文字や写真、イラストなどの静止画に動きを加えて、動くグラフィックをつくるモーショングラフィックデザイナー。モーショングラフィックスの中でも、ドット絵業界で有名だというAniEmoNさんにインタビューをしてきました。今回は、AniEmoNさんが得意とするドット絵でどういう動画を作っているのか、どんなソフトを使って作っているのかなど、ドット絵について詳しくうかがいます。
ドット界の新星!モーショングラフィックデザイナー・AniEmoN
仕方なく進んだグラフィックの道がのちに開花
遊びの一環でやっていたドット絵が仕事に
今回からはいよいよドット絵の話に入っていきたいんですが、森さんは今ドット絵によるクリエイティブ活動をメインにされているんですよね?
8bit音源で作る音楽、いわゆるピコピコ音のことをチップチューンっていうんですけど、その界隈でミュージックビデオであったり、イベント映像などを作らせてもらってます。
それも仕事の一環なんですか?
どちらかというとプライベートでの遊びの一環が仕事になったっていう感じですね。最近は、YouTuberさんとかがゲーム実況配信などをする時の、トップページやオープニングをドット絵風に作ってほしいっていう依頼が増えましたね。
ちなみに、何か作った動画って見れますか?
これなんですけど、ちょっと面白いのが、9人のミュージックアーティストの合作のミュージックビデオで、アーティスト以外の人も参加出来るようにってクラウドファンティングでパトロンさんを募ったんですよ。そういう参加の仕方もあるんだなって思ったし、目標額にも達せたので嬉しかったですね。
これは何に使われてる映像なんですか?
公式ミュージックビデオとしてYouTubeで公開されたり、あとはアーティストがライブをする時にバックで流したりします。
これは音源が送られてきて、その音源に合わせて映像を作ってるんですか?
そうです。なので、音楽ありきで映像を作ってます。
こういうのを見ると、AniEmoNさんはグラフィックデザインの中でもドット絵が得意だということがよくわかりますね。
そうですね、得意ですね。
ドット絵を始めたのは、フリーになってから
もともとドット絵は好きだったんですか?
レトロゲームとかゲーム自体はもともと好きだったんですけど、8bitとかチップチューンとかのカルチャーがあるって事を知ったのはフリーランスになった時くらいなので、ドット絵を打ち始めたのもつい最近です。ドット絵の深い文化に魅了されて、今は結構本格的に取り組んでるっていう感じですね。
子供の頃から好きってことは、ゲームもたくさんやってたんですか?
本体だとファミコンからやってましたね。スーパーマリオブラザーズから、スーパーファミコンだとスーパードンキーコングとかカービィとかクロノトリガー、ファイナルファンタジーとか。
本当に好きだったのが伝わりますね。
この仕事をするには“After Effects”が必要不可欠
ドット絵をつくる時って、After Effectsっていうソフトが大事になってくるんですよね?
これが触れれば、基本的にモーショングラフィックスって呼ばれるものは作れると思います。
AniEmoNさんは1社目のところでAfter Effectsを学んだんですよね。HALではそういう勉強はしなかったんですか?
After Effectsとかの勉強もしましたけれど、やっぱり実務的なところ、効率性だとか、裏技的なところとか、そういったところはやっぱり会社に行かないと学べなかったです。
ちゃんと仕事として通用する使い方みたいなのは会社で学んだんですね。
そうですね。
じゃあモーショングラフィックデザイナーを目指している人は、After Effectsは絶対できた方がいいということですよね。
そうですね。モーショングラフィックスを作りたいのであれば、必須ですね。
実際にAfter Effectsで作業する時、例えばドット絵だと下書きみたいなのをして書いていくんですか?
映し絵みたいな感じですね。描いたイラストをトレースして、ピクセルの少ないキャンパスに一個一個打っていくような結構地道な作業です。
点で埋めていくんですね。色合いとかも全部自分で決めるんですか?
自分でやってます。
もともと油絵をやってたから絵が上手いんですもんね。じゃあ絵の才能は相当大事ですね。
そうですね。でも自分はキャラクターが描けないので、誤魔化しが効くドット絵に逃げたっていうのもあるかもしれないですね(笑)。
ドット絵じゃない、例えば企業のロゴの映像とかだとどういうふうに作ってるんですか?
ロゴアニメーションだと、XYZ軸があって、一つ平面的に動きをつけたらそれにちょっとZ軸に奥行きをつけたりしてます。
え、頭の中でどう考えてるのか見てみたい(笑)3Dの空間で考えてるんですもんね。ということは、角度とか厚みとか影の位置とか全部0の状態から自分で決めてるんですよね?
そうですね。頭の中でこう動かすって決まってるので、それを形にしていっていると言う感じですね。
実写の中にグラフィックを入れる作業もあるんですか?
あります。これなんかは、ショートショートフィルムフェスティバルで賞をとった映像ですね。ビルの形に合わせてグラフィックを入れてって感じですね。
一気におしゃれになる。あるのとないのじゃ全然違いますね。最終回では、モーショングラフィックデザイナーのやりがいや今後の仕事について、目指している人へのメッセージを聞いていきたいと思います!