FtX(女性性として生まれるが性自認が未定であること)であり、女性の体型に合うメンズパターンのオーダースーツを提供するアパレルブランド「keuzes(クーゼス)」を運営する田中史緒里さん。今回は田中さんに、クーゼスを設立する前の会社時代の話と、設立した当初の話を伺いました。
LGBTQ+に寄り添う若き実業家・田中史緒里
事業のヒントは、成人式
上京してから3、4年いた部署が解散
今回は、上京して最初に入ったテレアポの会社についてからお聞きしていきたいと思います。その会社には、どのくらいいたんですか?
だいぶ長かったですね。3、4年くらい。
結構長いですね。
仕事内容は結構過酷だったんですけど、とにかく人がよくて。今でも集まったりするし、もう仕事場で出会ったような関係性じゃなくなってきてると言うか。
仕事仲間を超えた域にいるんですね。
地元の人よりも職場の人の方が仲良くなっちゃってるぐらいの関係性で、みんなで支えあって続けてましたね。
仕事は辛いけど、その仲間と一緒だったから乗り越えられたんですね。
「うちらいるもんね!やっぱうちらだよね!」みたいな謎の青春みたいなのをやってましたね(笑)
めちゃめちゃ楽しそうですね(笑)逆に、なんで辞めちゃったんですか?
そこのコールセンターのテレアポの部署自体が無くなったんですよね。
え、寂しいですね。
みんな急に野に放たれて「え、どうすんの?」みたいな。そしたらまたその中の何人かが、ここ良さそうだよって見つけてくれて、自分も流れ込んだりとかして。
次の会社はどういう仕事だったんですか?
そこもテレアポで、結局同じような会社を全部で3社転々としてたんです。
仲間に支えられた会社時代
自分の会社は、どのタイミングで始めたんですか?
最後のテレアポの会社に所属してる段階で、すでに自分で事業を始めてたんです。なので、自分の会社とテレアポの会社を掛け持ちしていたっていう感じですね。
テレアポの会社は、毎日出社するっていう感じじゃなかったんですね。
逆に、自分の事業の仕事がなかった時に行けたら行くっていう感じでした。それを了承してくれてたっていう。
それは働きやすい会社ですね。その会社には、最初一緒だったLGBTQ+のお友達もいたんですか?
いました。いました。
じゃあ最後まで仲間に恵まれて、楽しく会社時代を過ごしたんですね。
はい。一生人に支えられた仕事生活でしたね。
SNSの100万円企画当選で、クーゼススタート
クーゼスの設立当初の話を聞きたいんですけど、先ほど話してたテレアポの会社にいる時に設立したんですよね?
そうです。会社自体は2018年に法人化してたんですけど、お金がなくて。じゃあお金が貯まるまで何か他の事業をすればいいかと思ったけど、結局思いつかなくて。で、最近SNSで話題になった100万円企画ってあるじゃないですか。
ありましたね。社長や実業家達がSNSで抽選して、当たった人に100万円プレゼントしますっていう企画。
あれで100万円当選して。
え、すごい!あれって本当にもらえるんだ!
そうなんですよ。その100万円を全てスーツに投資して、2019年に本格的にクーゼスを始めました。
なるほど。その100万円が設立資金になったんですね。
そうですね。やりたいことってみんなたくさんある中で、お金がなくてできない人っていっぱいいるじゃないですか。でも簡単に、じゃあそのためにお金を稼ごうっていかないと思うんですよ。だから田中は自分の力でお金を増やして、同じような形で田中が配れるようになっていったらいいんじゃないかなと思って。
それめちゃくちゃ素敵でかっこいい考えですね。少なくとも田中さんは、その100万円が始まりでどんどん動き出していったんですね。
はい。一番やりたかったことだし、なんか知らないけど絶対に当たると思ってたんです。当たる人の条件としての“今後社会に貢献できる人”とか“夢がある若者”っていうのが、自分かなっていうくらい当てはまってたから、すでに工場も見つけてたし、制作の手前まで進めてました。もし当たらなくても借金しようと思って。だから、当たったことに対してはあんまりびっくりしなかったですね。
当たることがわかる前にそこまで準備してたっていうところから、田中さんの本気の覚悟が伝わりますね。それにしても、100万円当選するなんて、実力はもちろんのこと強運の持ち主でもありますね!
確かにそうかもしれないですね!
次回は、スーツの知識が0だった田中さんが、全国を飛び回りながら行う具体的な仕事内容や、お客さんとのほっこりするお話の内容まで詳しく聞いていきたいと思います!