ライブペインティングパフォーマー・近藤康平「キャンバスに生まれた物語」#3

広がっていく、アーティストとしての活動

この記事は約6分で読めます by 三守浩平

前回は、近藤さんのライブペインティングパフォーマーとしての始まりについて迫りました。第3回では、今までどのようなミュージシャンと共演し、どうやってライブペインティングで人々の心を掴んできたのか、詳しくうかがいたいと思います。

近藤さんプロフィール用画像
近藤康平(こんどうこうへい)
1975年生まれ。2009年、友人のミュージシャンに誘われ、ライブペインティングパフォーマーとして活動を開始。樽木栄一郎 、あらきゆうこSchroeder-Headz(渡辺シュンスケ)白井良明(ムーンライダーズ)など、共演アーティストは多数。また「絵描き」として個展を開き、CDのアートワークや舞台美術も多く手がけている。
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多くの出会い

初ライブから始まって、今のようにライブペインティングアーティストとして知られるようになっていく転機はなんだったのでしょうか?

三守

最初のころは、知り合いのミュージシャンと一緒にやるぐらいでした。あるとき、当時あったライブハウス「渋谷屋根裏」の店長、赤木健さんが僕のスタイルを気に入ってくれて、いろんなミュージシャンを紹介してくれたんです。

近藤

※渋谷屋根裏:1975年創業した渋谷で最も古いライブハウス。ステージに立った有名なアーティストは、THE BLUE HEARTSやRCサクセションなど。一度、下北沢に店舗を移すも渋谷で再オープン。2013年に営業を休止した。

マイクを手にする近藤さん
ペイントされたTシャツを着るあらきさん
ギターを手にするカネミネさん
三軒茶屋のライブハウス「よんちゃ」で行われたcalybooのライブの様子。calybooは、ドラム・ヴォーカルのあらきゆうこ、ギター・ヴォーカルのカネミネケイタロウと、近藤さんが組んだバンドだ。この日は、「スナックcalyboo」といってメンバーが、バーテンダーやママになって客をもてなした。

それから、さらに多くのミュージシャンと共演する機会が増えたのですね。

三守

はい。白井良明(ムーンライダーズ)さんや渡辺シュンスケ(Schroeder-Headz)さんなど、尊敬する多くのミュージシャンと出会うことができました。

近藤
2014年3月8日に渋谷「7thfloor」で行われたライブ。大先輩との共演でしたが、良明さんは少年のように楽しくギターを弾く方で、僕も遊び心をもってパフォーマンスできました(近藤さん)

※白井良明:ギタリスト。ムーンライダーズのメンバーとして参加し、プロデューサーとして沢田研二や小泉今日子など、数多くのアーティストを手がける。自身のソロ活動も積極的に行っており、今まで多くの作品を発表している。

2013年11月4日に代田橋「CHUBBY」で行われたライブ。シュンスケさんとはまだ出会いたてのころだったので緊張しましたが、ライブを終えたあとには味わったことのない満足感が得られました(近藤さん)

※渡辺シュンスケ:セッション・キーボーディスト。今までPUFFYや後藤まりこ、柴咲コウなど、数多くのアーティストのレコーディングやライブに参加。自身のポスト・ジャズ・プロジェクト「Schroeder-Headz」としても活動中。

そうして活動が活発になるなかで、ライブペインティングを生活の中心と考えるようになる出来事はありましたか?

三守

本格的に活動を始めたのは2012年です。その頃は、出版社で絵本や児童書の編集をしていたんですが、前に共演して仲良くなった原田茶飯事さんと一緒にツアーを回ることになって。それだと仕事との両立も難しくて、もうそろそろ絵だけでやっていこうかなと考え始めました。

近藤

チャンスが増えそうな予感もあったんですね。

三守
作品の切り抜き
作品の切り抜き2

はい。その年に会社を辞めて、自分の作品づくりとライブペインティング中心の生活になりました。その後、シンガーソングライターの樽木栄一郎くんと一緒に何度もツアーに出ました。年によっては150本ものライブペインティグをしましたね。

近藤
2014年2月22日に代田橋「CHUBBY」で行われたライブ。樽木くんは絵に寄り添う演奏ができる、素晴らしい才能をもったミュージシャンです(近藤さん)

※樽木栄一郎:シンガーソングライター。ギター弾き語りスタイルで、カフェやギャラリーなど、さまざまな場所で数多くのライブを行う。2015年には奥田民生や岸田繁(くるり)とも共演を果たし、大きな反響を呼んだ。ドラマーとしても活動中。

150本も!? 最近ではどの方と共演することが多いですか?

三守

最近だと、「sleepy.ab」というバンドでボーカルをやっている成山剛くんが多いですね。彼との共演で、A4くらいの紙に絵を描く様子をプロジェクターに映すという、ライブペインティングの新たな手法が生まれたりたんですよ。

近藤

※sleepy.ab:札幌市で結成された3ピース・バンド。バンド名の接尾語「ab」(abstract)が意味する抽象的で曖昧な世界を、シンプルに美しいメロディや内に向かう歌詞、空間を飛び交うようなサウンドで表現する。

三守
sleepy.ab『neuron』
sleepy.ab『neuron』(2013年)

絵描きとしての活動

ライブペインティングだけではなく、「絵描き」(画家)としての活動はどうでしょうか?

三守

「絵描き」としての活動では、個展を開くことを大切にしています。他には、CDのアートワークを担当させてもらうこともあります。また、舞台美術をしたこともあります。

近藤
Schroeder-Headz「HALSHURA」
Schroeder-Headz『HALSHURA』(2018年)
春の雰囲気を大事にしつつ、自由に描かせてもらいました(近藤さん)
白井良明「face to guitars」
白井良明「face to guitars」(2014年)
「ギターにとりつかれたような人物」というお題で、ライブで描き上げた絵をそのまま使用。失敗できず、狙って描けるものでもなかったので刺激的でした(近藤さん)
Tokyo Creative Kids Festival 2019
近藤さんのキャリア史上、最大キャパシティでのパフォーマンス。舞台ということもあって絵の構成は事前に決めておいて、約20分のなかで描き上げました(近藤さん)

「CHUBBY」でも毎年個展を開かれていますよね。

三守

はい。「CHUBBY」の店主は、かつてロンドンのギャラリーに勤めていて。「ロンドンみたいに、帰り道に気軽に絵を買ってもらうような文化を日本でもつくりたい」という考えを共有しています。今年で、11年連続CHUBBYでの個展の開催となります。

近藤

なるほど。近藤さんの絵へのスタンスって、なんというか、全体的に自由で、誰にでも開かれている感じがしますもんね。

三守

そうですね。アーティストになるにも、美大で勉強をしてギャラリーなどに所属する、っていうのが大体の道筋じゃないですか。僕は全くそうではなかったので、やり方を固定せずに絵の文化を広めたいんです。

近藤
近藤さんの作品
ライブの様子
近藤さんの横顔

僕には近藤さんの意図がすごく伝わってきました。次回が最終回となります。近藤さんにとって、どうして絵と音楽が大切なのか、今後の活動についてもうかがいました。お楽しみに。

三守
取材協力
よんちゃ
よんちゃ
東京都世田谷区三軒茶屋2-14-12三元ビル5F
TEL 03-6450-7654
http://yoncha.com

三軒茶屋駅のいわゆる「三角地帯」と呼ばれるディープでユニークな店が立ち並ぶ裏路地にある。グランドピアノや音響設備があり、ライブやイベントが行われている。

#4 音楽と共に

CREDIT

クレジット

執筆・編集
東京生まれ、ベーシスト。アメリカの音楽と風景に憧れ、アメリカのマザーロード「ルート66」を横断するのが夢。現在バンドは組んでおらず、これからの音楽活動に向けて水面下で色々と準備中。多分、ベースよりギターの方が好き。
    撮影
    千葉県出身。どんな趣味も一年であきてしまう45歳。最近始めたジョギングにいたっては冬を越せるか心配中。チーバくんとパンダが好き。
    撮影
    某研究学園都市生まれ。音楽と東京ヤクルトスワローズが好き。最近は「ヴィブラフォンの入ったレアグルーヴ」というジャンルを集めて聴いている。