いやいや。だけど絵本は、ひとり創作だからね。ひとりで監督やって、衣装を着せて、背景つくって……。すごくミニマムだよね。それが、僕の性には合っているんだけど。でも、だからこそ、映画みたいな集団創作というのは、すごくあこがれがあるんだよね。
桃李くんはどうなの? 役者以外の世界に興味というか、おもしろそうだなと思うことはある?

長田

お芝居以外だと、声の仕事かな。やっぱり、声優さんはすごいなと思う。例えば山寺宏一さんとか、一人で何種類ものバリエーションをもっていて、その中からぴったりくるものを選んで表現されるじゃない。
しかもそこから、音の低い高いを選んで喋ったり、その音程で歌も歌ってしまったり。

松坂

それすごいなー。

長田

以前にアフレコをやらせてもらったこともあるんだけど。アフレコって、「キャラクターの表情」がもう決められているわけ。それに合わせて声を乗せていくという、「不自由に見えて自由度が高そうな感じ」が、すごくおもしろそうでわくわくしたの。

松坂

うんうん。なるほど。

長田

でも畑が違うから、やっぱり技術もないし。「ここからどうやって工夫をしていけば、映像で表現されている世界を魅せる事が出来るんだろう?」といろいろと考えて。そういうおもしろみがあったんだよね。

松坂

アニメは、少し前だと漫画が原作で、そこからどんどんアニメになって……という動きがわりとメインだったのが、最近はアニメオリジナル作品ですごいのがポンポン出てきているよね。

長田

ねぇ! すごいと思う。

松坂

まだまだ発掘途上!? 「絵本」の世界の可能性

そういえば桃李くん漫画も好きだよね?

長田

そうだね。いろいろと……。昔、マンガ喫茶に通っていたころはそこで全巻読んで、好きな話が載ってる巻だけ買ったりしてたかな。『ONE PIECE』だけはそろえてるけど。

松坂

あ、僕、『ONE PIECE』の絵本化の仕事したよ!
題名は『光と闇と』っていうんだけどね。

長田

うんうん、あれ、すごいよね。どういう経緯でそういう事になったの?

松坂

あれはね、『ONE PIECE』が20周年のときだったね。映画化はされたことがあったけど、絵本化は、20年間やった事がなかったんだって。今回発売する絵本はPVをつくったんだけど。それもすごく珍しいことで。
絵本の業界って、本当に、まだやられていない事がたくさんあるんだよね。

長田

そうなんだね。

松坂

『光と闇と』のときは、絵本化するからには、漫画をアニメ化するのとは全くちがうアプローチができないかな、と思って。
絵本化ならではのオリジナリティーを探ったね。まあ、そんなこんなで考えを巡らせて、「ONE PIECEの闇の部分を暴いてやろう!」とね、思い切って描いてみたんだけど。OKが出たのはびっくりした。

長田

いや、かなり思い切ってやったから、むしろそれがハマったんじゃないの?

松坂

そうだったらいいんだけど。僕的にはこの時期から、桃李くんもふくめて、同世代の人たちを強く意識して描いている感じがあったんだよね。

長田

そうなんだ!

松坂

今回の2作品は、その感覚がより一層強くなっている気がする。
同世代というのはつまりは自分、自分自身という存在が、描く上で大きなウェイトを締め始めたってことなのかもしれない・・・。

長田

次回は、松坂さんの代表作のひとつ、『孤狼の血』について語っていただきます。この作品、長田さんの出身地である広島県呉市で撮影されたのだそう。どんなお話が聞けるのでしょうか?

構成:常松心平、中根会美、撮影:土屋貴章、水落直紀

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絵本作家・長田真作×俳優・松坂桃李『そらごとの月』『ほんとうの星』刊行記念対談

呉市で撮影された映画、『孤狼の血』

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編集部
303 BOOKS(株式会社オフィス303)代表取締役。千葉県千葉市の埋めたて地出身。バイク雑誌、パズル雑誌を経て、児童書の編集者になる。本は読むものではなく、つくるものだと思っている。