
2013年にオフィス303企画制作で、TOブックスから発行された科学絵本『そらのうえ うみのそこ』。縦型の絵本で、上から読んでも下から読んでも読むことができる絵本です。しかし、あえなく絶版。そこで303 BOOKSでリメイクして、2020年に再発することにしました(※追記:2020年7月31日に無事発売されました)。このサイトで、その進捗を報告していきます。さて今回は絵を担当した大橋慶子さんインタビューの最終回、大橋さんの作家としての意外なルーツについてうかがったところ、驚異の傑作に出会ったのでした。

『そらのうえ うみのそこ』大復活プロジェクト
絵本作家・大橋慶子1

岐阜県大垣市出身。武蔵野美術大学視覚伝達デザイン科卒業。イラストレーター、絵本作家として活動。東京都在住。主な絵本に『もりのなかのあなのなか』(福音館書店)、『にんじゃタクシー』(フレーベル館)、『そらのうえうみのそこ』など。挿絵に『ひとりでできるかな?はじめての家事』(全5巻、大月書店)、『月のひみつシリーズ』(全3巻、ほるぷ出版)など。
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ルーツもカタツムリ

科学系の絵本が好きっていうことをうかがいましたけど、やっぱり昔からそういう素地はあったんですか?

父が高校で、母が小学校で教師をしてたんですよ。とくに母は自由研究とかすごく手伝ってくれてて、いろんな生き物を調べましたね。あと、住んでたところも比較的緑が多かったので生き物と触れる機会も多かったですね。

じゃあ、小さい頃からサイエンスの基礎みたいなのはバッチリできてたんですね。

そうかもしれないですね。そういえば、小学校1年生のときのカタツムリの自由研究で金賞とったんですよ。




カタツムリだ! 『みんな7さい!』のカタツムリで絵本作家としてキャリアを歩み始めた大橋さんが、7歳のころにすでにカタツムリを描いてたんですね!

つながってますよね(笑) この自由研究、今見返しても充実した内容でおもしろいんですよ。好きな食べ物から、好きな天気、食べもので変わるうんちの色、壁のぼり競争とかいろいろやってて。最後に私からカタツムリに手紙も書いてるんですよ。

やってることが『かがくのとも』っぽいですよね。すごくしっかりしてる。『そらのうえ うみのそこ』よりもおもしろいかも…。

それはないですよ(笑) でも、子どもがこういうのをがんばってつくったものっておもしろいですよね。

ですよね。見てて全然飽きない。いやほんとおもしろいですよこの自由研究。

自由研究を知り尽くした小学校教員の母の監修が行き届いてますからね。すごくドーピングされてますよ(笑)

それでも、この研究は大橋さんの絵本作家としてのルーツの1つですよね。自由研究も絵本もカタツムリでデビューしてるんですから。

そうですね。もう一度カタツムリに手紙書かないとですね。

科学と物語を描く

子ども時代は自由研究以外にほかに読み物をつくってたんですか?

多分学校の課題なんですけど、『わたしが生まれてから』っていう冊子をかきました。これも小学1年生のときにつくったもので、「海開きがありました。5メートル泳げるようになりました」みたいなことをかいてますね。



小学校入学してからの大橋慶子の物語がつづられてるんだ。すごく、いいじゃん!(笑)

それとは別に「おかあさんのいそがしい一日」っていう紙芝居もあるんですけど、これは「仕事をしたりご飯をつくったり子どもの面倒をみたりでお母さんがすごく忙しい!」ってことを所狭しと説明していますね。

やばい、泣ける(涙)本にしたいぐらいですね。

「朝6時30分にご飯の支度をします。お母さんはお父さんの弁当や私達のご飯を美味しくつくってくれます。トモちゃんのパンにジャムやバターをのせます。」みたいな紙芝居なんですよ。描写がこまかい! 凄いなぁ(笑)



なんか『にんじゃタクシー』に通ずる感じがありますね。

そういわれるとそうかもしれない。

やっぱり大橋さんの創作の原点には自由研究みたいな科学的なものと、こういう物語系のものがあるんですね。第2回のインタビューで大橋さんは科学的なものを表現するのが上手いって言いましたけど、物語をつくるセンスがあるからそういう表現力もあるんだと思うんですよ。

そういうセンスが備わってれば嬉しいですね。

『そらのうえ うみのそこ』が復活した後も、科学と物語が融合したような本つくりたいですね。たとえば、レイモンド・ブリックスの『スノーマン』みたいにコマ割りにして、地球の誕生から今までを描く『地球がうまれてから』みたいな。

いいですね! すご〜〜くたいへんそうですけど…(笑)

ということで『そらのうえ うみのそこ』大復活プロジェクト。大橋慶子さんにインタビューしました。ありがとうございました! このプロジェクトの続報をお楽しみに!

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