
オフィス303の元社員、ユースケ“丹波”ササジマがコロンビアの女性にインタビューしていく連載企画。今回は、ツアーガイドとして働くエステファニア・アランゴさんにインタビューしました。仕事や家族について話を伺いました。

夕立のアンティオキア ―パイサの生き方―
ユースケは何しにコロンビアに?
13人家族の大所帯

今日はよろしくね。早速インタビューを始めよう。Comuna 13(コムナ トレセ)※に住んでるんだよね? 誰と住んでるの? 家族?
※Comuna 13 = メデジンの北西部に位置する地区。2000年代初頭まではさまざまな武装組織が抗争を繰り広げており、メデジンでもっとも危険な区の一つだった。

そうだよ。家族で暮らしてて、自分を入れて11人いるよ。

11人⁉ サッカーチームつくれるね。 内訳は?

母でしょ、姉2人と妹1人、甥と姪が4、あと自分の娘2人だね。あと・・・

まだいるの⁉

まだいる(笑) 私、二卵性双生児なのね。だから双子の妹がいるのよ。その妹は彼女の息子と別の場所で暮らしてる。

なるほどね。じゃあ、家族としては13人家族なんだね。

そうそう。とにかく人が多いからいつも賑やかだよ。賑やかっていうかうるさい(笑)

だろうね。ちなみにお母さんと姉妹は何をしてるの?

母は家政婦として少し離れた地区で働いてるよ。姉は清掃会社で働いてて、学校の掃除をしてるよ。妹はまだ14才だから学生だね。

なるほど。エステファニアっていくつだっけ?

今24才で、今年で25才になるよ。

子どもがいるんだよね。子どもは何歳なの?

上の子が3才で、下の子が1才。母とかほかの姉妹も世話してくれるけど、まだまだ手がかかるから大変よ。


Comuna 13の歴史を伝えるツアー

仕事について聞きたいんだけど、エステファニアはグラフィティツアーのガイドだよね? そもそもなんでグラフィティがあるのか教えてもらっていい?

そうね、そもそもComuna13はゲリラ組織がたくさん入り込んで地域一体を支配してたの。それで、政府が掃討作戦を実行してゲリラ組織を掃討できたんだけど、一般市民もたくさん犠牲になったの。そうした歴史を伝えて、乗り越えるためにグラフィティがたくさん描かれてるの。

じゃあ、グラフィティはComuna13の復興のために描かれていて、それぞれモチーフがあるんだね。

そう。まぁ全部が全部じゃないけどね。だから、ここで何が起こったのか、それぞれのグラフィティは何を伝えているのかを一緒にまわりながら説明するのが私たちガイドの仕事ね。

なるほど。で、いつからガイドを始めたの?

じつはすごい最近なんだよね。ガイドになったのは一ヶ月前なの。

そうなんだ! ほんと最近だね。もうたくさんガイドしたの?

そうね。いろんな国からたくさん来るからね。今のところ私がガイドしたのはブラジル人、スペイン人、イタリア人、メキシコ人、アメリカ人、日本人もいたわね。まぁ、とにかくいろんな国の人をガイドしてるわ。

母語がスペイン語じゃない人をガイドするときはどうしてるの?英語?

スペイン語だよ。外国人でもスペイン語がわかる人もいるからね。スペイン語がわからない外国人には英語が話せるガイドが案内するわ。ただ、私は英語喋れないけど、いつか英語でもガイドできるようになりたいわ。英語のガイドのほうが料金高くて、より稼げるからね。

じゃあ英語やらない手はないね! ちなみにどういう経緯でガイドになったの?

子どもの父親もガイドやってて、その紹介って感じ。

ガイドになるためのオリエンテーションとかあるんだよね?

そうね。最初は、経験者のガイドについてグラフィティを一緒にまわって勉強するの。研修みたいな感じだね。で、Comuna13の復興のために活動してる団体があるんだけど、そこに1500円ほど払ってガイド証書をもらえば無事ガイドにっていう流れ。

なるほど、グラフィティの解釈とか背景とか知っとかないといけないもんね。

そうね。でも、グラフィティが描かれた背景はさっき言った「オリオン作戦」という出来事なんだけど、私達はそれを実際に経験したから知ってるっちゃ知ってるんだけどね。

なるほど、じゃあ今回はこの辺にして、次回は「オリオン作戦」について話を聞きたいな。


夕立のアンティオキア ―パイサの生き方―
グラフィティ・ツアーガイド エステファニア・アランゴ(2話)
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