ニジノ絵本屋さんは、絵本を売るだけでなく、絵本を作っています。
国内から海外までいろいろな場所でイベントもしています。
今回のインタビューでは、扱っている本と、ニジノ絵本屋のさまざまなイベントについてお聞きしました。
私たちは、絵本をつくる絵本屋です。ニジノ絵本屋
予備知識ゼロ。1.5坪からのスタート
いしいあや
絵本専門店「ニジノ絵本屋」代表。2011年に「ニジノ絵本屋」をオープン。2012年より出版事業をはじめる。絵本にまつわるLIVEパフォーマンスやワークショップなどのイベントを国内外で開催している。
いしいさんがとくに好きな本とか、イチオシの本があったら、教えてください。
その時々によって変わっていて、いつも決まってこれを答えてるというものがないのですが、かまいませんか?
もちろん大丈夫です。
今ちょうど、この本の原画展をしているのですが、『木の実とふねのものがたり』という本が、今日は断トツでお勧めです。これもうちで出版した絵本で、イラストレーターの小林由季ちゃんと一緒に作りました。壁に飾ってあるのが、全部この本の原画です。
どういった内容の絵本ですか?
女の子が黒猫と船で旅をしてるんですけれど、種が1個落ちてきて、大事に育てて木になって実がなって、美味しいんですね。そして、その実が世界中に飛んでいくんです。
うーん、なるほど。…もう少しくわしく教えてください。
小説などでは、ストーリーがあると思うんですけれど、絵本には受け取る側次第という部分があるので、私が断言したくないっていう気持ちがあります。こういう話です、とは言いたくないんです。女の子と猫が可愛くて、動物がいっぱい出て、木の実が美味しそうな絵本です、っていうくらいにとどめておきたいです。あと、歌がついています。木の実とふねの歌。
どこかで聴けたりするのですか?
うちは絵本ライブをたくさんしていて、2019年にサマーソニックにも出させていただいています。やっぱり絵本と歌、絵本と音楽は相性がいいので、広げていきたいです。これもいいご縁があって、小島ケイタニーラブさんというシンガーソングライターの方とたまたま出会い、歌を作ってくださいと依頼をしたら、楽しそうだとおっしゃってくださって、引き受けてくださいました。
それは、聴いてみたいですね!
CDを作ったりしていないから、デモ音源しかないんです。歌ができて1年たつんですけど、出した後も、スタッフ全員で育んでいます。この先もまたずっと原画展を企画し続けるだろうし、これから、音楽をちゃんと聴ける動画を作ろうか、というふうに動いていくと思います。なので、絵本1冊出したらそれで終わり、ではなく、その後もみんなでずっと、この絵本を軸に活動しています。
動画も、ニジノ絵本屋でつくるのですか?
社内のなかたというスタッフが動画をつくります。一人一人のやることが多すぎて、大変ですが、全員がスキルを出しあってやっている感じです。
この絵本も、WEBサイトで見かけました(指差して)。どんな本ですか?
『ニジノ絵本屋さんの本』という本で、私が執筆したものです。 2018年に西日本出版社さんから出版されたんですが、さきほどの『木の実とふねのものがたり』の小林由季ちゃんが、イラストを担当してくれました。この表紙の絵、髪が長かったときの私です。2020年1月に韓国でも韓国語版が出たんですよ。
本選びのポイントを教えて下さい。どういう本をお勧めしているとか、どういうところに気を付けて見たらいいのか、などをお聞きしたいです。
まず、ジャケットが気に入るかどうかが重要だと思います。飾っていて、気分が上がる表紙がいいんじゃないかな。本は中身も重要ですけれど、中身は見えないですよね。だから、自分の部屋に置いた時に、いい感じになる絵本がおすすめです。それなら、大事にずっと持っていようと思えるし、来客があった時に、奥深くに片づけられる対象にならない本になると思うんです。
なるほど、いらっしゃった方にも見せたくなるような絵本ですね。
そう、見せたくなるような絵本がいいですよ。その空間で、その絵本の存在が、その人の人生を良い物にしてくれるような絵本です。となるとやっぱり、表紙がインテリアとしても成立する物がいいんじゃないかなと思います。
インテリア的な見方、あるかもしれませんね。大人ならとくに。
私は、英語は読めないのですが、表紙が大好きっていう理由だけで、文字が読めなくても、気に入って持っている本もたくさんありますよ。基本的に、絵本は読めなくてもかまわないと思っています。絵が可愛くて絵が好きだけど、文字いっぱいだから読んでいないとか、何語で書いてあるかわからないとか。そういう絵本でも、成立すると思うんです。だから絵本を選ぶ時は、まず自分が好きな物をと言いますね。
お母さんが子供のために選ぶとしたら、どんなものがいいですか?
お母さんに「赤ちゃんにいい絵本ありますか」って聞かれたら、もちろん赤ちゃん用絵本も勧めるんですけど、まずは読んであげるでしょうから、漢字がいっぱいでもかまわないんですよね。いわゆる、世間で0歳用の絵本と言われている本の中から選ばなくてもいいんじゃないかというのが、私の持論です。
そうなんですか? 子供向けの本の選び方は、それが基本と思っていました。
0歳用、1歳用って分けられているのは、今までの歴史の中で、大先輩方によって研究しつくされて出されている物だと思うので、それに対してのリスペクトはめちゃくちゃあります! だけど今は、調べれば選び方のコツなどがどこにでも載っています。だからなるべく、ニジノ絵本屋だから出会えた絵本を紹介できるようにしたいなと思っています。