『ダジャレーヌちゃん 世界のたび』 刊行記念トークイベント

レポート#4

この記事は約8分で読めます by 小熊雅子

『ダジャレーヌちゃん 世界のたび』の刊行記念トークイベントのレポート#4では、会場に来ていただいたお客さまからの質問や、そこから広がった話をお届けします。お話は、絵本の文を担当された林木林さん、絵を担当されたこがしわかおりさん、ゲストの内田麟太郎さんです。

作家プロフィール(ページ下部へ移動します。)

上の写真は、左から、林木林さん、こがしわかおりさん、内田麟太郎さん。

ダジャレが好きなのは誰じゃ?

何かお三方に、ご質問やご意見などございましたら、お聞かせください。

小熊

質問者
今日は、どうもありがとうございました。娘が今小学校3年生なんですけど、イベントがあるっていうのを知って、すぐに申し込んだんです。

うわ、ありがとうございます。

小熊

質問者1:
イベントに参加したきっかけですが、図書館でこの絵本を見た時に、この「ダジャレ」で「世界の旅」がすごい!と思って。世界の旅ということは、きっと地理的な内容が入っているだろうなと思って借りました。大人は読ませたいけど子どもが食いつかない時ってあるじゃないですか。それが全くなくて、娘の大好きな本になりました。絵もとてもかわいくて、すごく最高の絵本だなって思いました。先程、第2弾が出るっていうお話をうかがって、どんな感じになるのかもっと知りたいです。

うれしいですね。内容は、まだ林さんの頭の中にしかないので、林さんに聞いてください。時を越えてっていうのも、チラッとうかがいましたが。

こがしわ

それまだ私の妄想の中なんです。歴史の旅もよいですが、何か…まだちょっと構想の段階で。でも、この絵本とは違う国を旅したいと思っています。

ちょっと来年は厳しいかなって思いますが、その次の年ぐらいにはできるとよいですね。

小熊

質問者1:
娘の学校で流行っている本を聞くと、科学漫画や歴史漫画など、勉強に結びついたものが多くて。この絵本には、ファンタジーも入っていて、私が見ても楽しいし、子どもだけじゃなくて幅広い年齢層で楽しめるから、次作もすごく期待しています。

ありがとうございました。

小熊

そういえば、高校1年生の女の子からお手紙をいただいて。高校でダジャレが流行っていると書いてあったんです。にわかにはちょっと信じ難くて。え、高校生の女の子でダジャレ?って。お世辞かなと思ったんですけど。今流行っているダジャレは「ジョニーどこへ行くの? 便所に―」、それで大笑いするんですって。

こがしわ

私の友人に高校の教師がいるのですが、やはりダジャレが流行っていて、『ダジャレーヌちゃん 世界のたび』が教室でとてもウケたといっていました。

小熊

一般的には、ダジャレって男の子のほうが好きとは、よくいわれますよね。

そう、何となく小さい男の子とおじいさん、というか、年配の男性が得意なイメージはありますよね。でも、最近、違うなと思い始めました。ダジャレって何だろう?と考えると、実はすごい頭の体操なんですよね。例えば、英語の詩だったら韻を踏んだりしますが、日本だと似た言葉を見つけて、さらにその似た言葉を面白く並べたりするわけですよね。それを次々思いつける内田さんや林さんっていうのは、頭がいいなとすごく思うんです。

こがしわ

トークイベントの前の打ち合わせで、内田さんが女子大の講演でダジャレをいって、すごくウケたお話をおうかがいしました。

小熊

ダジャレじゃないんだけど、女子大に行った時、「皆さんの年頃は箸が転んでも笑うそうですね、試しましょう」といって、ボールペンをコロコロって転がしたら、わーっと笑うんですね。ほーっと思いましたよ。

内田

お話のしかたが絶妙!

小熊

一番難しかったのは、キリスト教系の女子大で、私がしゃべる後ろにマリア様いらっしゃるわけですよ。これからアホな話をしたいのにどうしようか。禁じ手だなと思ってやったのが、「男が歩いていました。向こうから男が歩いてきました。こちらの男が、歩いてきた男に尋ねました。『あなたは神か?』男が答えました。『イエス』」。そしたら、うわーって笑ったんですね。神父さんも笑っておられて。それからはもう、いつものようにアホな話をして上手くいったっていうことがありましたね。

内田

神父さんも女子大生もダジャレが好きなんですね。

小熊

ダジャレをいう赤ちゃんっていないんですよ。ダジャレがわかるっていうのは、言葉の貯金ができた状態なんですね。言葉の貯金がある一定水準に達した時に、こっちの言葉とこっちの言葉の響きが似ていて、それを繋げると面白い言葉、新しい意味の言葉ができると。そういうことに気がつくっていうことだから、ある年齢にならないとね。

内田

ダジャレーヌちゃんというキャラクター

他にどなたか、ご質問などありますか?

小熊

質問者2:
林さんになんですけど、ダジャレーヌちゃんの絵が最初にあがってきた時、その絵を見てどんなふうに思われましたか?

こわっ!

こがしわ

最初はどうだったかな。

忘れちゃいましたよね、だいぶ前ですもんね。

こがしわ

印象として強いのは、キャラクター案をいただいた時。ダジャレーヌちゃんは、こういう子になるんだなって。

そのキャラクターを見た時の感想はどうでしたか?

小熊

ファンシーグッズとか作りたいなって思いました。

はやっ! 早いですよね。

こがしわ

一筆箋や付箋、クリアファイルとか、どうですか? とか言って。

そうそう、林さんと私のふたりで盛り上がりましたね。とにかくかわいくて、手元に置いておきたくなるくらい。おだんご3つの髪型も、こがしわさんが髪を結ってやってみてくださったんですよね。

小熊

できるんですか。

ちょっとウエーブがあるという設定で、おだんごといっても、ふわっとゴムで止める感じですが。最初は、三つ編みだったりいろいろな髪型を提案しました。マドレーヌちゃん※へのオマージュの気持ちも少しあり。ワンピースも真っ赤なものから襟のないものとか、下にパンツを履いてるものとか。旅の途中でその国のファッションに着替えるって聞いていたので、着替えやすい恰好で、あんまり洗濯する時に大変じゃないものとか。そういうのも考えました。

こがしわ

※マドレーヌちゃん : ルドウィッヒ・ベーメルマンス作の絵本『マドレーヌ』の主人公。

ご自分が旅に出る気持ちで、考えていただきましたね。

小熊

結局、パッと脱いでパッと着ればいいように、ワンピースの下にレギンスを履かせるスタイルに。すぐ林さんが気に入ってくださったので、気持ちよくスルスルっとお話の中に入っていけました。

こがしわ

ダジャレーヌちゃんの編み上げのブーツ、自分でもああいうのを履きたかったんですけど、ちょっと脱ぎ履きが大変だから、妄想の中で終わっていて。それが伝わったかのように、ダジャレーヌちゃんが履いてくれていて。まあそれで、私が履かなくていいかという気持ちになりましたが。

編み上げのブーツは、子どもの頃から憧れでした。内田さんの「おれたち、ともだち!」シリーズでも、降矢ななさんが主人公の狼に編上げブーツを履かせていますよね。先が狼の指みたいになっているブーツです。編み上げのブーツは、履いただけでちょっと気持ちが上がりますよね。で、何かできる気になる。ファッションってやっぱり大事だな、ってすごく思います。

こがしわ

『ダジャレーヌちゃん 世界のたび』は、ファッションも見どころの1つとなっています。

小熊

昔は、子どもの本って服にこだわるのは何となくいけませんよ、という感じがあったような気がして。でも今は 洋服ってかなり重要で、「名は体を表す」的に「服は体を表す」的なものがあって。生活のすごく大事な一部だと思いますね。

こがしわ

そうですね。子どもの本だと、登場人物が次のページでも同じ人として認識しにくくてはいけないというのがあるので、大抵同じ服で展開するのが多いんです。でも、登場人物をちょっと特殊な髪形にすれば、ファッションを楽しめる絵本ができるんじゃないか。そんな試みを絵本でやりたいなというのもありました。

小熊

そうですね。隠しテーマというか、ダジャレーヌちゃんがそれぞれの国で着ている服もこの本の特徴の1つにしました。

こがしわ

児童書であまりやらないことも、タブーと決めつけず、こういうふうにすればできるんじゃないか、と考える視点を持って本作りをしたいなと思います。
ではそろそろ時間となりました。皆さま本日はどうもありがとうございました。

小熊

作家プロフィール

はやしきりん
林木林

山口県生まれ。詩、絵本、童話、作詞などで幅広く活躍中。詩のボクシング全国大会優勝。『ひだまり』で産経児童出版文化賞産経新聞社賞受賞。詩集に『植星鉢(ぷらねたぷらんた)』、絵本に『おちゃわんかぞく』、『こもれび』、翻訳絵本に「ぜったい あけちゃダメッ! 」シリーズ、『でんごんでーす』、童話に『二番目の悪者』などがある。

    こがしわかおり

    1968年埼玉県生まれ。イラスト、デザインの分野で活躍中。装画・さし絵に『ちいさなおはなしやさんのおはなし』、『料理しなんしょ』、『ぼくたちはなく』、『魔女のレッスンはじめます』、『だれも知らない葉の下のこと』など多数。作・絵に『ツツミマスさんと3つのおくりもの』、『おうちずきん』などがある。

      うちだりんたろう
      内田麟太郎

      1941年福岡県生まれ。詩人、絵詞(えことば)作家。『さかさまライオン』で絵本にっぽん賞、『うそつきのつき』で小学館児童出版文化賞、『がたごとがたごと』で日本絵本賞、詩集『ぼくたちはなく』で三越左千夫少年詩賞を受賞。他に「おれたち、ともだち!」シリーズなどがある。

        取材協力
        Book House Café
        東京都千代田区神田神保町2-5 北沢ビル1F
        「神保町」駅より徒歩1分
        神保町で唯一の新刊の子どもの本(絵本・児童書)専門店。約11,000冊を揃え、子ども連れに嬉しいカフェスペースやキッズスペースがある。ギャラリーでの展示やイベントも多く開催している。

        CREDIT

        クレジット

        執筆・編集
        『ダジャレーヌちゃん 世界のたび』の担当編集者。好きなものは、絵本・紙芝居・銭湯・目玉焼き。最近ジョギングに目覚め、10kmマラソンに参加することが夢に。
          撮影
          千葉県出身。どんな趣味も一年であきてしまう45歳。最近始めたジョギングにいたっては冬を越せるか心配中。チーバくんとパンダが好き。
          撮影
          某研究学園都市生まれ。音楽と東京ヤクルトスワローズが好き。最近は「ヴィブラフォンの入ったレアグルーヴ」というジャンルを集めて聴いている。