2013年にオフィス303企画制作で、TOブックスから発行された科学絵本『そらのうえ うみのそこ』。縦型の絵本で、上から読んでも下から読んでも読むことができる絵本です。主人公はインディ号に乗るタケシ。国際宇宙ステーションから、マリアナ海溝の底まで、さまざまな自然現象、不思議な生物たちと出会いながら大冒険をします。しかし、あえなく絶版。そこで303 BOOKSでリメイクして、2020年6月に再発することにしました(※追記:少し遅れて2020年7月31日に無事発売しました)。このサイトで、その進捗を報告していきます。そこで、まずは監修者である広島大学の長沼毅教授にお会いしてきました。
『そらのうえ うみのそこ』誕生
長沼先生! 『そらのうえ うみのそこ』で303 BOOKSで再発することになりました。そこで先生にアップデートの相談をしつつ。監修していただいた先生自身のお話をうかがえればと思います。
改めて読んでみると、いい本だね〜。
ほんとにそうなんですよ! この本をつくる少し前、2012年に講談社の『WONDER MOVE 大自然のふしぎ』という本で、初めてご一緒したんですよね。
そうだね。宇宙や、深海、南極や北極、砂漠、火山なんかの自然現象と、そこに生きる生物を取り上げた本をつくったんだよね。子ども向けでここまでやるか!というネタをたくさん入れたね。
そういう流れがあって、この絵本『そらのうえ うみのそこ』が生まれました。
宇宙と深海、両方同時に監修する人は僕以外にはいないかな(笑)
そうですね(笑)だからインディ号だし、主人公はタケシなんですよ。
チューブワームがはじまり
先生ってそもそもどうして極限の世界に興味をもったんですか?
実は僕は出不精で、極限の世界なんて嫌いなんだよ。用があるから行っているにすぎないので(笑)
えっ! それはどんな用が??
僕が本当に自分から興味をもったのは、深海に住むチューブワームだけなの。それだけは自分の意志で調査にでかけた。
チューブワームだけですか??
そうそう。JAMSTECのときに、潜水調査船に乗って、海底火山の近くのチューブワームに会いに行ったんだよね。
チューブワームってふしぎな生物ですよね〜。
そう。チューブワームはおもしろくて、世界中の海底火山にいると思いきや、大西洋にはいないのよ。
あ! そうなんですか! 知らなかった!
それで、「なんでかな?」と思っていたら、「大西洋の海底火山に潜らないか?」と言う話が沸き上がって、「じゃあ行きまーす!」というノリで行くことになって。
なんか、温泉いかない? みたいなノリですけど(笑)
それで行って潜って、チューブワームいないんだけども、ぶくぶくお湯が湧いてくるわけ。「あのお湯の中に微生物がいるぞ」と言うから、その微生物を培養しようと思ったわけ。
培養しちゃうんですね。
そうそう。普通、培養する時には化学薬品を使うんだけど、それを忘れちゃって。「どうしよう?」と思ったんだけど、ふと思いついて「塩をぶち込もうか」と。
塩??
海底火山の底で海水が分離するのよ。真水と超濃い塩水に。その超濃い塩水にも微生物がいるはずなんだ。それを取ろうかと思って、塩を培養したらやっぱりいるんですよ。生物が。
超塩水でもいるんだ。
それで日本に帰ってきて、データベースに照合したら、近い生物がいる。それがなんと南極の微生物だったんだ!
南極なんですか!?
そうしたら、南極に行かないか?って話になってきて・・・。
ちょっと待った! 先生、すごくおもしろいので、南極からの話は来週もう一度掲載させてください! というわけで、この続きは次回。お楽しみに!
渋谷円山町にあるトークライブハウス。日中はフードもドリンクもバラエティ豊かなメニューが揃うカフェだが、夜は超バラエティ豊かなトークライブが連日行われる。アーティスト、学者、芸人、アイドルなどが、「トークライブ」ならではの、密度の濃いコミュニケーションを生み出していく。