
ゴールデンウイーク前の新緑の庭は、1年の中でも一際力強さがあります。冬野菜は種をつけ、芽吹きの季節でもある良原家の庭は、虫がいてヒキガエルがいて鳥もたくさんやってきます。あちこちに食べられる植物がありながらも、虫が大発生することもなく収穫を楽しめるヒミツは何でしょうか。

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音楽家、という肩書きだけには収まらず、「食べられる庭図鑑」以外にも「たのしい手づくり子そだて」「まいにちの子そだてべんとう」(アノニマ・スタジオ)「トイ楽器の本」(DU BOOKS)「音楽家の台所」(コノハナブックス)と著書多数。良原さんの奏でる美しいアコーディオンの音色は必聴です。Eテレ『いないいないばあっ! 』では音楽を担当、映画『アーヤと魔女』でアコーディオンを演奏しています。
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前回に続き、庭を見せてもらいながら

こっちとこっちの花壇、ちょっと印象が変わりますね。

それぞれ息子と私の花壇なんですよ。


息子さんの花壇もあるんですね。(※小学3年生の息子さんがいます)

息子は小さい頃から庭で遊んできたので、いつのまにか植物の名前を覚えました。今回の取材で説明をしたぐらいは、息子も説明できると思います。

すごいですね。 すごくきれいに整ってますね。

先日、植えたばかりなので、雑草が生えていない分、きれいに見えますね。息子は私と趣味が違っていて、和風な感じが好きなの。特に百合の花が好きなんです。私が教えたわけではないんですけどね。

へええ、不思議ですね。

百合や菊、松、桜、紅葉とか、自然と和風なものが好きになっていました。花壇に何植えたい?と聞いたら、ウツギって答えました。

ウツギという名称が出てくることが渋いです。

息子の花壇には、私がお願いして植えた植物もあります。私と息子の花壇の間にアーチをつけて、ツルものを伸ばす計画で。この提案は賛成してくれたので、息子の方にきゅうりを、私の方にはゴーヤやインゲンを植えました。

和風ではなくても、すてきなアイデアに賛成する息子さんがすてきです。

百合は、息子が種類を決めて球根を植えました。そろそろ花が咲くと思います。

本当に色々な植物がいっぱい。

これはジャガイモですね。収穫し忘れたジャガイモが育って、大きくなっています。ニラは白いステキな花が咲くんですよ。

植物の名前が次々出てくるのがすごい。


このビニールは下に穴が空いてるんですか?

目打ちをプチプチと差して開けてます。このビニール栽培で、大きなカリフラワーを収穫しましたよ。ほうれん草も育ちました。

ナイスアイデアですよね。こうやってビニール袋が植木鉢として転用ができるなんてビックリです。

そうなの、ちゃんと育ちますよー。

冬野菜って同じ感じで種になるんですね。

大根やわさび菜、のらぼう菜が種をつけていますね。みんなアブラナ科です。

ほんとに自然はこうやって種をつけるのですね……。すごいなあ。さっきはキャベツや水菜もありました。もしかして野菜を買わなくてよかったりします?

いやー、夏野菜なら、例えばミニトマトは買わずに済むほど採れますけど、冬野菜はひとつを育てるのに面積が必要なものが多いから、そういうわけにはいきません。だから農家さんは本当に大変だと思います。キャベツが一個100円だなんてありえないですよ。500円でも安いと思う!

ご自身で野菜を育てると、農家さんの大変さが分かるものなんですね。


うちの庭はビオトープガーデンを目指して、このプラケースでメダカを飼っているんです。セリやクレソンが育っています。うちの庭にはヒキガエルもいるんですけど、ヒキガエルって自分が生まれた場所に戻ってくるんですよ。

えーシャケみたいですね。

オスは繁殖期に体が黄色になるんですけど、結構ビックリしますよ、目立つから。たまたま、黄色くなったヒキガエルが植木鉢に座っているのを発見して、うれしくなって写真を撮りました。『食べられる植物図鑑』の入稿にギリギリ間に合いそうだったので急いで送ったら、怖すぎるとNGになりました。

あはは。ここでもちょっと控えておきます。


このあたりは庭の中でも日の当たらないエリアですね。

これはヤマゴボウです。大きくなるのでみんな嫌うのですが、ブルーベリーみたいな紫色の実がなって、きれいな色染めを楽しめます。毒があるので、子供が食べないように注意してくださいね。日陰には他に、ショウガやミョウガが植わってます。ミョウガは元々日本にあるものだから育ちやすいです。元々は外来種で、日本の環境に合わない植物って多いんです。庭やベランダの環境にも大きく左右されるし。だから、育たなくてもそんなに気にしなくて大丈夫。ちゃんと育つものもあるはずから、それを育てましょう!

植物が育たなくても落ち込まずに大らかにいきたいと思います。庭に雑草もあるけれど、なんだかいい感じですよね。

雑草を残すことで色々な虫が遊びにくるから、結果的に何か特定の虫が大発生することがないんです。これはもっと小さい庭で経験したのですが、シソだけを植えていると、シソを好きな虫だけが集まってきます。植物の種類を多めにと心がけていると、その虫の天敵がやってくることがあるんです。ついでに肉食の昆虫や鳥もやってきて、庭がいい具合に回り始めます。雑草も植物なので、適度に生かして利用しているんです。

庭は雑草を抜くイメージがあるけれど、そうではなくて共生が大事なんですね。

そうなの、虫をイヤだなと思わないでほしいですね。用事があるから来ているだけなんで。

その用事が何かを考えてあげると、すてきな庭になっていきそうですね。
