BACK TO MY TOKYO

この記事は約6分で読めます by ユースケ“丹波”ササジマ

新型コロナウイルスが日本国内で猛威を振るい初めて、はやくも半年がすぎました。東京の街は依然として輝きを取り戻せていません。外出する人の数は減り、自分の好きだったお店も苦戦していて、場合によっては閉店してしまっています。
そんな東京を応援すべく、303 BOOKSの我々が自分の愛する「マイ東京」を紹介していきます。

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BACK TO MY TOKYO

オタクより愛をこめて

こんにちは、ユースケ・丹波・ササジマです。

私が住んでるコロンビアでは、コロナウイルス感染者が増え続けていて、延長につぐ延長でいまだにロックダウン中です。さらに8月末までの延長が決定しています。3月末から始まったロックダウン生活はもう120日くらい続いて、1年の3分の1はロックダウンしていることになりますね。

しかも、今(8月6日)は感染者数増加のピークの時期だということで、土日祝は全員外出禁止(配達業者など例外的に外出できる人はいる)など、最近のロックダウンはより厳しくなっています。そんな状況なので、ロックダウンもせず、さらにはGoToトラベルキャンペーンなんてものが開催されている日本を見ていると本当に羨ましいかぎりです。

まあ、正直「まだコロナウイルスが流行ってんのにこんなキャンペーンやってんじゃねえよ」とは思いますし、日本にいたとしても私は旅行しないと思いますが、そういう「自由」がある状態がいいじゃないですか。こっちは、そんな自由がまったくないですからね。週末にウキウキで外出しようもんなら警察に見つかって罰金をくらって家に帰されるんですから。

はやく自由に外出したい!

さて、BACK TO MY TOKYO ということで、もし外出できる自由があったら出かけたい東京の街を紹介したいと思います。

まずは早稲田。早稲田というと学生街というイメージしかないと思いますが(実際そうですが)、この街の魅力は唯一現在も運行している都電、都電荒川線(新宿区の早稲田と荒川区の三ノ輪橋を結ぶ路面電車)が走っていることです。「じゃあ三ノ輪橋とかでもいいじゃん」と言われるかもしれませんが、都電荒川線は沿線に咲くたくさんのバラが有名で、そのバラがあるのは三ノ輪橋周辺が多いんですよ。

だから、始点の早稲田から乗れば、沿線の景色を楽しんだあとにシメとして終点近くに咲くたくさんのバラを堪能するという乗り方ができるわけです。バラの見頃は5月頃なので来年あたりにぜひ。

都電荒川線といえばこの沿線に咲くバラで有名なんですが、2017年に「東京さくらトラム」という愛称がつけられました。「あれ、バラは?」と言いたくなるんですが、「沿線に桜を見れるところもあるし、さくら=日本って感じで外国人にも親しみやすいじゃん」的な感じで採用されたみたいです。まあいいんですけどね…。

早稲田駅に停車中の都電荒川線の車両。この9002号車はレトロなデザインが特徴。

沿線の桜の名所といえば飛鳥山公園です。都電荒川線の飛鳥山駅を降りてすぐの場所にあるこの公園には、小高い山を昇降する乗り物「アスカルゴ」があります。このアスカルゴ、カタツムリの形をしていて可愛くて、しかも無料で乗れるのでおすすめです。桜なんか見なくていいのでとにかくアスカルゴに乗っていただきたいですね。

エスカルゴ(=カタツムリ)と飛鳥山をかけてアスカルゴ。名前まで可愛い。

あとはオススメしたいのは向島あたりですね。向島は浅草から隅田川を超えた辺りにある地域で、私は2年間くらいこの付近に住んでいました。葛飾北斎と関わりが深い場所で、北斎が題材にした牛嶋神社とか三囲神社とかがあります。

ほかにも、元々民営庭園として誕生した向島百花園とか、桜橋という隅田川で唯一の歩行者専用の橋とかいろいろ観光的なものはありますが、向島の一番の魅力はとにかく散歩が気持ちいいことですね。堤防沿いは開放感があって心地いいし、路地へ入ればいい具合に込み入ってるのがいいんですよ。あと、近くにスカイツリーがあるんで土地勘がない人でも迷うことがないですね。迷えばスカイツリーを目指せばいいんですから。

さらに、観光客で賑わう浅草も歩いていける距離です。ちなみに、隅田川には東武スカイツリーライン・伊勢崎線の列車が通る隅田川橋梁という橋があり、この橋を通るときは列車はス ピードを下げてゆっくりと浅草へと入っていきます(下り列車なら浅草から出ていく)。

この隅田川橋梁、とても美しくて趣きのある橋ですが、2018年から夜になるとライトアップされているようなのでさらに見応えがあります。また、今年の6月にすみだリバーウォークという歩道橋が隅田川橋梁に設置されたようで、スカイツリーから浅草まで徒歩で行き来できるようになったそうです。列車の走行音を耳で楽しむ一方、隅田川を下に望みながらスカイツリーから浅草まで散歩できるって最高じゃないですか! 今すぐ日本に帰りてぇ…。

なにやら隅田川橋梁ととうきょうスカイツリー駅の間に「東京ミズマチ」っていう新しい商業施設ができたみたいですので、浅草を観光して、すみだリバーウォークでゆっくりと橋梁に進入する列車の姿や音を味わって、東京ミズマチでショッピングするという盤石な散策コースが出来あがってるじゃないですかこれ。

三囲神社の社殿。三囲とかいて「みめぐり」と読む難読神社。この神社は三井家の守護社になっていて、三井広報委員会によると、三囲の「囲」の字は「井」を囲んでいるので三井を守るからなどなどの理由で信仰されているらしい。左に見切れているライオン像は三越池袋店に飾ってあったもの。
向島近くの堤防沿い。散歩する人やジョギングする人が行き交う。右奥に見えるのが隅田川橋梁。橋梁は夜になるとライトアップされる。
向島のデニーズ越しのスカイツリー。日本一高いランドマークがあるので迷わない。

浅草といえば浅草寺などを擁する説明不要の一大観光地ですが、その観光地の中心である浅草寺から北にいったところに浅草浅間神社という神社があります。

その浅草浅間神社周辺では、5月と6月になると「お富士さんの植木市」という大きな植木市が開かれます。調べたところによると、東京でもっとも歴史がある植木市らしくて400年も続いてるそうで、この時期は入梅で植木を移植するにはちょうどよく、「お富士さんの植木市」で買った木はよく根がはるといわれて評判が広がって大きな市に発展したらしいです。たしかに、昔この植木市で買ったケヤキとウメは今も元気に育っています(もちろんコロンビアではなく日本の実家で)。

路地いっぱいに観葉、盆栽、園芸植物が並べられている光景は植物好きにとってはたまらないんじゃないでしょうか。今年は感染症対策として開催が見送られたようですが、来年はコロナ問題も落ち着いて、無事に開催できればいいですね。

種々の植物が所狭しと並べられている。
鋭利な岩でつくった五葉松と長寿梅の寄せ植え。めちゃくちゃかっこいい。12000円。
ブルーベリーの品定めをしている怪しい男性客。いや、これはもしかして303BOOKS営業の野田さん?

今回は早稲田と向島、そして浅草を紹介しました。乗り物+植物好きという非常にニッチな層に向けたものになってしまいましたが、もし興味がわきましたらそれぞれの場所へぜひどうぞ。

CREDIT

クレジット

執筆・編集・撮影
株式会社オフィス303の元社員。黒豆で有名な兵庫県丹波篠山市出身。2017年に日本を飛び出して1年ほどラテンアメリカ諸国を行脚する。現在はライターやフリー翻訳者として働きながら超低空飛行で生き延びる。
イラスト
1994年、福岡県生まれ。漫画家、イラストレーター。第71回ちばてつや賞にて「死に神」が入選。漫画雑誌『すいかとかのたね』の作家メンバー。散歩と自転車がちょっと好きで、東京から福岡まで歩いたことがある。時代劇漫画雑誌『コミック乱』にて「神田ごくら町職人ばなし」を不定期掲載中。