おもちゃ作家・佐藤蕗さんのクリエイションの狭間 インタビュー#1

Twitterでバズったら

この記事は約5分で読めます by 宗我部香

身の回りにある物を使った、楽しいおもちゃ作りを提案する佐藤蕗さん。2020年11月に2冊目の著書『ふきさんのアイデアおもちゃ大百科』(偕成社刊)が発売されました。おもちゃの楽しい話を聞こうと思ったら、おもちゃにまつわる興味深い話が続々……。そこで飛び出した「バズることについて」。一般ピープルの私にとって「バズる」ことは無縁の生活。「バズるってどういうことなんだろう?」、「ていうかどうやったらバズるの?」。第1回目はそんなおはなしです。

佐藤蕗(さとうふき)
手づくりおもちゃ作家 
子育てをしながら作り始めたおもちゃが反響を呼び、雑誌やウェブ、テレビ、ワークショップなどで活躍。9才と2才の男の子のお母さん。著書に「ふきさんのアイデアおもちゃ大百科」(偕成社刊)がある。
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最近Twitterで蕗さんのおもちゃがバズっていると聞きました。バズった時ってどんな気持ちですか?

宗我部

こわいですよ。

佐藤

あら、うれしいよりこわいがきますか。

宗我部

ある程度バズが大きくなると必ず批判はあるんですよ。だからコメントを見ないようにしてます。

佐藤

自分の作品に対する評価もみないですか?

宗我部

大きいバズの時はほとんどみないです。忍者の時は「26万いいね」で、コップの方が「10万いいね」くらいだったんですよ。そのぐらい拡散すると、もうみない。こわいから(笑)。

佐藤
透明の下敷きに忍者を描いて、車窓にかざすとまるで動いているかのように見える 。
メイクが消えるコップ。摩擦熱で消えるペンを使ったおもちゃ 。

電車忍者はかざして遊ぶおもちゃで、もちろん空いてる電車内で遊びましたが、「車内で遊ぶな」という声が出るのかもな、という想定はしていましたね。バズれば何やっても叱られる可能性はあります。

佐藤

どんな批判がきますか?

宗我部

窓に指紋をつけるなといった感じですね。なんでもきます。

佐藤

ネットだと現実よりも批判がしやすくなるのでしょうかね。

宗我部

ただ、実際にそういうのを気にする人がいるのも事実で、そこは気にしないといけないな~と思っています。

佐藤

自分が作ったおもちゃのアイデアをリリースする時に、「これはもしかしたら批判が出るかもしれないな」と思ったおもちゃは何ですか?

宗我部

メイクのコップの場合はお湯を入れるから、紙コップが熱くなるのですが、「子どもが火傷する」というご批判はくるかなと思いました。

佐藤

でも注ぐお湯は100℃じゃなくてもいいですよね。

宗我部

そう、60℃でいいんだけど、遊ぶ側が判断するという時代でもなくなっていますから。私たちの子どもの頃は、あぶり出しとかやってましたけどね(笑)。

佐藤

確かに。思えばあぶり出しは火まで使っている。

宗我部

でも例えばLEDで作られた照明器具は、触れても熱くないから子どもは白熱電球との差が分からないですよね。やっぱり自分で危険かどうかの「におい」がわからないっていうのは、今の時代は特にあると思います。だから、それはこちらも教えながら子どもと接していかないとですね。

佐藤

そうですね。

宗我部

熱い電球もあるよとか。あと火に見えるのに火じゃないものってあるじゃないですか。暖炉とかキャンドルみたいなゆらゆらしているもの。それも両方教えていかないと危ないと思っています。実際に批判が来て消したものもあります。

佐藤

あるんですか。

宗我部

あるある。ただ批判が来てやめたのはあるけど、批判が来るかもしれないと思ってやめたのはないです。

佐藤

ちなみに、その批判が来てやめたというのはなんですか? 

宗我部

熱で消えるペンを使って手紙を書いて、アイロンで消すというおもちゃです。内容を消しておいて、その手紙を冷蔵庫で冷やすと「冷やしてくれてありがとう」と浮き出てくる手紙です。

佐藤

おーそれ楽しいですね。ただアイロンを使わないといけないのが危ないということですね。

宗我部

熱で消えるペンで書いた手紙を電子レンジでチンすると、全部消えるというアイデアがSNSで出ていて、それを真似した子どもが火事を起こしたっていう件があったらしいんです。だから、影響力のある人が火事の起こるようなアイデアを紹介してはいけないと。それですぐ消しましたね。

佐藤

電子レンジで温めると燃えるんですか?

宗我部

やりすぎたんだと思います。乾燥しているものを加熱しすぎると、火は出るかもしれないですよね。

佐藤

子どもがおもちゃを作ってるそばで、ずっと大人がつきっきりというわけでにもいかないですものね。

宗我部

うん、難しいですよね。情報があふれている時代だからそのままマネすることもあるだろうし、さっきの話のようにLEDなんかのテクノロジーの発達で危険がわかりにくくなっているのもあるし。そこは気をつけないとなと思います。

佐藤

なるほど。

宗我部

あとはバズって、フォロワーがバッて増えると悪い意味で気にするようにもなるんですよ。「これウケるかな?」みたいなものがちらつく瞬間があって。それは、私にとってはあんまりよくなかったです。やっぱり子どもと遊んだり接したりする中で自然とできるおもちゃの方が、自分はおもしろいと思うから。バズるものって、やっぱりパッと見ておもしろいものが多いと思うの。パッと見てすぐに分かって「いいね」を押せるようなものとか。一枚絵でわかるみたいな。それがただ、バズっているだけという気もする。

佐藤

他のおもちゃと比べてバズっている方のおもちゃがおもしろいとは限らないですものね。

宗我部

うん、そうなの。

佐藤

インスタで言うところの映えるみたいな感じのイメージでしょうか。パッと見すぐ分かっておもしろいって思ったものが拡散されるっていう。

宗我部

それはそれでおもしろいことはおもしろいんだけどね。でも、また別物だよねとは思う。

佐藤

遊んでみてしばらく経たないとおもしろさがわからないものもありますよね。

宗我部

ありますね。あと地味なんだけど、すごくおもしろいものもありますから。

佐藤
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おもちゃ作家・佐藤蕗さんのクリエイションの狭間 インタビュー #2

おもしろいことは全部拾っていく

CREDIT

クレジット

執筆・編集
最近は303BOOKSの動画を担当していることが多い一応編集者。私立中学に通う長女に作るお弁当をインスタにアップすることを日課としている。中学2年生と小学5年生の女の子の母。故郷・高知を世界の中心と思っている。
撮影
千葉県出身。どんな趣味も一年であきてしまう45歳。最近始めたジョギングにいたっては冬を越せるか心配中。チーバくんとパンダが好き。