東京とパリを拠点に、スティルライフ(静物画)を中心に数々の作品を残している写真家のシバサキフミトさん。そんなシバサキさんの写真家としての現在・過去・未来に迫るインタビューをお届けします。実は、303 BOOKS代表常松心平、本稿カメラマンの土屋貴章の幼馴染みという関係です。
シバサキフミト
1998年渡米後、N.Y.にて写真を学ぶ。2005年に帰国。東京にて活動開始。現在、雑誌、広告を中心に活動中。2012年より、パリでの活動も開始。2013年以降、東京・パリをベースに活動中。
Web Site
別に写真に興味があったわけじゃなかった
久しぶり! おたがい忙しくて最近なかなか会うことができないけど、このWEBサイトを立ち上げるにあたって、写真家シバサキフミトのヒストリーを改めて聞きたいと思って。そもそもなんで写真をはじめたの?
高校生までは写真にはまったく興味がなかったんだ。高校卒業して特にやりたいこともなくて。でもせめて大学くらい行かなくちゃっと思って、日本大学の芸術学部を受けたんだ。
そんなにマジメな高校生じゃなかったからね(笑) でも日芸の中で「写真」学科を選んだわけでしょ。
放送とか映画みたいに、大勢の人と一緒に活動するのは、きっと得意じゃないだろうなと思ったんだよね。
それで写真を選んだと。学校での勉強はどうだったの?
当時の僕には正直、授業はピンとこなかった。先生たちの言ってることは今考えると正しいんだろうけど、まだ自分が子どもだったし、素直に受け入れることができなかった。でも、写真はやってみたら、おもしろいと思ったよ。誰にもじゃまされずに自分の作品を撮るのは好きだったよ。
MacとPhotoshopに出会う
当時は、誰かのアシスタントをやったりしなかったの?
それもしてない(笑) 当時は写真の世界は徒弟制度みたいなものだったし、それはやりたいと思わなかった。バイトしながらずっと作品をつくっていた。バイトを一生懸命やっていたので、お金は少しあったんだ。それでMacを買って、Photoshopを買ったんだ。まだMacはPerforma、Photoshopは3.0だったかな。
それ覚えてる。僕も家にMacがあって、illustratorでデザインのまねごとしていたから、作品のデータ借りたり、作業を見学させてもらったりした。めっちゃ刺激受けたよ。
当時は、そんなことやっている人は、日本では少なかったね。少なくとも学生では会ったことがなかった。
なんで、MacとPhotoshopでの作品づくりをはじめたの?
学校はちょっと苦手だったんだけど、とにかく写真は好きだったんだ。写真の技術も、写真家のことも、世界の写真の潮流もめちゃくちゃ勉強してた。ほら、独学は得意だからさ(笑)
その中で、デジタルのワークフローに出会ったと。
当時はWEBが今ほど発達していないから、雑誌を読んでたんだ。『i magazine』(現アマナ、旧イマ発行)では、そういう記事が載ってたんだよ。僕はこれからこういうのが主流になると感じたよ。
当時は、出版や広告は圧倒的にポジフィルムが主流だよね。
すでにプロとして実績があった人たちや、それこそ学校の先生たちは、そういう新しく生まれた状況を見ても信じることができなかったんじゃないかな?
それから、大学をやめちゃうんだよね。
そうそう。その頃、あるきっかけがあってニューヨークに行こうと思ってさ。
いよいよニューヨークに行くことになるんだね。そこからは次回にまた。