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お腹がすいちゃう「飯テロ」映画

この記事は約7分で読めます by 加藤季余乃

こんにちは。加藤です。暑い日が続きますが、いかがお過ごしですか。自粛の影響で外に出て息抜きをするのもままならない中、暑さで熱中症になる人が続出しているとのこと。「栄養を取りたくても、暑くて食欲が湧かない……」そんな人を元気づけるべく、今回は観ればお腹がすいてくる、栄養満点な「ご飯」がテーマの映画をご紹介します! ダイエット中の人は要注意です(!)

どの作品もサブスクで観られるので、家で楽しむことができます。

気になるシチュエーションの項目をぜひ見てみてください。

マイアミのビーチでキューバサンドを食べる

『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』

2014年公開
U-next

問題を起こして、レストランをやめることになってしまった一流シェフのカールが、息子とともにフードトラックに乗って、キューバサンドを販売する旅へと出発するという物語。家族愛の詰まったストーリーを、おいしい料理とノリノリのラテンミュージックとともに楽しむことができます。

太陽が照り付けるマイアミのビーチで、ジューシーなキューバサンドが焼かれるところを見るだけで、思わずよだれが垂れてしまいます。この映画では他にも、ホットなリゾート地域ならではの、がっつり食べ応えのある料理が登場します。夏のこの時期にこそオススメの作品です。

この映画の監督も務め、主人公のカールを演じるのはマーベル・ヒーロー映画『アイアンマン』シリーズの監督、ジョン・ファヴロー。アイアンマンを演じるロバート・ダウニー・Jrや、同じくマーベル・ヒーロー映画に出演するスカーレット・ヨハンソンもこの映画に出演しています。

お腹が満たされたら、ダイナミックで爽快感を感じるジョン・ファヴロー監督の他の作品を見て、カロリーを消費するのもいいかも。

余談ですが。映画に登場した、華やかな街ニューオリンズの名物「ベニエ」。揚げたドーナツにたっぷりの粉砂糖が振りかけられたこの料理は、ディズニー映画『プリンセスと魔法のキス』でも人々から愛されるスナックとして登場しました。おいしそうにベニエを食べるシーンを観て、「一度は食べてみたい!」と思った人も多いのではないでしょうか。

アメリカにあるディズニーランドでは、実際にベニエが販売されており、自粛中でも楽しめるようにと、ディズニー公式がレシピを公開してくれたことで話題になりました。気になる人はぜひ作ってみて、この映画に出てきそうなラテン風な味をお楽しみください。

フランス大統領邸で田舎料理を食べる

『大統領の料理人』

2012年公開
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フランスの田舎でレストランを経営する女性料理人のオルタンスは、ある日、推薦で大統領の料理人に任命されます。大統領が希望するのは、意外にも素朴な家庭料理でした。大統領の料理人として働いた二年間と、彼女のその後の様子を交互に描いた作品です。

この映画は、実際に大統領邸史上初の女性料理人として働いたダニエル・デルプシュがモデルとなった伝記映画です。彼女を大統領の料理人として推薦したのは世界で最もミシュランの星を持つ有名シェフ、故ジョエル・ロブション。

なんともリッチな雰囲気を感じますが、映画に登場するのは「おふくろの味」を感じるフランスの田舎料理ばかり。もちろん一皿一皿がおしゃれですが、高級フレンチコースを食べるときのような堅苦しさは抜きで、楽しむことができます。

中でも、田舎パンにトリュフバターをたっぷり塗って、その上に大きめに薄切りしたトリュフを何枚も載せた「タルティーヌ」は、思わずため息がこぼれてしまうほどおいしそう。トリュフ本来の味わいを口いっぱいに感じるこの料理は、トリュフの本場フランスの大統領であるからこそ味わえる贅沢だけど、気取らないシンプルな一品です。

普段食べるには贅沢かもしれませんが、いつもと違う料理を見て、どんな味なのだろうと想像を膨らませるのも、料理映画の楽しみの一つです。

南極でエビフライを食べる

『南極料理人』

2009年公開
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南極観測隊の料理担当として南極へ派遣された西村。彼を合わせた8名の観測隊員の日々を描いた作品です。彼らは、ペンギンやアザラシはおろか、細菌さえいない極寒の地で約1年、生活を共にします。

実際に南極観測隊員として、マイナス60度近くの南極で越冬した西村淳さんのエッセイが原作となった作品です。2019年には『面白南極料理人』というドラマも放送されました。

どんな生き物も凍えてしまう極寒の地で、おじさんたちを止めるものは何もありません。足場の氷だって、シロップをかけて食べちゃう。そんな彼らのように、料理も、自由で大胆な調理方法で登場します。

偶然、食糧庫の中で発見された伊勢海老をどのように調理しようか? という話になり、「やっぱエビフライだろ」と西村の反対を押し切って、エビフライを主張するおじさん達。両手に収まらないサイズのエビフライが食卓の上に並びます。

その大きさに引いて「やっぱ刺身だったな」と愚痴をこぼしながらも、おじさんたちはエビフライにかぶりつきます。一体どんな味や食感なのでしょうか。ある意味、『大統領の料理人』で紹介したような高級食材より、想像のつかない料理かもしれません。

観測隊員たちの大変だけど楽しもうとするコントのような日々がメインに描かれていますが、遠く離れた日本にいる大切な人との絆というテーマも、この映画には込められています。

自分たちが、つらい状況でもおいしいものを食べて元気を蓄えられるように、大切な人たちもおいしいものを食べて幸せでいてほしいという思いを感じました。

フィンランドでおにぎりを食べる

『かもめ食堂』

2006年公開
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フィンランドのヘルシンキに、新しくできた「かもめ食堂」という食堂を中心に、3人の日本人女性とフィンランドの人々が繰り広げる穏やかな日常を描いた映画『かもめ食堂』。作家の群ようこが原作を書き下ろし、映画『めがね』など、独特のゆるさとやわらかな空気が漂う作風で人気の高い荻上直子が監督を務めた作品です。

かもめ食堂で提供される料理は日本の料理。それも、おにぎりや焼き鮭定食など、どこの家の食卓にも登場しそうな、家庭的でぬくもりのある料理達です。

空気の澄んでいる森と湖の国フィンランドで、心のこもった日本料理がテーブルに並ぶこの映画を観ると、現実のほろ苦さを忘れて、ほっと一息つくことができます。

この映画のフードスタイリストを務めたのは、飯島奈美。先ほど紹介した『南極料理人』や、映画『深夜食堂』など、数々の映画やドラマでフードスタイリングを手掛けています。懐かしくあたたかさに満ち満ちた彼女の手掛ける料理に虜になってしまう人も多いはず。『深夜食堂』シリーズも動画配信サービスで楽しむことができるので、飯島奈美の料理をもっと味わいたいという方は、ぜひチェックしてみてください。

家族と一緒に焼き肉を食べる

『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ栄光のヤキニクロード

2003年公開
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野原家の今日の晩御飯は、なんとめったに食べることができない焼き肉! 焼き肉のために今日もみんなで頑張ろうと意気込んだその時。怪しい男が飛び込んできて、野原一家が謎の組織に追いかけられることに! 全国指名手配も出され、どこにも逃げ場のない野原一家は、逃げ切ることができるのか。はたして晩御飯の時間には家に帰ってこられるのか!?

クレヨンしんちゃんで飯テロ? と思われそうですが、この映画を観ると、焼き肉が食べたくてたまらなくなります。しんのすけ達が逃げながら、焼き肉に思いをはせるシーンでは、鉄板の上でジュワ〜っと焼かれて、肉汁がしたたり落ちるやわらかな肉が画面いっぱいに映し出され、映画を観ているこちらも思わずゴクリとのどを鳴らしてしまいます。

個人的には、「骨付きカルビ」にメロメロ。私は幼いころに映画館でこの映画を観た時、タン塩やロースは知っていましたが、骨付きカルビという肉の部位があることを知らず、あまりにもおいしそうに焼かれるその肉を見て、「いつか絶対食べたい! 」とまだ見ぬ骨付きカルビの魅力に取りつかれてしまいました。

クレヨンしんちゃんの映画は、どの作品も面白いですが、ファンタジーな世界観が強い他の作品と比べると、この作品は現実味があり、大人でも共感できるポイントが多い……かも?(笑)

ギャグも満載ですが、家族のため、焼き肉のために汗水たらして頑張る野原一家の姿はたくましく輝き、どこか感動的です。毎日がんばっている人を応援し、元気を与えてくれる映画です。

以上、お腹がすいてくる魅惑の飯テロ映画を紹介させていただきました。

「ご飯」がテーマの映画の素敵なところは、食べた時の幸せな気持ちを思い出させてくれるところだと思います。元気がないなぁという時に、ぜひ観てみてください。映画を観てお腹がすいてきたら、おいしいものを食べてもっと元気になっちゃいましょう! 皆さんの健康を願っています。それでは、また機会があれば。

愛だろ、愛

CREDIT

クレジット

執筆・編集
散歩と喫茶店巡りが好き。珈琲を嗜むことに憧れているが、苦味にまだまだ慣れない。道すがら、神社やお寺を見かけたら、参拝して御朱印を頂くのも趣味の一環。
イラスト
1994年、福岡県生まれ。漫画家、イラストレーター。第71回ちばてつや賞にて「死に神」が入選。漫画雑誌『すいかとかのたね』の作家メンバー。散歩と自転車がちょっと好きで、東京から福岡まで歩いたことがある。時代劇漫画雑誌『コミック乱』にて「神田ごくら町職人ばなし」を不定期掲載中。