『ほんとうの星』『そらごとの月』刊行記念トークショー 今、表現者は何を伝えていくのか? 長田真作×小島慶子#4

この禍の向こうへ

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ついに発売された長田真作最新作『ほんとうの星』『そらごとの月』。この本の発売を記念して本屋B&B主催で行われたオンライントークショーの模様を誌上再現いたします。長田真作さんと語り合うのは、親交がある小島慶子さん。タレント活動をしながら、エッセイや小説を執筆されています。また社会に対する様々なメッセージも発しています。今回は、そんなふたりが、好きな絵本について語ります。そして長田さんは今後の作品について。最終回です。

プロフィール(ページ下部へ移動します。)

冷水シャワーで涼めない

Q&Aでご質問いただいてるので、長田さんどれから答えていきますか?

小島

「長田さんはいつもニコニコしているイメージですが、怒ることはありますか」って質問いただいてるんですけど、僕そんなイメージ持たれてるんですか(笑)

長田

私ね、最初に長田さんとお目にかかった時、作品とのギャップをすごい感じたんですよ。お会いする前は、「どんな奇想天外な人だろう」と思ってお目にかかってみたら、すごく朗らかで人当たりのいい人で……でも、怒ることってあるんですか?

小島

もう怒ってばっかりですよ。身近な人からは器が小さいってよく言われます。

長田

最近怒ったことってなんですか?

小島

猛暑の中、冷水でシャワーを浴びたのに涼めない自分の体の衰えに激怒しました。30代を迎えて、もう冷水シャワーのさっぱり感が10代20代のそれとは違うんですよ。

長田

お前冷水シャワーで涼めないってどういうことだよっていうことね(笑)

小島

コワおもしい絵本たち

小島さんにも質問が来てますよ、好きな絵本はなんですか?

長田

私ね、息子に読むっていう大義名分で大量に買い込んだぐらい絵本大好きなんですよ。まずひとつは、『ねないこだれだ』っていう本ですね。

小島
『ねないこだれだ』(福音館書店)せなけいこ・作。初版は1969年。親子3代に渡って読まれている超ロングセラー絵本。

これ、こわいですよね。

長田

そう、こんな時間に起きてるのは誰だっていうところから始まって、夜9時を過ぎてる起きてる子どものところにオバケが来るんですね。その子どもは起きているところをオバケに見つかってしまい、お化けの世界に連れて行かれるんです。その途中でその子はオバケに姿を変えられちゃうんですけど、超こわいの。あと、同じせなけいこさんで『ふうせんねこ』。これもすごくこわくて引き込まれちゃう。

小島
『ふうせんねこ』(福音館書店)せなけいこ・作。初版は1972年。あれもいやこれもいやとわがままをいうネコが、顔をふくらませて、飛んでいってしまう。

せなさんはこわい作品ばっかりつくってるわけじゃないと思うんですけど、この2作はかなりこわいですよね。

長田

あとは、福音館の名作傑作絵本シリーズの、再話が小澤俊夫さんで、赤羽末吉さんが絵を描いた『かちかちやま』。めちゃくちゃにこわいので、みなさんせひ読んでください。ただの童話だと思って読むとビックリしますよ。たぬきがめちゃくちゃ極悪非道なんですよ。

小島
『かちかちやま』(福音館書店)。おざわとしお・再話、赤羽末吉・絵。

あれも相当こわいですよね…。さっきからこわいしか言ってないな(笑)

長田

おじいさんを思って優しいうさぎが復讐してあげましたみたいな話かと思ったら、そのうさぎの復讐の執念もすごいし、赤羽さんが水に沈んでいるたぬきまで最後まで描ききるというのもすばらしいし、あれをやっぱり子ども向けにちゃんと発売し続けている福音館書店も立派だなと思いますね。

小島

大作の予感⁉ 長田真作が描きたいもの

じゃあ、次の質問で最後にしましょうか。今後、長田さんが描きたいものはどういった作品ですか?

小島

じつは、目下取り組んでる作品があるんですよ。何十巻にもなるような長編の絵本なんですけど。

長田

それは今のところどういった内容になる予定なんですか?

小島

これまでの僕の作品とは全然違うものですね。物語や設定があって、キャラクターがいて長大な冒険をするっていうような感じの。

長田

それは読みたい! いつ頃できるんだろう。

小島

10年くらいかかるかなって思ってます。

長田

10年⁉ じゃあ、ほんとに大作になるんですね。

小島

そうですね、1年で10冊も描けないので、年をとるごとに冷水シャワーで涼めなくなる体の衰えを感じながら少しずつ描き進めていくつもりです(笑)。

長田

プロフィール

©︎ 阿部祐介
長田真作(ながたしんさく)
1989年生まれ、広島県出身。2016年に『あおいカエル』(文・石井裕也/リトル・モア)で絵本作家としてデビュー。『きみょうなこうしん』『みずがあった』『もうひとつのせかい』(以上、現代企画室)、『風のよりどころ』(国書刊行会)、『すてきなロウソク』(共和国)、『とじてひらいて』(高陵社書店)など多数の作品を手がける。また、漫画『ONE PIECE』のスピンオフとなる絵本『光と闇と ルフィとエースとサボの物語』や、ファッションブランドOURETへのデザイン原画提供など、多分野のクリエイターたちとのコラボを実現させた。2018年には、渋谷ヒカリエで『GOOD MAD 長田真作 原画展』を開催。近著に『のりかえの旅』(あすなろ書房)、『おいらとぼく』(文化出版局)がある。
小島慶子(こじまけいこ)
1972年オーストラリア生まれ。幼少期は日本のほか、シンガポールや香港で育つ。学習院大学法学部政治学科卒業後、1995年にTBSに入社。アナウンサーとしてテレビ、ラジオに出演する。1999年、第36回ギャラクシーDJパーソナリティー賞を受賞。ワークライフバランスに関する社内の制度作りなどにも長く携わる。2010年に退社後は各種メディア出演のほか、執筆・講演活動を精力的に行っている。『AERA』『VERY』『日経ARIA』など連載多数。著書に『解縛』『るるらいらい』小説『ホライズン』ほか多数。最新著書『曼荼羅家族 「もしかしてVERY失格!?」完結編』(光文社)が話題に。現在は東京大学大学院情報学環客員研究員として、メディアやジャーナリズムに関するシンポジウムの開催なども行っている。昭和女子大学現代ビジネス研究所特別研究員。

構成:常松心平、笹島佑介