第1回から第3回まで、平面アニメーションや立体アニメーションの話を交え、佐藤さんの足跡をたどってきました。第4回では、303 BOOKSで出版する絵本『ほんとうの星』『そらごとの月』のPVについてや、これからのことについて聞いていきます。
ガレージ・アニメ“マウスマン”と佐藤亮の世界
「アートアニメーション」ってなに?
『ほんとうの星』『そらごとの月』PV制作
佐藤さんには303 BOOKSで刊行予定の絵本『ほんとうの星』『そらごとの月』のPVを制作していただきました。つくってみてどうでしたか?
もとの絵を動かすのは難しいので、余白を使って立体的に見せたり、ページを重ねてひとつの背景にしたりと、いろいろ工夫しています。
絵本作家の長田真作さんからは「好きなようにつくってくれていい」と言われたとか?
短い映像にするのですが、その中でも始まりと終わりのある有機的な構成が必要です。原作の通りには出来そうになかったので、長田さんの言葉に甘え、思い切って遊ばさせてもらいました。
絵本をプロモーションする方法としては、PVという手法は珍しいと思います。今後、依頼があったらどうします?
ぜひ! 今回はつくっていてとても楽しかったので。
実は佐藤さんには303 BOOKS『ダジャレーヌちゃん 世界のたび』のPV制作もお願いしました。
ダジャレーヌちゃんは、絵本を開いたときにはすでに動いていたので、それがそのまま映像になればと思って制作にあたりました。きっと僕が動かさなくても全てのページがアニメーションしているように見えると思いますので、ぜひ想像してみてください。
佐藤さんは合計4つの映像を制作した。そのほかの動画は、緒方恵美と『ダジャレーヌちゃん 世界のたび』をチェックしてください。
5年後もマウスマンをつくり続けたい
これまで4回に渡って佐藤さんとアニメーションの関わりについてお聞きしてきました。今後はどういった活動をしていきたいですか?
今までは目の前にあるもの、依頼されたものをつくり続けてきたので、あまり考えたことがなかったですね・・・。やっぱり、マウスマンはつくり続けたいです。
マウスマンは佐藤さんのアニメーションの原点ですね。
人間はいつか死ぬので、何かを残したいと思って生きてきました。そういう意味では、マウスマンというアニメーションを残せたことはとても意味のあることかなと思っています。
吉祥寺アニメーション映画祭の審査員の方には「おもしろいけど、家族向けじゃない」とコメントをいただいたとか(笑)
内容が内容ですからね(笑)でも、自分の中ではマウスマンが良心を保ってくれている部分があるんです。マウスマンじゃないともっと下品になってしまうというか。
マウスマンのキャラクターが生々しさを和らげてくれているかもしれませんね。そもそも人間って生々しいものですし。
実は、マウスマンの人形アニメーションもアリかと思って、手と足はつくったんです。体の部分が難しく、完成はしていませんが・・・。あとは、実写のマウスマンとか、いろいろ考えていますね。もちろん依頼があれば他の仕事もバリバリやっていきたいです。
佐藤さん自身がスーツアクターで主演とか・・・。実写版だとどんな感じになるんでしょう?(笑)今後の作品も楽しみにしています! ありがとうございました。