内田麟太郎の詩 303P

「十二歳」

詩人で絵詞作家の内田麟太郎さんは、
日常の何気ないできごとに詩を感じ、
ノートに書きとめるようにFacebookに投稿する──。

思わず笑ってしまう詩、心に優しく染み入る詩、
ふと誰かのことを思い出してしまう詩。
そんな内田麟太郎さんの詩を、
みなさんが一週間を乗り切る力になればと、
毎週月曜日に1編ずつご紹介します。

内田麟太郎さんのFacebook

十二歳

あおい空のおくから
少年のこえがきこえてくる
──ともだちになって。

なんまんねんまえに
その星をたびだったことばだろう

うちゅうには
ことばのほんやくじょがあるのかしら
こころを
だれにでもわかることばかえてくれる

ぼくは空につぶやく
──うん。

ぼくのこころも
なんまんねんのたびをはじめる
とおい星の少年にむかって
十二歳のこころのままで

それがたびのパスポートだと
ヤンマがおしえてくれたから


うちだりんたろう
内田麟太郎

1941年福岡県生まれ。詩人、絵詞(えことば)作家。『さかさまライオン』で絵本にっぽん賞、『うそつきのつき』で小学館児童出版文化賞、『がたごとがたごと』で日本絵本賞、詩集『ぼくたちはなく』で三越左千夫少年詩賞を受賞。他に絵本「おれたち、ともだち!」シリーズなど著作多数。

イラスト

かいややすみ
海谷泰水

文化服装学院ファッション工芸科、同研究科卒業 。llustration誌The Choice 2008年準入選。TIS公募 2007年入選、2009年金賞受賞。著書に絵本『とびっきりのごちそう』、『みんなともだち』(作:二宮由紀子)、「おしえて!コロ和尚 こどものどうとく」シリーズなどがある。