夕立のアンティオキア ―パイサの生き方―

ユースケは何しにコロンビアに?

この記事は約6分で読めます by ユースケ“丹波”ササジマ

コロンビアで暮らす元303社員、ユースケ“丹波”ササジマが現地に暮らす市井の人々にインタビューしていく連載企画。第1回は、コロンビアに住み着いた理由や住んでいる街をダラダラと紹介していきます!

ゆーすけたんばささじま
ユースケ“丹波”ササジマ

株式会社オフィス303の元社員。黒豆で有名な兵庫県丹波篠山市出身。2017年に日本を飛び出して1年ほどラテンアメリカ諸国を行脚する。現在はライターやフリー翻訳者として働きながら超低空飛行で生き延びる。

方言が気に入っただけ!?

久しぶりだね、ササジ(ユースケの呼び名)。今コロンビアにいるんだって?

心平

そうなんですよ。メキシコやアルゼンチンとかラテンアメリカの国々をスペイン語を勉強しながら周遊していたんですけど、最終的にコロンビアのメデジンという都市に落ち着きました。

笹島

なんでコロンビアなの? 美女が多いから?

心平

コロンビアの中でも特にメデジンは美女が多いことで有名で、ラテン系が好きな私からするとたまりません(笑)。ただ、本当は他の国にいるときにネットフリックスでメデジンを舞台にしたドラマを見てメデジンの方言を聞いたのがきっかけですね。ここのスペイン語を勉強したいなと。

笹島

そうなんだ。英語みたいにスペイン語も方言とかあるの?

心平

そうですね。ざっくりいうと、スペインやメキシコとか国によって違いがあって、さらに国の中でも地域や都市によっても違いがありますね。メデジン市はアンティオキアという県にあって、そのアンティオキア県と周辺のいくつかの県がある地域はパイサ地方と呼ばれます。そしてパイサ地方で話される方言はパイサ弁。つまり、メデジンのスペイン語はパイサ弁の一種です

笹島

※関西地方で例えると、メデジン→大阪市、アンティオキア→大阪府、パイサ→関西地方(関西人といった意味にもなる)、メデジンのスペイン語→大阪弁

なるほどね。で、メデジンに住み始めて2年ぐらいたったらしいけど、スペイン語のほうはどうなの? もうスペイン語で不自由することはない?

心平

まがりなりにもスペイン語と日本語の翻訳者として仕事しているほどには操れるようになっているので、ちょっと何言ってるのかわからないっていうことはありますが日常生活で困ることはないですね。ただ、車を修理してもらうために自動車整備士さんと話す時とか病院の診療でお医者さんと話すときとかは専門用語がたくさん出てくるので難儀しますが・・・。

笹島

まぁ、日本人でも日本語で「タイミングベルト」って言われても何のことか分からない人もいるからね。

心平

※タイミングベルト:車のエンジンの部品。プラグの点火やバルブ開閉のタイミングに関わる。切れるとエンジンが止まるので10万キロを目安に交換しよう。

ちなみにスペイン語で「タイミングベルト」は「Correa de distribución(カタカナで発音を大雑把に表記すると、コレア デ ディストリブスィオン)」です。タイミングベルトの影も形もないですね。

笹島
メデジンの街並み

“常春の街”メデジン!?

ウィキペディアでメデジンの項目を見てみたんだけど、人口250万人もいるんだね。一年通して平均気温変わらないみたいだけど、季節は変わらないの?

心平

おおまかにいうと季節は変わらないです。年中春のような気候でめちゃくちゃ過ごしやすいです。「常春の街」って言われていて、航空会社によって違うのかもしれませんが、飛行機が空港についたら「常春の街、メデジンへようこそ」というアナウンスがあります。まぁ、その空港はリオネグロっていう別の市にあるんですけど。

笹島

成田空港についた飛行機の中で「東京へようこそ」って言われるみたいなもんだね。

心平

メデジン市の北にはベジョ市、南にはエストレージャ市があって、それら三つの市を南北に貫く公営の鉄道が走っていて、それがコロンビア唯一の鉄道ですね。始発は4:30、終電は23:00ということは決まっていますが、当然ながら日本のように詳細な時刻表はありません。また、並んで電車を待つという習慣はないので割り込みは日常茶飯事です。そんな感じだから割り込みされて怒っている人を見かけたことないですね。

笹島
メデジンを走る電車
メデジンを走る電車。製造はシーメンス。軌間は新幹線と同じ1435mmの標準軌。

割り込みで腹を立てるほうが野暮ってことか。まぁ人によるんだろうけど。

心平

割り込みの件はまだ許せるんですが、こちらが降りようとしているのに果敢に乗り込もうとしてくる人が割といます! あと、鉄道以外にケーブルカーと路面電車、「名古屋ガイドウェイバス」のように専用道路を走るバスが公営の交通機関として機能しています。私営の公共交通機関はバスだけです。

笹島
ケーブルカー
市内には5つの路線が走る。おもに貧困層が暮らす山の斜面と都市部をつなぐ役目がある。
路面電車
路面電車は1路線のみ。日本の路面電車とは違い、軌道の中央を走るレールに沿ってタイヤで走行する。
専用道路を走るバス
専用道路を走る。2つの車体がくっついた連節バスも運行している。

「名古屋ガイドウェイバス」は乗り物好きしかピンと来ないよ(笑) あと、エル・ペニョール・グアタペっていうのはメデジンの観光スポットなの?

心平

※名古屋ガイドウェイバス:名古屋を走る日本唯一のガイドウェイバス。ガイドレールがついた専用道路と一般道路の両方を走る。

El peñón de Guatapé(グアタペの大岩)とかLa piedra del Peñol(ペニョルの岩)などと呼ばれている、高さ200mほどの大きな岩です。この岩があるのはメデジンから車で1時間半ほどのところにあるグアタペ村。名前が二つある理由は、かつてはペニョル村の管轄でありペニョル村の人々にとっても大切な存在とかなんとかで、どちらの名前も使用しているようです。

笹島
エル・ペニョール・グアタペ
約700段の階段を登って頂上を目指す。バリアフリーになるのはたぶん遠い未来の話。

富士山をめぐる静岡と山梨のクラシコみたいな感じなのかな。まあとにかくややこしいね。というか、この岩、メデジンの観光スポットみたいな取り上げられ方しているけどメデジンにあるんじゃないんだね。

心平

「神戸を旅行するなら姫路城に行くのがオススメ!」って言ってる感じですね。

笹島

千葉でいうと「ディズニーシーのついでに鴨川シーワールド!」って言う感じね。要はその観光地には無いものを紹介してオススメしてるっていうことね。

心平

この岩に近くにカラフルな家々が立ち並ぶ村があり、そこも観光スポットになっています。最近、グアタペの岩とその村を大々的に紹介している「俺が愛する街メデジンの魅力を伝えるぜ!」みたいなテンション高めの日本人旅ブログを見つけてなんとも言えない気持ちになりました。

笹島

(笑)それでメデジンの魅力が伝わればいいね・・・。

心平
カラフルな村
グアタペの大岩から車で10分くらいの距離にある、カラフルな村。

やっぱり住んでみないとわからないことっていっぱいあるんですよ。

笹島

次回は、住んでみてわかったメデジンの本当の魅力に迫ります!

バックナンバー

夕立のアンティオキア ―パイサの生き方―

メデジンに恋して♥

CREDIT

クレジット

撮影・執筆
株式会社オフィス303の元社員。黒豆で有名な兵庫県丹波篠山市出身。2017年に日本を飛び出して1年ほどラテンアメリカ諸国を行脚する。現在はライターやフリー翻訳者として働きながら超低空飛行で生き延びる。
聞き手
303 BOOKS(株式会社オフィス303)代表取締役。千葉県千葉市の埋めたて地出身。バイク雑誌、パズル雑誌を経て、児童書の編集者になる。本は読むものではなく、つくるものだと思っている。