2020年11月30日から12月11日まで富里市立富里南小学校は、303 BOOKSでのオンライン職場体験を実施しました。子どもたちは、303 BOOKSの編集者となり、『新装版 そらのうえ うみのそこ』(監修:長沼毅)の作者・大橋慶子さんにインタビューしました。まずは6年1組のインタビューを紹介します。
私たちが、大橋慶子さんにインタビューをすることになったきっかけは、常松編集長からの依頼でした。私たちは7つのテーマに分けて、大橋さんにインタビューをしました。
絵本作家になるために
いつ頃、どのようなきっかけで、絵本作家を目指すようになったのですか?
小さなころから絵が好きだったので、大きくなって美術大学に入りました。大学の授業で絵本を描くものがあったんです。そうしたら、とても評判がよかったのがきっかけで、絵本作家を目指すようになりました。
美術大学で印象に残った絵の練習方法は何ですか?
100枚ドローイングです。100枚絵を描く練習なのですが丁寧に描かなくてもよくて、すごい速度でどんどん描いていくんです。「いきなり100枚描くのかー!」と思いましたが、今は仕事で100枚よりも、もっと多く描くので、良い経験になったと思います。
絵本作家の仕事とは?
1冊描くのにどのくらいの日数がかかりますか?
ものによってちがいますが、『そらのうえ うみのそこ』はだいたい半年かかりました。細かいところを絵の具で仕上げるところに時間がかかりますね。
今まで描いてきた中でいちばん大変だった本は何ですか?
『きょだいなガチャガチャ』(教育画劇)は鬼がでてきて、大きなガチャガチャであそぶという本なのですが、現実にはないものを、想像してなにもないところからつくっていくので、大変でした。
今までいちばんヒットした本はなんですか?
ヒットというか、一番多くの人に読まれた本は『もりのなかのあなのなか』(福音館書店)です。「かがくのとも」は日本でたくさんの人が読んでくれるシリーズですし、韓国でも出版されて読んでもらっています。
絵本を描く時どのような道具を使っていますか?
細いものから幅の広い筆まで、たくさんの形の筆を使っています。絵の具は、アクリル絵の具というのを使っています。発色が良くて、きれいな色が出るんです。ほかにも色鉛筆やローラーを使っています。
絵本作家のふだんの暮らしは?
どんな時に絵本のアイデアが思いつきますか?
日常でぼーっとしている時に「あっ、これおもしろいなぁ」と、急に思いつくことがあります。他にも、休みの日に子どもと水族館や動物園などに出かけた時にも思いつきます。
絵本作家として習慣にしていることは何ですか?
ちょっと変わった習性をもつ動物や、子どもの動き、地面にいる生き物を観察することです。これが新しい本のアイデアになることもあるからです。
絵本を描くこと以外で何をしている時が好きですか?
絵を描くことがそもそもいちばん好きなのですが、ほかには、音楽を聴くことが好きです。アコースティックギターを弾くことも好きで、マーティンというメーカーのギターをもっています。
これまでやってきた仕事について
大橋さんが描いてきた本の中でいちばん好きな本は何ですか?
ひとつに決めるのは難しいのですが、お気に入りは3つ!! 『きょだいなガチャガチャ』(教育画劇)『そらのうえ うみのそこ』(303 BOOKS)『もりのなかのあなのなか』(福音館書店)です!
今まで描いてきた中でわくわくした仕事は何ですか?
やっぱり、『そらのうえ うみのそこ』は、描いていて本当にわくわくしましたね。描いている時、自分も宇宙から深海まで旅した気分になりました。やっぱり今の科学では、宇宙から深海まで一気に行けないので、未来は、こんなことができたらな〜と思って描いていると楽しくなります。
大橋さんが描いたほかの本を見せてください。
いいですよ。まずは『かいじゅうのしいくいん』です。これはアシカやアザラシの事を本に描いてあります。あとは、『にんじゃタクシー』です。これはタクシーが忍術を使って街を行くお話です。『ダイジシーンからのおねがい』は、いつ来るかわからない地震の事をどう防げばいいかを説明しているお話です。『ひとりでできるかな?はじめての家事』は絵だけ担当したのですが、家事のやりかたについての絵本です。ほかにもまだあるので探してみてください。
科学の絵本について
今まで描いてきた科学絵本でいち推しはなんですか?
1つにしぼれないのでいくつか言いますね。『そらのうえ うみのそこ』『もりのなかのあなのなか』、そして「がくしゅうおおぞら」という雑誌に描いた『きょうりゅうが いた せかい』です。恐竜の事を描くのは初めてだったうえに、恐竜はおもしろい形をしているなぁと思っているので気に入っています。
科学絵本を描くうえで大変な事はなんですか?
間違いがないように描くのが大変です。魚なら背びれがどんな形だとか、そういうのは生物として決まっているので、間違いがないように描かなければいけません。ところが、深海魚など珍しい生物は正確な資料が無かったりするし、もちろん見た事もない。そのため、編集者にチェックしてもらい、ミスがあれば指示してもらいます。
好きな絵本、影響を受けた本について
「イラストレーター、絵本作家として活動」と紹介されている記事をみましたが、イラストレーターとしては、どのような仕事をしているのですか?
いろいろな本や、雑誌の編集者に頼まれて絵を描いています。ほかにも、地域で貼られるポスターを頼まれたり、テレビ番組で、説明に使うイラストを描いたりしています。
絵本作家、イラストレーターをやっていてうれしかった事や良かった事はありますか?
家族や身近な人にほめられるのがうれしいですね。あと、絵本が重版されるとうれしいです。重版とは、本が売れて、本屋さんに置いてある本が少なくなくなって、追加で印刷することです。そうすると、また本屋さんに新しい本が並びます。
好きな絵本、影響を受けた本は何ですか?
『きょうりゅうのかいかた』(岩波書店)(くさのだいすけさん・作、やぶうちまさゆき・絵)は科学絵本になっていて、もしきょうりゅうを飼うとしたらどうするか? などがていねいに書かれていてます。あと、『ぼくのぱん わたしのぱん』(福音館書店)は、料理の絵本なんだけど、ていねいに描かれているので、とてもわかりやすいです。また『ムッシュ・ムニエル』シリーズ(福音館書店)を描いた佐々木マキさんの不思議さや、『ちっちゃな ほわほわかぞく』(童話館)の絵を描いたガース・ウィリアムズさんの丁寧な絵にも影響を受けました。
絵が上手になるために
絵を描いたきっかけはなんですか?
2~3才の子どもの頃から、気がついたら絵が好きでした。両親も絵が好きだったし、一緒に絵の具とかを使って描いてたのがきっかけです。
どうやったら上手に描けますか?
たくさん描くのが大事なので、デッサンの練習をします。デッサンはものを見て正確に描くことです。ちゃんとデッサンができるようになって、それと同時に個性をだすことも大事です。
いちばん描きやすいものはなんですか?
そうですね。全部描きやすいとも言えるし、全部難しいというところかな。例えば、子どもをひとりシンプルに描くとしたら、一見簡単そうに思いますが、よく考えると、どんな表情にするか、どんな色で塗るかなどと考えると難しいです。
絵を描いているときは、ミスしても消さないほうがいいですか?
ミスしたら消してますけどね、私は。失敗した紙は捨ててますよ。でも一つの絵を完成させるには、上手に描けるまで、何回も失敗してのくりかえしです。
職場体験では、常松編集長から身近で普通に読んでいる絵本がいろいろな作業を通して書店までならぶことを教えてもらいました。そして、大橋慶子さんからは、絵本作家さんのお仕事について、詳しく教えていただきました。303 BOOKSさん、大橋慶子さん、ご協力ありがとうございました!