料理研究家・稲垣飛鳥さんに聞く夢をかなえる方法論

努力は裏切らない

この記事は約7分で読めます by 宗我部香

稲垣さんに初めてお会いしたのは、「まるでお店!なほめられ♡レシピ」(講談社)でご一緒したときでした。主婦層をターゲットにした雑誌「サンキュ!」(Beneese)の読者モデル「サンキュ! フレンド」を卒業して、フリーランスとしての道を歩み始めたというタイミング。当時、「人間にやれないことはない」と仰っていたことが忘れられません。あれから7年で今やテレビに引っ張りだこ。どうやってここまで辿り着いたのでしょうか。

稲垣 飛鳥(いながき あすか)
料理研究家、再現料理研究家、フルート奏者。『驚安の殿堂 ドン・キホーテ』と『シャトレーゼ(Châteraisé)』のマニアで、他にも 100 円ショップや『パシオス』などで購入したプチプラアイテムのレポート記事が人気を呼んでいる。『ウワサのお客さま』(フジテレビ)、『サタプラ』(毎日放送)、『23 時の密着テレビ レベチな人、見つけた』(テレビ東京)、『家事ヤロウ』(テレビ朝日)、『ヒルナンデス』(日本テレビ)など多くのテレビに出演する他、様々なメディア媒体で活躍している。
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前回(第2回)では、「サンキュ!」フレンドに応募した際のエピソードと、Instagramのフォロワーを1年で1万7000人増やすためにしたことを伺いました。ある分野に特化することで、取材オファーが増えてテレビに出るようになった稲垣飛鳥さん。仕事をする上で気をつけていることはどんなことでしょうか。

テレビに出るってすごいことですよね。2021年には何本出ましたか。

宗我部

50本近く出ています。

稲垣

そうですよね、もはや稲垣さんの出ているテレビが追えないですから。お話を聞いていると、ご自身の強みを活かしていると思うんです。やっぱりブランディングが上手なのかと思うんです。「稲垣飛鳥」というブランドをどう作っていくかは考えていましたか。

宗我部

私は得意なことしかやってないんですよね。だから「Châteraisé」とか「ドン・キホーテ」なんかは、何を聞かれても大体答えられるんです。ドンキなんて普通に好きで行ってただけで、たまたま記事を書いたらバズったからすごくラッキーでした。「ドンキ、大好きなんで書きます!」って言って書いたら記事がバズりまくって、そういう目を持ってたのは「ヨムーノ」の編集長(元サンキュ!の編集長)なんですけども。

稲垣

いろんな人との出会いで繋がっていきますね。でも出会いを作ってきたのは稲垣さんご自身です。

宗我部

そうね、そうやって声をかけてもらえたのはありがたいです。

稲垣

チャンスを掴んでも活かせないことってたくさんありますから。

宗我部

自分で仕事を始めたころは、一回の仕事で「稲垣さんとやって良かった」と思われようという気持ちでやっていました。やっぱりリピートしてもらいたいですから。

稲垣

そうですね。大事ですよね。

宗我部

あとは再現レシピやフルートが吹けるなど自分の強みを、初めての仕事へ行ったときに、しゃべれるチャンスがあるならアピールして帰ってきます。

稲垣

すごいなあ。前にお話を伺った際には、クライアントさんのホームページは隅々まで見ると仰ってました。

宗我部

そう、隅々まで読んでいますね。

稲垣

そこ多分やっている人かなり少ないと思います。

宗我部

そういえばこの間、菊地亜美ちゃんとお仕事したときに、元々見てたんですけど、会ったときに色々とおしゃべりできるようにYouTubeをめっちゃ見ていったんです。そしたら「稲垣さん事前準備半端ない」って言われました。

稲垣

ほら! ははは。

宗我部

「めっちゃ見てるじゃないですか!」って言われて。でも、そればっかり見てたわけじゃなくて、洗濯物畳みながら見てましたけど。ただ、話すきっかけって大事じゃないですか?

稲垣

それは相手に興味を持たないとできないことですね。

宗我部

やっぱり基本的なことは知ってないと失礼だと思うから。特に芸能界の人と仕事をするなら、全然知らない場合はWikipediaを読んだり、最近どんなものに興味があったかをチェックしたりはしています。ちょっとでも会話できる時間があるなら準備します。

稲垣

なるほど、例えば番組収録前に顔合わせで仲良くなって仕事をやりやすくする感じですかね。

宗我部

そうですね。共演者が決まった時点でSNSやブログをフォローします。

稲垣

そういうの時間かかるじゃないですか? YouTube見たり、ホームページ隅々まで見たり。どうやって時間を使っているのか不思議に思ってしまいます。

宗我部

私は段取りが好きなんですよ。だから夕飯は17時半ぐらいからです。

稲垣

早い。

宗我部

遅くても18時までには食べるんです。その時間にちゃんとできてないと嫌。慌てるのもすごく嫌なの。今日はちょっと忙しいから「これを事前に作っておこう」とか、「この準備だけはしておこう」っていうくらいの段取りですけど。

稲垣

それいつやるんですか? 午前中?

宗我部

1週間の仕事の予定が前週ぐらいには分かっているから、逆算しています。帰る時間が遅くなる日は、簡単に調理できる献立を考えたり、午前中に時間があれば準備しておいたりします。そういう時だけ子どもたちに洗濯物取り込んで畳んでもらう、お米を炊いておいてもらう、という指示をすることもあります。

稲垣

なるほど。子育ても段々とお手伝いしてもらえるようになってきますね。
(※稲垣さんは中2と小5のお子さんがいます)

宗我部

ただ、予想よりも家に帰る時間が遅くなる日もあって、この間は17時半に帰ってきたんです。本当はもっと早く終わる予定だったのが遅くなって、ご飯の準備もゆっくりできなくなってしまったのですが、18時半にはおかずが5品完成していました。

稲垣

すごいですよね。段取りはどうやってるんですか。

宗我部

その日は、キムチチャーハンを作ることを決めていました。冷凍ご飯があるからご飯は炊かなくていい、キムチもある、豚肉もチルドに移している。中華スープも豆腐と卵とわかめで簡単にできる。それだけじゃ足りないから、魚を焼いて、サラダを洗って、もうひとつかぼちゃサラダ。同時にもうめちゃめちゃ色々やってますね。

稲垣

もう頭も手もフル回転ですか? コンロとかも全部。

宗我部

なんならリュック背負ったままやってます(笑)

稲垣

アッハッハ。

宗我部

帰ってきた瞬間、子どもたちに「ママすっごい忙しいから、今からこれ片付けといてな」みたい指示を出しながら、リュック背負ったまま作りだして……。

稲垣

すごい。

宗我部

大阪出張がある日はご飯を冷凍にしたり、子どもたちが好きなものスーパーで買ってきてもらうこともあります。

稲垣

「ゴールをこうする」って決めているから、この時間までにこれを作って…と、そこに向かっていく勢いですよね。終わりを決めておいて、なあなあにしてないから上手くいってる気がします。

宗我部

あーそうやね。

稲垣

娘さんのピアノもそうだと思いました。コンクールに合わせて譜読みを1日でここまでやるって言ってたのが印象的でしたもん。

宗我部

そうですね。確かに確かに。

稲垣

逆算するだけって、さっきもおっしゃってたけど。

宗我部

受験なんかもそうかもしれませんね。でも今の自分があるのは、色々経験して分かったことだから。段取り良くするとどんな良い効果があるか、この段取りの時についでにこれもできる、という経験をしてきたからこそかもしれません。これは45年生きてきた経験ですよね。

稲垣

そうですね。

宗我部

やっぱり不安がある状態はなるべく減らしたいですね。仕事するときにも、テレビで料理を発表するとそれを見て作る人がいるから、「おいしくない」とか「失敗した」ということがあったらダメだから、試作段階で何度も作り直します。

稲垣

へぇ~!

宗我部

作り直して、ちょっと不安な点…例えば調理器具によってできあがりが変わるものは、ディレクターさんに「電子レンジの調子によって焼き時間が変わるから、注意書き入れてください」と必ず言いますね。不安なまま「大丈夫です」なんて言ってしまったら、ずっと不安なままで自分がしんどいから。

稲垣

なるほど。

宗我部

そういう意味では試作の量は半端じゃないです。

稲垣

適当なことはしないのが稲垣さんですね。

宗我部

でもそれも最近分かり始めたことです。

稲垣

最近なんですか?

宗我部

適当にやっていたつもりはないけど、「こんぐらいでいっかな」みたいなものは、数年前まではあったと思う。食べ物だしすべて自分の責任だから怖いですよね。

稲垣

うんうん。

宗我部

やっぱり嘘つきたくないですから。

稲垣

「嘘つきたくない」って稲垣さん初めの方でも仰ってましたね。

宗我部

うーん、例えば広告で紹介する物は、自分が本当にいいと思った物でないと紹介したくないというか。

稲垣

嘘って見抜かれそうですもんね。

宗我部

やっぱりどんなものでも自分が本当にいいと思ったものを、これからも偽りなくやっていきたいです。

稲垣

ありがとうございました。

宗我部

CREDIT

クレジット

執筆・編集
最近は303BOOKSの動画を担当していることが多い一応編集者。私立中学に通う長女に作るお弁当をインスタにアップすることを日課としている。中学2年生と小学5年生の女の子の母。故郷・高知を世界の中心と思っている。
撮影
千葉県千葉市美浜区出身。世間のブームにのりたい47歳。パンダが好き。