303 BOOKSのリモートワーク・ミュージック#5

ロックダウンが終わったらドライブで聴きたいコロンビアンミュージック

この記事は約8分で読めます by ユースケ“丹波”ササジマ

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コロンビアでまだまだロックダウン生活を強いられているユースケ“丹波”ササジマです。私の趣味は、相棒のピックアップトラックでドライブすることなのですが、今回はロックダウンでおあずけを食らっている私が普段ドライブでかけているコロンビアンミュージックを紹介します。

と、言いつつもコロンビア音楽にあまり馴染みがない人にどんなものか知ってもらいたいという思いもあるので、選曲はわりとコロンビアンミュージック入門みたいな感じになっています。

ゆーすけたんばささじま
ユースケ“丹波”ササジマ

株式会社オフィス303の元社員。黒豆で有名な兵庫県丹波篠山市出身。2017年に日本を飛び出して1年ほどラテンアメリカ諸国を行脚する。現在はライターやフリー翻訳者として働きながら超低空飛行で生き延びる。

ザ・クラシック

Joe Arroyo y la verdad – Rebelión

Joe Arroyo(ホエ アロージョ)は、コロンビアミュージックを代表する歌手・作曲家の一人。1955年に生まれ、8歳の頃にはすでにバーや売春宿で歌手として歌っていた。1981年、自身のオーケストラ「La Verdad(ラ・ベルダ)」を結成。

サルサをベースにして、クンビアやポロといったコロンビアの伝統音楽に加え、コンパス(ハイチ)やレゲエ(ジャマイカ)といったカリブミュージック、さらにJoe 自身が創り出した「Joesón(ホエソン)」という独特のリズムなどを取り入れた音楽で人気を博す。

1986年に発表された“La Rebelión(ラ・レベリオン)”は彼のヒット作の一つで、17世紀のコロンビアでスペイン人の奴隷だった黒人同士の結婚を物語る内容になっている。30年以上前の楽曲だが、今でも人気があり、若い人にも親しまれている。

そもそも、コロンビアでは古い楽曲でも人気があるものは日常的にレストランや商店などそこかしこでかかっている。そのため、たとえば、日本では筆者の世代(1987年生まれ)でBOOWYのONLY YOU(1987年発売)を知っていて歌える人は多くないが、コロンビアでは同世代でLa Rebelión(1986年発売)を歌える人はたくさんいる。

バジェナトの王様

Diomedes Díaz, El Cocha Molina – Sin Medir Distancias (Cover Audio)

El Cacique de La Junta(エル・カシーケ・デ・ラ・フンタ)という異名をもつDiomedes Díaz(ディオメデス ディアス)は、コロンビアの伝統音楽の一つであるバジェナトというジャンルのスターであり、2000万枚以上の売上を記録した。

なお、カシーケとは先住民の首長を意味し、ラ・フンタとは地名を指し、英語では「The Cacique of La Junta」といった具合になる。

音楽界ではスターだったディオメデスだが、私生活では11人の女性との関係をもって28人の子供をもうけるカシーケっぷりを発揮したり、薬物中毒になったり、恋人関係にあった女性を薬物の過剰摂取で死なせて殺人罪に問われて数年服役したりと、大いに世間を騒がせたようである。

コロンビアが誇るラテンポップの女王

Shakira – Si Te Vas (Stereo)

“ラテンポップの女王”ことShakira(シャキーラ)は、世界的に有名なコロンビアンアーティストの一人。日本でも、2010年のワールドカップ南アフリカ大会で「ワカワカ」を歌ってた人でサッカー元スペイン代表のピケと結婚した歌手、として広く知られているのではなかろうか。

1995年にデビューして以来、現在まで最前線で活躍しているキャリアの長いアーティストで、見た目は昔から変わらないが曲の雰囲気は時代によって違う(当然だが)。最近の曲は流行に合わせてレゲトン調になっているが、個人的には初期のロック時代が好き。

絶大な人気を集める期待のニュースター

Maluma – Felices los 4

甘いマスクと歌声でファンを魅了するMaluma(マルーマ)は、メデジン出身の若きスーパースター。彼の音楽スタイルはレゲトンで、正直筆者の好みではない。

しかし、インスタグラムのフォロワー数は約5000万(フォロワー数日本一位の渡辺直美は約900万)、上記の曲は再生回数15億回を超えるほどのヒット、ラテン・グラミーなどさまざまな賞で92回もノミネートされて37回も賞を受賞している彼をコロンビア音楽を紹介する上で素通りするのはちょっと不自然なくらい大人気なので紹介することにした。

こちらの曲は完全にナイトドライブ向き。歌詞はかなり大胆なことを歌っているがそこは気にしない。ちなみに、レゲトンの曲のPVではたいがいセクシーな女性が出てくるが、こちらの曲も例外ではなく、ウブな人には刺激が強いかもしれない。

心地よいフォークポップ

Fonseca – Simples Corazones | Colombia, Tierra de la Sabrosura

コロンビアラテンポップの騎手、Fonseca(フォンセカ)。ラテンアメリカ地域ではよく知られており、アメリカのラテン・グラミー賞もいくつか獲得している。

彼の声といいサウンドといい、とにかく爽快で心地よい。できれば市街地ではなく、海沿いか、もしくは緑が豊かな開けた場所で、風を感じてゆったりと走りながら聞きたい。

ところで、コロンビアでは、クンビアやバジェナト、サルサなどのトロピカルミュージックとロックやポップが融合した「Tropipop(トロピポップ)」というジャンルがある。

フォンセカもカテゴライズされるこのトロピポップというジャンルは、近年は人気が高く、多くのトロピポップの楽曲が作られている。こうした状況を見て一部から「似たような曲ばかりで粗製濫造に陥っておりコロンビア音楽の創造性を損なっている」「伝統音楽を表層的に盗んで作っただけでオリジナリティにかける」などの批判が出ているようである。

ニューウェイブを生み出したパイオニア

Carlos Vives – La Tierra del Olvido (2015)

Carlos Vives(カルロス・ビベス)こそ、トロピポップの先駆者である。クンビアやバジェナトなどの伝統的な音楽とロックやポップを融合させてトロピポップの波を創り出した。

動画の“La Tierra del Olvido(2015)”は、1995年に発表した楽曲を活動20周年を祝ってリメイクされたものである。マルーマやフォンセカ、下で紹介するHerencia de timbiquí(エレンシア・デ・ティンビキ)など、コロンビアを代表する有名アーティストが参加してつくられた。

PVではコロンビアが誇る壮大な自然の数々が映し出されてそれだけでも見応えがある。曲はもちろん素晴らしく、とにかく雄大な大地を走りたくなる。

コロンビア式ミクスチャーポップ

ChocQuibTown – Nuqui (Te Quiero Para Mi) [Official Video]

トロピポップを批判している人でも一目置いているのが、ヒップホップグループChocQuibTown(チョキブタウン)である。彼らの音楽は、ヒップホップやレゲエ、ファンクにコロンビアの伝統的な音楽を融合させたスタイル。

コロンビアの伝統音楽を融合させるという部分ではトロピポップ勢と同じだが、その手法が巧みでオリジナリティがあると認めたからなのか、アンチトロピポップ派としては「トロピポップ勢と似たことしてるけど彼らは違う」そうだ。

さて、そんなチョキブタウンだがとにかくかっこいい。最近では流行りのレゲトン色が強くなっているように感じるが、それでもやはり彼らの独自性は際立っている。

こちらの曲ではダンスホールレゲエっぽいリズムに管楽器やマリンバなどが溶け込んだチョキブタウンらしいサウンド。こちらもPVの映像も相まって自然の中で風を感じてドライブしたくなる。

アフロコロンビアンが奏でる美しき寂しい音色

Herencia de timbiquí – Amanece (video oficial)

最後に紹介するのがHerencia de timbiquí (エレンシア・デ・ティンビキ)。こちらは、今のところ筆者がもっとも好きなコロンビアの音楽グループ。メンバーはアフリカに先祖をもつアフロコロンビアン。

ロックやファンク、レゲエなどに太平洋沿いの地域伝統の音楽を取り入れたスタイルが特徴。筆者は陽気なメロディーに通底するノスタルジックな雰囲気がたまらなく好き。

ある記事のインタビューで、「我々はアメリカの大地で生まれたが、やはりよそ者という感じがする。我々のルーツはアフリカなんだ。でも、アフリカに行ったとき、現地の人に「やっぱり君たちはアフリカ人じゃないよね」と言われた。

それ以来、アフリカというルーツとアメリカという生まれ故郷にの狭間で、我々アフロコロンビアンのよりどころについて一層考えるようになった」と語っていて、自分たちのルーツが歴史に引き裂かれて根無し草になってしまった悲しみがノスタルジックな雰囲気を醸し出してるのかもしれない。

上記の曲 “Amanece”(意味は、夜が明ける)のPVは最高に悲しくて美しい。冒頭で夜が明けて始まり、終盤で「夜が明ける。長い間私の帰りを待っている友人や家族に会うんだ。」と歌っていたが、振り向くとその友人や家族はいなくなっており夜が更けて終わるという構成がワンカットで撮られている。

おわりに

以上、ユースケ“丹波”ササジマがドライブでかけるコロンビア音楽の一部を紹介しました。ところで、コロンビア人は本当に音楽とダンスが好きです。

ニュースを見ているとロックダウン中にも関わらず大人数でダンスパーティーをして当局に捕まる不届きものがわりといます。「ロックダウン中くらいしっかりしろよ」と思う反面、本当に音楽と共に生きているんだなと感心させられます。

今でも、窓を開けると外から大音量の音楽が聞こえてくることがあります。コロンビアに来た当時は騒音に聞こえていたそうした音も、今では精神的に落ち着かせてくれるものになっています。慣れって怖い。

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執筆・編集
株式会社オフィス303の元社員。黒豆で有名な兵庫県丹波篠山市出身。2017年に日本を飛び出して1年ほどラテンアメリカ諸国を行脚する。現在はライターやフリー翻訳者として働きながら超低空飛行で生き延びる。
イラスト
1994年、福岡県生まれ。漫画家、イラストレーター。第71回ちばてつや賞にて『死に神』が入選。漫画雑誌『すいかとかのたね』の作家メンバー。散歩と自転車がちょっと好きで、東京から福岡まで歩いたことがある。江戸の消防と建築を研究中。