夢を1つずつ実現してきたアレッサンドロさん。アーティストとして、次にどんな夢をいだいているのでしょうか。第4回の最終話では、これから目指したいものについてうかがいます。
『なぞなぞショッピングモール』と、ビオレッティ・アレッサンドロ
子どもの頃からの2つの夢
※2019年夏のインタビュー記事です。予定より大幅に遅れてしまいましたが、2022年9月に「なぞなぞショッピングモールでおかいもの」の発売が決まりました。
子どもにも伝わる作品を
今後は、どのような作品を手がけていきたいと思っていらっしゃいますか?
挿し絵や絵本だけでなく、広告や動画なども含め、幅広く活動していきたいと思っています。
アレッサンドロさんの作品は、アーティスティックのものから、ポップなイラスト、そして絵本と、さまざまですね。でも、どれも対象を限定してないというか、子どもでも大人でも楽しめる豊かさを感じます。
息子が生まれたので、子どもにも何か感じてもらえる作品をつくりたいという気持ちはあります。息子が見て、「あ、お父さんなんかかっこいい作品つくっているね」って。
あ、それ素敵ですね。アレッサンドロさんが、ご自身の「おじいさんみたいになりたい」と思ったように。
やっぱり、息子にはぼくのファンになってほしい。仕事をする姿を見て、そして作品を見て。
日常の生活から生まれる発想を表現する
自分の作品を発表する場として、展覧会は毎年やっていきたいと思っています。
展示にストーリー性があるものが多いですよね。これは、あえて意識されているのでしょうか?
そうですね。展示としての面白さを出したいっていうのもあるし、スタートがあってゴールがある形にすると、見やすいですよね。また、自分としても、ストーリーを描きたいという気持ちがあるので。
展覧会のテーマは、どんなところから発想を得ているのでしょう。
自分の日常生活の中で起こるものから、インスピレーションを受けていますね。
ご自身の内面の表現が多いとか?!
「タイガー&ウーマン」というテーマの展示では、自分の中の男性的な部分(虎)と女性的な部分(ウーマン)を表現したいと思いました。
たしかに、アレッサンドロさんって、細やかな気配りをしてくださって、とても優しい方ですが、今回、日本や絵の仕事への想いをうかがって、とても熱いというか、力強い印象も受けました。
次の「銭湯」がテーマの展示は、妻が妊娠していたので、「水」のイメージもありました。また、10年以上銭湯に通っていて感じたことと、思いついたネタのようなものを表現したいなと。
「銭湯」の展示は、マンガのようにコマ割りになっているものもあって、コミカルでおもしろく、画面のすみずみまで楽しめる作品が多かったです。それと、色数をしぼって描かれているのが印象的でした。
80年代っぽい、レトロ感を出したくて、基本の黄色、青、赤に、薄い色味のピンクや緑を足しました。
今年の展示は「リバティ」でしたね。
「リバティ」は、「自由」という意味です。フリーランスになって、初めての個展だったので。
タイトルとしては、ぴったりですね。主人公がさまざまなしがらみから解放されていき、自由になったときに、タッチがガラリと変わりましたね。さわやかな風が吹きぬけたような清々しい気分になりました。
英語で「自由」というと、「フリーダム」と「リバティ」があります。「フリーダム」は与えられる自由、「リバティ」は自分の力でつかみとる自由。 かなり意味がちがうんです。フリーランスになって、自分の中の「リバティ」を見つけたいなという想いで。
来年もまた展覧会のご予定はありますか?
もちろん、考えています。だけど、まずなぞなぞの絵本を仕上げてからですね。
来春の出版に向けて、がんばりましょう!※ 今日は、ありがとうございました。
※諸事情により発売が延びていましたが、無事、2022年9月に発売が決まりました。
お見送りをしながら、昔懐かしい雰囲気が漂う路面電車の駅が、なんて似合うんだろうと思いました。日本に憧れてやってきたアレッサンドロさん。絵の魅力に加えて、優しい人柄と、仕事への情熱と、コツコツと努力しつづける姿勢と・・・、そのたくさんの魅力に、私たち多くの日本人は次々とノックアウトされるにちがいないっ。