音楽家・良原リエさんの「食べられる庭」インタビュー#3

見た目の美しさだけではない、虫と共生する庭

この記事は約5分で読めます by 宗我部香

ゴールデンウイーク前の新緑の庭は、1年の中でも一際力強さがあります。冬野菜は種をつけ、芽吹きの季節でもある良原家の庭は、虫がいてヒキガエルがいて鳥もたくさんやってきます。あちこちに食べられる植物がありながらも、虫が大発生することもなく収穫を楽しめるヒミツは何でしょうか。

良原リエ(よしはらりえ)
音楽家、という肩書きだけには収まらず、「食べられる庭図鑑」以外にも「たのしい手づくり子そだて」「まいにちの子そだてべんとう」(アノニマ・スタジオ)「トイ楽器の本」(DU BOOKS)「音楽家の台所」(コノハナブックス)と著書多数。良原さんの奏でる美しいアコーディオンの音色は必聴です。Eテレ『いないいないばあっ! 』では音楽を担当、映画『アーヤと魔女』でアコーディオンを演奏しています。
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前回に続き、庭を見せてもらいながら

こっちとこっちの花壇、ちょっと印象が変わりますね。

宗我部

それぞれ息子と私の花壇なんですよ。

良原
左が小学生の息子さんの花壇、右が良原リエさんの花壇。

息子さんの花壇もあるんですね。(※小学3年生の息子さんがいます)

宗我部

息子は小さい頃から庭で遊んできたので、いつのまにか植物の名前を覚えました。今回の取材で説明をしたぐらいは、息子も説明できると思います。

良原

すごいですね。 すごくきれいに整ってますね。

宗我部

先日、植えたばかりなので、雑草が生えていない分、きれいに見えますね。息子は私と趣味が違っていて、和風な感じが好きなの。特に百合の花が好きなんです。私が教えたわけではないんですけどね。

良原

へええ、不思議ですね。

宗我部

百合や菊、松、桜、紅葉とか、自然と和風なものが好きになっていました。花壇に何植えたい?と聞いたら、ウツギって答えました。

良原

ウツギという名称が出てくることが渋いです。

宗我部

息子の花壇には、私がお願いして植えた植物もあります。私と息子の花壇の間にアーチをつけて、ツルものを伸ばす計画で。この提案は賛成してくれたので、息子の方にきゅうりを、私の方にはゴーヤやインゲンを植えました。

良原

和風ではなくても、すてきなアイデアに賛成する息子さんがすてきです。

宗我部

百合は、息子が種類を決めて球根を植えました。そろそろ花が咲くと思います。

良原

本当に色々な植物がいっぱい。

宗我部

これはジャガイモですね。収穫し忘れたジャガイモが育って、大きくなっています。ニラは白いステキな花が咲くんですよ。

良原

植物の名前が次々出てくるのがすごい。

宗我部
タワーレコードのビニール袋や、オレンジジュースのパック、トマト缶でも植物を育てていました。底に目打ちで穴をあけています。

このビニールは下に穴が空いてるんですか?

宗我部

目打ちをプチプチと差して開けてます。このビニール栽培で、大きなカリフラワーを収穫しましたよ。ほうれん草も育ちました。

良原

ナイスアイデアですよね。こうやってビニール袋が植木鉢として転用ができるなんてビックリです。

宗我部

そうなの、ちゃんと育ちますよー。

良原

冬野菜って同じ感じで種になるんですね。

宗我部

大根やわさび菜、のらぼう菜が種をつけていますね。みんなアブラナ科です。

良原

ほんとに自然はこうやって種をつけるのですね……。すごいなあ。さっきはキャベツや水菜もありました。もしかして野菜を買わなくてよかったりします?

宗我部

いやー、夏野菜なら、例えばミニトマトは買わずに済むほど採れますけど、冬野菜はひとつを育てるのに面積が必要なものが多いから、そういうわけにはいきません。だから農家さんは本当に大変だと思います。キャベツが一個100円だなんてありえないですよ。500円でも安いと思う!

良原

ご自身で野菜を育てると、農家さんの大変さが分かるものなんですね。

宗我部
庭にクレソンがあれば、ちょちょっとお肉の添え物にできて便利そうです。

うちの庭はビオトープガーデンを目指して、このプラケースでメダカを飼っているんです。セリやクレソンが育っています。うちの庭にはヒキガエルもいるんですけど、ヒキガエルって自分が生まれた場所に戻ってくるんですよ。

良原

えーシャケみたいですね。

宗我部

オスは繁殖期に体が黄色になるんですけど、結構ビックリしますよ、目立つから。たまたま、黄色くなったヒキガエルが植木鉢に座っているのを発見して、うれしくなって写真を撮りました。『食べられる植物図鑑』の入稿にギリギリ間に合いそうだったので急いで送ったら、怖すぎるとNGになりました。

良原

あはは。ここでもちょっと控えておきます。

宗我部
壁際に沿って明らかに雑草らしさを醸しているのがヤマゴボウ。右の写真は枇杷の木。食べた枇杷の種からこんなに大きくなったそう。

このあたりは庭の中でも日の当たらないエリアですね。

宗我部

これはヤマゴボウです。大きくなるのでみんな嫌うのですが、ブルーベリーみたいな紫色の実がなって、きれいな色染めを楽しめます。毒があるので、子供が食べないように注意してくださいね。日陰には他に、ショウガやミョウガが植わってます。ミョウガは元々日本にあるものだから育ちやすいです。元々は外来種で、日本の環境に合わない植物って多いんです。庭やベランダの環境にも大きく左右されるし。だから、育たなくてもそんなに気にしなくて大丈夫。ちゃんと育つものもあるはずから、それを育てましょう!

良原

植物が育たなくても落ち込まずに大らかにいきたいと思います。庭に雑草もあるけれど、なんだかいい感じですよね。

宗我部

雑草を残すことで色々な虫が遊びにくるから、結果的に何か特定の虫が大発生することがないんです。これはもっと小さい庭で経験したのですが、シソだけを植えていると、シソを好きな虫だけが集まってきます。植物の種類を多めにと心がけていると、その虫の天敵がやってくることがあるんです。ついでに肉食の昆虫や鳥もやってきて、庭がいい具合に回り始めます。雑草も植物なので、適度に生かして利用しているんです。

良原

庭は雑草を抜くイメージがあるけれど、そうではなくて共生が大事なんですね。

宗我部

そうなの、虫をイヤだなと思わないでほしいですね。用事があるから来ているだけなんで。

良原

その用事が何かを考えてあげると、すてきな庭になっていきそうですね。

宗我部
『食べられる庭図鑑』重版出来おめでとうございます! 良原さんとインタビュアー宗我部のツーショットです。ありがとうございました。

CREDIT

クレジット

執筆・編集
最近は303BOOKSの動画を担当していることが多い一応編集者。私立中学に通う長女に作るお弁当をインスタにアップすることを日課としている。中学2年生と小学5年生の女の子の母。故郷・高知を世界の中心と思っている。
撮影
千葉県千葉市美浜区出身。世間のブームにのりたい47歳。パンダが好き。