出版社とリモートワーク

出版社が全スタッフのリモートワーク体制を1か月半ほど続けてみて分かったこと(その2)

この記事は約6分で読めます by 安部孝志

引き続き絶賛リモートワーク中の安部です。

あべたかし
安部孝志

出版業界やゲーム業界を渡り歩いてきた風来のWEBエンジニア 兼 インフラエンジニア 兼 WEBディレクター。最近やっているゲームは「PUBG」というガンアクションゲーム。K/D 0.25。「あつまれ どうぶつの森」や「マインクラフト」も平行してプレイいる。

    前回の記事の続きになります。

    今回は主に弊社が新たに導入を決めたZoomについて書いてみます。

    全スタッフがZoomを導入するまで

    Zoomにおいてはリモートワーク体制開始後に導入を決めたので事前の準備もできず、急遽4月28日になって社内全スタッフに「Zoomを各自の環境に導入するように」という通知を送りました。

    弊社スタッフはDTP関連のアプリケーション(Photoshop、Illustrator、InDesignなど)に関してはほぼ全員が使いこなせるのですが、逆にいうと「実はそれ以外のアプリケーションに関してはそれほど得意ではない!」という厳しい事情もあり、かなりの不安を抱きながらのZoom導入の船出となりました。

    幸いなことに、Zoomの導入について詳しく書いてくれているWEBサイトが多くありましたので、その中からさらに初心者向けにかなり易しく説明されているサイトのURLをスタッフに共有し、アプリケーションのインストールまでは特に悩まずに全スタッフが完了しました。

    ちなみにZoomのアプリケーションはMac、Windows、iOS(iPhone、iPad)、Androidの4種類ありますが、どれもインストールそのものはそれほど難しくないようです。Zoomのインストーラーがインストール時にそれほどややこしいことを聞いてこないのがいいと思います。

    ちなみにiOS版はzoomアプリケーションが2つありますが、通常使うのは「ZOOM Cloud Meetings」だけです。
    「Zoom for Intune」は管理者向けのアプリケーションで通常はインストールする必要はありません。

    とりあえずいったんオンライン会議をやってみよう

    そんな通知を出した3日後の5月1日に「まずはつながるか?」というレベルでの、特に何の議題もないオンライン会議を実施しました。最初にオンライン会議室に入るための情報を参加するメンバー全員に共有する必要があるのですが、方法が2通りあり、これを参加者にどのように伝えるかは悩むところです。

    • URL形式
      (https://xxxxx.zoom.us/j/1234567890?pwd=abcdefg…)
    • ミーティングIDパスワードをそれぞれ伝える形式

    URL形式はそのリンクをクリックするだけでZoomアプリに切り替わり自動的に会議室に入室してくれるので、誰にでもわかりやすい方式です。

    ただ、オンライン会議室に入るパスワードがURLに埋め込まれていることに気づきにくく、場合によってはこの情報が第三者に流出してしまう可能性が高いともいえます。zoombombing(ビデオ爆撃)と呼ばれる「関係ない第三者に悪意を持ってミーティングに参加されてしまう攻撃」の餌食となってしまう可能性もあります。

    Zoombombing(ビデオ爆撃)とは?攻撃の仕組みやリスク、対策方法まで徹底解説(サイバーセキュリティ.com)

    弊社においてはURL形式の共有に関してはEメールを介さずにLINE WORKSで共有することで、そのような事故を起こりにくくしていますが、これでも完全に防げるわけではないので、Zoomに関する情報の取り扱いについては定期的に社内で注意喚起を促すようにしています。

    今回のこのオンライン会議もURL情報を共有することで、ほとんどの人が特に何も悩まずに参加することができました。これにはちょっとほっとしました。

    実際に会議が始まると・・・

    ただ、実際にオンライン会議が始まるとやはりいろいろな問題が露呈してきます。

    (1)音が出ない・映像が出ない

    オンライン会議に参加の際はヘッドセットもしくはイヤホンマイク、WEBカメラをつけるようにという事前のお願いはしていたのですが、PCが機器をうまく認識できていなかったり、そもそもイヤホンマイクやWEBカメラの準備が間に合わなかった、というようなことが原因です。

    特に有名メーカー製のものに関してはどれも供給が需要に追いついていないようで、5月中旬現在でも軒並み品切れ状態です。

    ロジクール社製のウェブカメラC270nも4月以降はどこも品切れ状態。ちなみにAmazonでは ¥7,000で売ってるという表示 が出ていますが、通常売価は2,000円程度の商品です。俗に言う「テンバイヤー」ってやつですね・・・

    弊社スタッフのアンケートでも約3割の人が「まだWEBカメラを入手できていない」と答えています。そのようなスタッフは音声だけで参加したり、スマートフォンを使用して参加したりしました。

    (2)音がハウりまくる!

    これはたぶんZoomあるある!だと思うのですが、会議中に軒並みハウリング(カラオケボックスなどでたまに発生するキーンという音)が発生します。まだヘッドセットやイヤホンマイクが準備できていない人が通常のスピーカーを利用しているため、その音がマイクに乗ってしまうために起こっているようです(Zoomアプリにもエコーキャンセラー機能は入っていると思いますが、完全に防ぐことはできない模様です)。

    ハウリングを起こすと会議の進行を著しく妨げてしまうだけではなく、会議全体のモチベーションも下がってしまうので、絶対に起こさないように対策する必要があります。

    • オンラインミーティングから聞こえてくる音をマイクに乗せてはいけない(ヘッドセットもしくはマイク付きイヤホンを必ずつける)
    • 自分がしゃべらないときは常にミュートにするように心がける

    これら以外にもZoomにおけるマナー的な要素はいくつかありそうですので、徐々に身につけていきたいところです。

    (3)それなりに顔を作らなければならない問題(むしろメリット?)

    これを書いている私自身の話なのですが、リモートワークが続いてずっと家にいるとひげを剃らなくなるんですよね。ただ、こういう会議がある場合はやはりフェイスtoフェイスがいいだろうとカメラをつけて参加するのですが、そうなると「顔が汚いしひげ剃るか」となります。

    私はちゃんとひげを剃って参加してみました。ただ、一部の男性スタッフは今まで見たことないようなひげの伸ばし方をしている人がいました。こういう機会にひげを伸ばすのもありかな? とも思いました。

    女性の場合も「化粧をどこまでするか?」という問題があるのだろうと察しますが、これはまだ誰にも聞いたことがないので分かりません。もし聞けるような人がいたら聞いてみて、面白そうであればそれを記事にして取り上げてみたいと思います。

    Zoomを導入して1週間後

    Zoom導入までそれなりに紆余曲折、バタバタもありましたが、これを書いた本日(5月7日)に議題のあるオンライン会議を問題なくスムーズに開催することができました。画面共有機能やリアクション機能も徐々に使いこなせるようになっています。社内アンケートでも「Zoomの使い方が分からない」と回答した人は一人もいませんでした

    おそらく今後は社内のみの会議だけではなく、社外の方々(弊社のクライアント様、共同制作者様、発注者様など)ともzoomやそれと同等のアプリケーションでのオンライン会議が盛んになりそうです。そしてこのような流れは緊急事態宣言が解除されたあとも続くのではないでしょうか?

    今までは、わざわざ電車で時間をかけて弊社に来ていただいて打ち合わせ、なんてことも多々やってきました。しかし、これからの時代はこのようなオンラインミーティングを使用することで打ち合わせに費やす時間を大幅に削減し、その浮いた時間を有効に使うことで、仕事全般の効率は上がる予感がします。

    新型コロナウイルスの流行で色々と失ってしまったものも多いですが、こうやって得られるものだってあるんだな、ということを思いました。こんな時だからこそ、無理矢理にでも前向きに考えていきたいですね。

    リモートワークについてはもう少し書けることがありそうなので、さらに次回に続きます。

    バックナンバー

    出版社とリモートワーク

    出版社が全スタッフのリモートワーク体制を1か月半ほど続けてみて分かったこと(その3)

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    執筆・編集
    出版業界やゲーム業界を渡り歩いてきた風来のエンジニア 兼 WEBディレクター。かつて勤めていたゲームメーカーが発売したレトロゲームを数年前から収集し始めたが、数が膨大にあるのと、一部はプレミア価格が付いていて、すべて集めるのは無理と悟った。それでも直近1年間で20タイトルほど購入した。