このたび、303BOOKSから『ほんとうの星』『そらごとの月』の2冊の絵本を出版される長田真作さん。2016年にデビューして以来、すでに20冊以上の絵本を出版している、注目の絵本作家です。ページをめくるたびに不思議な世界が広がり、読者に問いかけてくる長田さんの絵本。担当編集の深谷が、長田さんのアトリエにて、作家の素顔にせまりました。
出会いを重ねて絵本作家に
303BOOKSから、長田さんの『ほんとうの星』『そらごとの月』という2冊の絵本を出版することになりました。そこで今回は、長田さんの考え方や作品の魅力をお伝えするために、インタビューさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。
よろしくお願いします。
まず初めに、絵本作家になられたきっかけをお聞きしたいのですが。
絵本を描き始めてから、なんで作家になったんですか?とか、なんで絵が好きなんですか?とか、いろいろな質問をされてきたけど、なんでかっていうのを本当にあんまり考えてないんですねえ・・・。
昔から絵本作家を目指していたわけではないんですね?
うーん、ないですねえ・・・。僕は小さい頃から、そもそも目的意識とか目標があんまりないタイプだった。どちらかというと、ひとえに嗅覚でやってきたんです。匂いというか、感覚的なものをすごく信じてるところがあって。おもしろそうだな~と思ったらついていっちゃう。あるいはやってみる。そんな感じです。
いろんな方との出会いがあって、絵本作家という今があるんでしょうか?
そうですね。「出会い」って言葉は、今言ったようなことを繋げるのにはぴったりだと思います。説明できないと言ったらそれで終わっちゃうけど、出会いの積み重ねでこうなってますっていうのが、いちばん近い。
長田さんの本を読む読者も、けっこう「出会う」感覚は強いと思います。本屋さんで偶然出会って、これいいなって感覚で買われる方が多いと思うんですね。絵本というものが、写真集や小説とも違って、直感的に伝わるものだからかもしれません。
絵の捉え方って、意識とかロジックじゃないですから。絵本には文字というロジックも入るけど、絵という要素が入っているのが、めちゃくちゃ強力なのかもしれない。絵が自分の体質に合わなかったら、どんなに優れたストーリーでも心に入ってこないと思うんですよね。それくらい絵は強い。だってビジュアルですからねえ。
作品を拝見していても、感覚的な部分を大事にしているんだろうなと思います。
そう。感覚とか、無意識とかは、僕にとって大切なものですね。絵本っていうのは、理屈ありきでやったらおもしろくないと思うんですよね。だからなのか、自分がいいなと思ったことは、基本的に理由がないことが多いです。その“いいな”を何とか感覚で探っている、のかな。
意識と無意識のちがい
われわれ編集者はわりと理屈で考えがちなので、無意識が意識をなかなか超えないんでしょうね。作家の方は無意識の感覚で勝負するのかもしれませんね。
絵を描くとき、無意識が意識を超えた分の伸びしろが大きければ大きいほどおもしろくなるなあって思います。絵にはその可能性がある。だから、絵に身をまかせて、いかに感覚的になるかっていうところが勝負なのかもしれないな。でも、それがなーかなか難しい。
言葉にできないものをすごく大切にされているんですね。
絵本を描くときは、言葉という意識と、絵という無意識をバトルさせてる感じはありますね。
絵本は、意識と無意識が組み合わさったもの。そういう考え方は初めて出会いました。
そうなればいいなあと思ってやっているだけですよ(笑)。ただ、今は創作としての絵本っていうものの中で僕は楽しめてますけど、じゃあ絵本に対して何かこだわりがあるかって言ったら、うーん、特には・・・。その辺に関しては、あんまり深く物事を考えてないですから。感覚を表現したものが形になって、自分が「なるほど」って思える、それが僕にとっての「絵本」ってことかな。結局なかなか他の表現方法は見つかっていないですね、今のところ。
作品を拝見しても、絵本という枠にとらわれていないなと感じます。絵本にこだわりがないというのも、なんとなくわかるような気がします。
僕としては、絵本の構造とかに興味があるわけじゃないんです。プレイヤーというか、ただ作るのがおもしろい。ですので、まずは僕の作品を読んでみてください(笑)いろいろバリエーションはあると思うので、お好きなものを・・・。と言うしかないですね(笑)みなさん、よろしくお願いします。