二本松市立東和小学校「ことばの授業」大橋慶子インタビュー
5年生・総合的な学習の時間
福島県の二本松市立東和小学校では、次世代教育・産官学民連携機構と協力し、5年生の総合的な学習の時間で、「ことばの授業」を実施しました。授業は、303 BOOKSの常松心平が講師となり、2021年1月13日から1月26日まで、合計6時間行われ、小学生たちは、本ができるまでの流れ、編集者の役割、インタビューの仕方、記事のまとめ方を学びました。そこで『新装版 そらのうえ うみのそこ』(監修:長沼毅教授)の作者・大橋慶子さんへのオンラインインタビューが行われ、小学生が以下の記事にまとめました。
はじめに (かほ)
私たちは、常松編集長から依頼を受け、絵本作家、大橋慶子さんにインタビューをしました。常松編集長に8つのテーマをいただき、大橋さんの魅力を日本中の人に知ってもらえるようなインタビューを目指しました。学級全員でたくさん話し合いインタビューの内容を考えました。
当日は、緊張しましたが、とても楽しく、大橋さんの魅力がいっぱいつまった記事になったと思います。
小学生のころの大橋さん(1班)
(みずき)大橋さんは小学生の時、本を読むのは好きでしたか。小学生の時、好きだったのはどんな本でしたか。
本は好きでいろいろと読んでいました。低学年の時は、「スパゲッティがたべたいよう」など、角野栄子さんの、おばけのアッチが出てくるシリーズが好きでした。文章がおもしろくて、読みやすかったです。
高学年になって「大きな森の小さな家」のシリーズを読みました。アメリカの開拓時代、家族がいろいろな場所を旅しながら生きていく話です。冒険の要素もあって、ふつうの生活もあるところが好きでした。
(ひろき)大橋さんは、小学生の時自作の本を作りましたか?
最初に絵本のようなものを作ったのは、幼稚園の時でした。鳥とうさぎが気球に乗って冒険する話をかきました。小学生でも、想像の絵と考えたお話を、一枚の紙にかいたりしていました。ほかにも、自由研究に生き物の絵をたくさんかいていました。
(りょうせい・のあ)小学生の時は絵をかくのが上手だったのですか。
先ほどのかたつむりの自由研究をかいた小学一年生のときは上手なほうでした。けれど、高学年になるにつれて、自分の求める絵に技術がおいつかなくなりました。うまくかきたいし、楽しくかきたいし、でもどこかうまくいかなくて、悩んだこともありました。
作家になる方法(4班)
(ふうき)どのようなキッカケで絵本作家を目指そうと思ったのですか。
高校生の時から絵に関係する仕事につきたくて、美術大学を目指しました。美術大学で絵本の授業を受けた時に、自分もけっこうがんばって、いい感じのものができたし、たくさんの人からもほめられられたので絵本作家を目指すようになりました。
(もみじ・あゆみ)大橋さんのプロフィールに美術大学を卒業したと書いてありましたが、独学でも絵本作家になれますか?
たとえ小学生であっても、絵本をかけばそれはもう絵本作家と言ってよいと思います。お金をかせぐプロの絵本作家になるという意味でも、自分で研究したり、努力したりすれば、美術大学を出なくてもなれると思います。
(ゆうだい)絵本作家になるのは、とても大変だと常松さんから聞いたのですが、具体的にどこが大変なのですか。
絵本を出す数少ない出版社から選ばれることや、絵本をかく長い時間、集中することです。また、しめ切りに追われるのはプロでも大変です。
絵本を作る方法(3班)
(はつき)絵本は、長い月日をかけて作成すると思うのですが、具体的にどのくらいで完成しますか?
絵本によりますが、短くて半年、長くて2・3年くらいかかります。長いものは、取材や調べる時間、編集と打ち合わせる時間などもあるので、絵そのものをかく時間は、やはり数か月くらいです。
(たかこ・りく)絵本の登場人物にモデルはいますか?
『そらのうえ うみのそこ』では、友人をモデルにしました。
また『きょだいなガチャガチャ』は、私の子どもをモデルにしています。
(ひびき)物語は現実にあったことをもとにしてかいているのですか。
科学絵本は現実にあったことを調べてかいています。
『きょだいなガチャガチャ』などの空想の本も現実にあったことおりまぜてかいています。
お話を考える方法(7班)
(ひろと)本のアイディアを考えるときに、お気に入りの場所はありますか。
外で散歩をしていたり、カフェで考えたりすることが好きです。
(ひろと)どうしてカフェや外で考えるのですか。
家の中だと、絵をかく仕事をしていて、考えるのと絵をかくのは別なんです。また、家だと家事やテレビで気が散るので、外で黙々と歩きならのほうが頭がすっきりして考えやすいです。
(みうな)お話のアイディアはいつも考えているのですか。
いつもでは、ないんですけど、なにか物を見たとき、子どもがなにか言ったときや、本やテレビを見たり聞いたりすると、アイディアを思いつきます。「あっ」と思ったときには、メモをかきます。外では、iPhoneでメモを取ります。
(はると)説明をわかりやすく書くこつはありますか。
絵本の説明はわかりやすくしないといけないので、「類語辞典」を使ってより簡単な表現に変えていきます。あと、文章のなかに同じ言葉が何回も出てこないように、短く、わかりやすくというのをいつも考えています。
絵がうまくなるために(5班)
(しおん)上手な絵をかくために、どういう工夫をしてかいているのですか。
最近の工夫は、絵をかく前に資料や図鑑を見て研究をしています。
植物園や水族館、動物園で実際に見るのが一番参考になりますが、今の時期(コロナの問題で)、あまり行けないので残念です。たくさん見て、観察すると自信がついてきます。よくわからないと思ってかくと、自信がない感じの絵になってしまいます。
(せな・ゆい)どんなことを思いながらかくと、理想の絵がかけますか。
自分の作った世界に入って行きたいと思いながらかくと、理想の絵をかく事ができます。山のシーンでは景色を見て、山のことを調べて、「山はいいな」と思いながらかいています。
(かいと)絵がうまくなるには、どのような練習をすればよいですか。
正確にかくには、よく自分の顔や、物を見てスケッチをしています。デッサンの練習もしています。ただ、いろいろな絵がありますから、自分の好きな絵を研究したり、参考にしたりするのもよいと思います。
「そらのうえ うみのそこ」(2班)
(りんたろう)『そらのうえ うみのそこ』でこだわりのあるシーンはどこですか。
積乱雲のシーンです。エベレストのシーンから宇宙のシーンまでのつなぎのシーンですが、読者が自分も冒険しているような気持ちになる大切なシーンだと思っています。黒い雲をたくさんかいたりかみなりをかいて印象を強く残せるようにしました。
(のりちか)『そらのうえ うみのそこ』で好きな場面はどこですか。
エベレストの場面です。積乱雲のシーンの後に、空が開けてきれいな景色が見えるからです。
(りおな)『そらのうえ うみのそこ』の場面で一番かくのがむずかしかったのは、どこですか。
国際宇宙ステーションのところがとてもむずかしかったです。細かい部分やステーションの裏側など見えないところを工夫してかくのが大変で、宇宙ステーションの写真を見たりしてかきました。
本を好きになるために(6班)
(しゅんすけ)大橋さんはいつから本を好きになりましたか。好きになったきっかけはなんですか。
父親が本好きで本を買ってきてくれたり図書館につれていってくれたりして、家にいっぱい本がありました。本を読まないという選択肢はなく、あたりまえに読んでいました。
(るい)どうすれば大橋さんのように、本を好きになれますか。
文が長い本とかじゃなくて、自分がおもしろいと思うマンガとか図鑑とかから読んでみたらいいと思います。そうしたら本が好きになれると思います。
(るか)大橋さんのおすすめの作家さんはいますか。その作家さんのおすすめの本は、なんですか。
海外のほんやく物が好きです。とくにミヒャエル・エンデの「モモ」や「魔法のカクテル」がおすすめです。ミヒャエル・エンデの本は、ファンタジーでおもしろいです。
今後の大橋さんについて(8班)
(こうせい・しょうだい)今後は、どんなところに行って、どんな絵本を作る予定ですか。
まず、今は『にんじゃタクシー』のパート2を作っています。それから冒険とか旅行の本を作りたいです。南極や南の島など寒い所や暑い所のお話をかいてみたいです。
(れん)福島で、どこか行って、かいてみたいところはありますか?
会津には行ったことがあるので、海のほうの中通りや浜通りに行ったり、福島のお祭りを見たりしたいです。
(まさゆき)何歳まで絵本作家を続けたいですか?
絵本をかくのが好きだから、死ぬまで絵本作家を続けたいです。
終わりに
まとめ(かりん)
大橋さんはどんな質問にも、明るく笑顔で接してくださり、やさしくわかりやすく答えてくださいました。絵本に魅力があるだけでなく、人としても魅力があり、とてもすごい人だと思いました。
絵本作家さんという仕事は、大変だけどすてきな仕事だと思います。これからもたくさんの本をかいてほしいです。
一般社団法人次世代教育・産官学民連携機構(CIE)とは
次世代教育・産官学民連携機構は、企業や国・地方自治体、学校、地域住民・非営利団体が連携して、学校に対し、生徒や児童が自ら課題を発見し解決する課題解決型学習(PBL)などを導入した授業づくりを支援します。この取り組みを通じて、次世代を担う日本の子ども達が、現実の社会で直面する課題に対して、自ら考え、人と共創し、自分事として取り組む姿勢、および実行していくための数学・科学的思考、論理的思考、デザイン思考、といった能力を持つことを目指しています。また、教育プログラムやその効果を科学的に分析し、日本の教育変革の実現と拡大に貢献することを目指しています。303 BOOKSは同機構の賛助会員。
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