亀ってこんな生き物だったの??

〜自分を亀と思っていない亀の話〜

この記事は約4分で読めます by 鬼塚夏海

リモートワークが始まってはや一年。

家のリビングにPCを広げて一日を過ごすのが、日常となりました。この一年を通して変化したことはいろいろありますが、私にとっては、ペットとの距離が縮まったことが大きかったです。

我が家のアイドルは、推定10歳ちょっとのクサガメです。

名前は、家族が適当に好きに呼んでいます。私は「ごうちゃん」と呼んおりまして、どうやらオスらしい。大きくなったら首の模様が消えるのがオスだとか、書いてあるのを見かけます。中学生の長男いわく、昔は首に模様らしきものがあったそう。10年でほぼ倍の大きさになりました。

階段の縁にいても、そう簡単には落ちない。(昔はよく落ちたけど)。

出会いはペットショップではなく、多摩方面の実家の近くの小川です。餌になる生物もいなさそうな、きれいな湧き水の流れの中に、小さなカメがぽつんと佇んでいたのでした。

暮らしている家は電車で1時間ほど。当時はまだ次男がベビーカーに乗っていて、ベビーカーの押し手に亀を入れた紙袋をぶら下げて電車に乗ったのです。ホームで、知らない人に「あの…か、亀が、落ちましたよ」と教えてもらって、亀が脱走しているのを発見。当時はまだ10センチメートルほどしかなかったので、衝撃も小さかったのですね。

今では、家の階段から落ちようものなら、ガランガランガッタン!!とものすごい音が響きわたるので、すぐに人間が救出に向かいます。

さて、リモートワークで、すっかり亀と仲良しになってしまいました。以前から薄々感じていたのですが、ごうちゃんは、人間が大好き。

夏の間はベランダに水場をつくって過ごさせていたのですが、室内で人間の動く気配がすると、網戸にどこまでもよじのぼって「部屋へ入れて~」アピールを繰り返します。何度も落っこちながら体力の限界までがんばるので、根負けして入れてやると、仕事中の私の足の甲によじのぼってじっとしています。

トイレへ行っても、飲み物をつくろうと席を立っても、あわててついてくる。そのたびに、板張りのリビングに「カッコンカッコンカッコンカコカコカコ…」と甲羅の音が響きます。

こうして夏中、亀とふたり、濃密な時間を過ごしたのでした。

「お手」を訓練中。「お手」ができたら、動画デビューの予定(?)

よく観察してみると、家族を匂いでも識別しているし、目でも見分けているよう。とくに好きなのが、お母さん(私)。なーんにもいいことしてやっていないのに、なぜお母さんが好きなのか? キッチンを行ったり来たりするたびに、大慌てでついてきて、鼻先を足から2ミリメートルのポイントにおいて、じーっと匂いを嗅いでいます。

当然、お母さんが亀の存在に気づかず、1メートルも蹴っ飛ばす事故が多発。どうやら、蹴っ飛ばすのはお母さんの履いてる犬の足の形のスリッパだと思っているらしく、このスリッパだけは(ほかのスリッパは大丈夫)怖がって、「おらおら~」と近づてみると、じりじりと後ずさり。だけど、履いてるお母さんの足の匂いはいつも嗅いでいたい。ものすごいジレンマに身悶えしながら、右往左往しているのです。

こんなに愛を示されているお母さんですから、もちろん噛まれたことなど一度もありません。ところが、2人の小学生の足指には平気で噛みつくのです。

テーブルに着席してゲームなどをやっていると、いきなり「いってぇーーーー!!」とわめくことになり、子どもたちはおっかながって床に足をつけていることができません。匂いで、「これは餌である」と判定しているようなのです。

ゲーム中の次男の足にしがみつく亀。このあと、登っていって、ズボンの裾にすっぽりはまりました。

中学生の長男はお世話係なので、さすがに噛みつきはされません。

冬の間、冬眠させるかさせないか問題が我が家の懸案事項でしたが、ついに冬眠させないで人間とともに寝起きをさせることになりました。日中はヒーターで暖めた水の中で過ごさせて、夜は長男の布団でいっしょに寝るという流れに。

人間の熱がないと、さすがに亀も寒くて風邪をひいてしまうのです。自分の熱で布団を暖められればいいのですが、爬虫類はそれが難しいのですね。たまにシーツにちょっとした粗相をされてしまいますが、人間の子どものおねしょにくらべたら、匂いも何もかもノープロブレムです。

そうそう、ごうちゃんが嫌いなものが、犬の足のスリッパのほかにもうひとつありました。

鏡に映った自分の姿を見ると、恐れおののいて逃げ出します。自分を亀だとは思っていないのですね。

天敵はお母さん(私)が履いているスリッパ。いつも蹴飛ばされるので、超警戒体勢で後ずさり。

というわけで、ここまで読んでいただいた皆様、クサガメの可愛さをおわかりいただけたでしょうか。

朝の8時、3人の子どもが学校へ向かおうとバタバタわさわさしているリビングで「ボクもがんばらなくっちゃ!」とばかりに、動く人の後をかたっぱしから追いかけてまわるごうちゃん。みんながいってしまうと、寂しそうに階段の縁に佇むごうちゃん。学習して、階段から落ちることはなくなりました。結構、賢いのです。

願わくば、あと何十年か、生きてほしいものです。

かわいがってくれるお兄ちゃんの手の中が、いちばん落ち着くんだな。

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丑年生まれの編集者。毎日てんてこまいで、自分の好きなことも忘れてしまいがちな今日このごろですが、子育て後の人生を取り戻すべく、助走をつけています。