富里南小学校303 BOOKSオンライン職場体験 『STYLES』制作メンバーインタビュー

6年2組編

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2021年11月から2022年1月にかけて、303 BOOKSは、千葉県にある富里市立富里南小学校のオンライン職場体験を受け入れました。子どもたちは、303 BOOKSが制作を担当する千葉市、茂原市、市原市、四街道市で発行されているキャリア教育冊子『STYLES』の制作スタッフにインタビューを実施。こちらの原稿をまとめてくれました。こちらは6年2組の原稿です。※以下は子どもたちが実際に書いてくれた原稿です。

『STYLES』とは

千葉市、茂原市、市原市、四街道市の公立中学校に配布されている「キャリア教育」の冊子。四市にある技術系企業で働く人たちにインタビューをして、なぜその仕事を選んだのか、その仕事のやりがいなどを聞いていく。将来の生き方を考えるヒントがたくさんつまっている一冊。

「STYLES 2021 技術・技能職編」

編集者·常松心平インタビュー

常松心平(つねまつしんぺい)
303 BOOKS(株式会社オフィス303)代表取締役。千葉県千葉市出身。バイク雑誌、パズル雑誌の編集者をつとめた後、児童書の編集者になる。図鑑、児童文学、絵本などの市販の書籍から、学校図書館に置かれる教育目的の本の制作などを手掛ける。『STYLES』は、2019年の創刊時から編集者として参加している。

編集者の仕事内容を教えてください。

まず、本の企画を立てます。また、カメラマンやライター、デザイナーを決めます。それからいろいろな作業をして本のデータをつくります。最後に本のデータを刷会社に送ります。文字にまちがいがないか確認するのも編集者の仕事です。

心平

仕事ではどのような道具を使いますか?

パソコンでInDesignというソフト使っています。InDesignは、ライターの書いた文章や、カメラマンの撮った写真のデータをまとめて、誌面をつくることができます。

心平

データはどうやって送るのですか?

データを送るためのWEBサイトがあるので、そこにデータをアップロードします。そうすると、ダウンロードできるURLが発行されるので、それを印刷会社の人に伝えます。印刷会社の人がそのURLからデータをダウンロードすれば、無事データが受け渡されます。

心平

文章をまちがえたらどのタイミングで修正しますか?

文章にまちがいがないか、本をつくっている間に何度もチェックします。もし、まちがえたらデータ上をすぐに文章を直します。データを送る前は、さらに念入りにチェックし、何度もデータを修正します。

心平

まちがいがある本はどのようにするのですか?

発売前に気付いたら印刷し直します。でも、印刷し直すのにすごくお金がかかってしまいます。本が出された後に気付いたら、本屋さんにあやまって、重版といって、追加で印刷するときに修正します。

心平

本をつくるのにかかる時間はどのくらいですか?

『STYLES』だと、9か月かかります。短い本だと3か月ぐらいでつくれます。週刊誌などの雑誌は1週間でつくるものもあります。

心平

誰と一緒に仕事をするのですか?

編集者ひとりでつくる本もあれば、何人かでつくる本もあります。また、カメラマン、ライター、デザイナー、文章にまちがいがないか確認する校正者などと、一緒に仕事することもあります。

心平

制作は、集まって作業するのですが、ばらばらでやるんですか?

会社によって違うのですが、『STYLES』は、メンバーがそれぞれの場所で作業をしています。うちの会社は基本的にリモートで働いている人が多いです。

心平

一冊の本をつくるお金ってどの位かかるのですか?

つくる本によって値段は変わります。高い本だと、印刷をのぞいても一冊で2000万円くらいかかることもあります。

心平

編集会議に出る人はどんな人ですか?

会社によってちがいますが、だいたい編集長や編集者何人かと営業の人や、宣伝をする人などで会議をします。

心平

一冊の本に何回編集会議しますか?

会社によってちがいますが、週に1回ぐらい全員で会議をします。それ以外にも、中心メンバー3人ぐらいで必要に応じて会議をして、進め方がまちがっていないか確認してます。

心平

どのように編集長、副編集長などの役職を決めていますか?

会社によってちがいますが、編集長は編集者としてとても実績がある人がなります。また副編集長は編集長と信頼関係にあり、サポートが上手な人がなります。ほかにもこれから編集長として会社をひっぱっていってほしい人が副編集長になる場合もあります。

心平

編集長などの役職は途中で変わりますか?

編集長だった人が編集長ではなくなることはあります。結構役職は変わります。

心平

本をつくるときに参考にしてるものは何ですか?

本やWEBサイト、SNS、政府が発行した資料など参考にしています。子どもの本を作るときは、大人に向けた本を資料にしています。難しいものを読んで勉強して、かんたんにしてから読者に伝えるようにしています。

心平

この仕事のやりがいは何ですか?

今やっているのは、一冊ごとに違う企画の本をつくっています。そうすると自分が知らなかったことを学ぶことができます。そんな新しいことにどんどん挑戦できることがやりがいです。

心平

ブックデザイナー·倉科明敏インタビュー

倉科明敏(くらしなあきとし)
千葉県出身のグラフィックデザイナー。理系大学卒業後に印刷会社制作部、デザイン事務所を経て、2013年独立。 ブックデザインを中心に、ロゴ、ポスターデザインなどに従事しながら、タイポグラフィを探究中。

一日のスケジュールを教えてください。

最初に事務所に行きます。それから、お客さんからのメールなどを確認して、その日やることを決めます。あとは、ひたすらパソコンで作業をします。日によって、やることが違います。

倉科

デザインをする時に必要な道具は何ですか?

デザインの作業はパソコンを使って行います。でも、アイデアを考えるときは、紙や鉛筆を使います。
あとは、色見本帳を使います。パソコンのディスプレイによって色の見え方が違うので、色見本帳を見て、印刷したときどんな色になるか確認します。その他には、紙見本帳を使います。本に使う紙を選ぶときに、紙見本帳を見て、手触りや白さを確認します。

倉科

印刷では何色あるのですか?

印刷は、黒、シアンという水色、マゼンタというピンク、黄色、この4つインクを混ぜて、色をつくります。絵の具と同じで、無限に色を作ることができます。ただ、画面できれいでも印刷だときれいに出ない色もあり、注意が必要です。

倉科

本をデザインするときに気をつけていることは何ですか?

お年寄りから子どもまで、だれのための本なのか考えます。そして読む人が興味を持ってもらえるようにつくります。

倉科

デザインの工夫で本が売れることもありますか?

本の表紙が魅力的だと手にとってもらえることがあります。本の内容がすてきなのに表紙がその内容に合ってないと買ってもらえないこともあります。

倉科

本をつくるときに大変だと思うことは何ですか?

いちばん大変なことは、デザインには正解がひとつではないことです。ほかのデザイナーがつくったものをまねすることはできないので、アイデアを考えるのが大変です。

倉科

何歳からデザイナーになろうと思いましたか?

デザイナーになろうと思ったのは、大学生のときです。昔から絵をかくのが好きで、ポスターを見たときにかっこいいな、自分もこんなデザインしてみたいと思いました。

倉科

何人ぐらいで本の表紙をデザインしますか?

基本的にはすべてひとりでデザインの作業をしています。本によっては2、3人ぐらいで手分けして作業するときもあります。

倉科

本の表紙のデザインを考えるのは本ができた後か、本がつくられるのと同時期ですか?

だいたい同時につくられます。デザインの依頼をいただいたときから本のテーマは決まっています。例えば『STYLES』ではこれから将来を考えたい子どもたちに向けた本をつくるので、依頼が来たらすぐに表紙にするのか考えていきます。

倉科

デザイナーの仕事でやりがいは何ですか?

自分がデザインした本を、読者の子どもたちから「すごくおもしろいね」などと喜んでもらったときにはやりがいを感じます。

倉科

文字の形をどういうときに変えていますか?

文章の内容に合わせて文字の形を変えます。例えば、絵本だったら角が丸い文字の形にしたり、内容をしっかり伝えたい本のときには、読みやすい文字の形にしたりなどです。

倉科

物語の本をデザインする場合はどんなことを考えますか?

物語をよく読んで、その作品の魅力的なところや、おもしろいところをテーマにしています。

倉科

文字の種類は大体何個ぐらいありますか?

日本語以外にも外国語などの書体もあり、全部合わせると何千種類もあります。

倉科

仕事をしていてつまずいたとき、どう突破しましたか?

自分のなかで正解だと思って、勝負したデザインが、編集者の反応があまり良くないときや、本を発売しても売れないなどがあると、もっと違う答えがあったかもしれないと思い悩むこともあります。そんなときは。前のものよりもいいものをつくりたいと思いつづけるようにしています。

倉科

ライター·田中隆幸インタビュー

田中隆幸(たなかたかゆき)
雑誌出版社、ソフトウェア開発、情報システム業務などを経て2016年にフリーライターとして独立。2018年、空間運営会社の役員に就き千葉市起業支援施設の館長や小学校で出前授業の講師を務める。2021年9月に創業した株式会社西葛西出版の副社長に就任。

ライターとはどんな仕事ですか?

文章を書いて、その内容を人に伝える仕事です。『STYLES』のようにインタビューの原稿の場合は、私が思ってることを伝えるわけではなく、インタビューをした相手が話した内容をまとめています。それを本、WEBサイトなどに載せてみなさんに見てもらいます。

田中

いちばん難しかった依頼は何ですか?

文章をリライトといって、書き直す仕事です。ふだんライターはゼロから書き始めるからです。その中でも元の文章を残すか残さないかの判断が難しかったです。

田中

ライターはどんなの一日を過ごしますか?

例えば『STYLES』の取材がある一日の場合、編集者やカメラマンと待ち合わせをして取材対象者のもとへ行きます。そこで、取材対象者にインタビューをします。そのあとは、事務所へ帰り、取材した内容を文章にしていきます。終わらなければ夜に家で続きを書きます。

田中

なぜこの仕事を選んだのですか?

最初に就職した会社が雑誌の編集をする会社だったんです。なぜ入ったかというと、みなさんと同じ年齢くらいのときに学校の読書感想文で先生に「文章上手だね」と言われたのがうれしかったからです。就職するときは、文章を書く仕事か、映像を撮るかずっと迷っていましたが、先生のその言葉を思い出し、最終的に本をつくるこの仕事を始めました。

田中

記事ができるまでの手順は何ですか?

まず、取材に行く場合は取材の先でインタビューをする。お話で聞いたことをメモする。音声にとったりしてその内容を文字に変えていく。それで、一回自分の中で文章を作って、お客さんに見せてOKがでればそれで終わり。終わらなければ「ここをちょっと直してほしい」とか「こういういいかたにしてもらえますか?」的な形でもう一回依頼をもらうことがある。その依頼をもらった時は直して渡す。その繰り返しをします。

田中

ひとつの仕事で最大何人のライターが仕事をしますか?

基本的にはライターはひとりで仕事をします。しかし、雑誌やインターネットのメディアなどは、たくさんのライターがいて、同時に仕事をしています。ライター同士が一緒に仕事をするわけではありません。

田中

『STYLES』の文章を書くときに気をつけていることは何ですか?

大人が読むものじゃないので、中学生が読んでわかる内容にしています。取材をした仕事の内容を理解して、その理解したことをどうやったら中学生に伝わるかをいちばん大切にしています。

田中

中学生にわかりやすくするためにどんな工夫をしていますか?

難しい言葉や専門用語は使わないようにして、簡単な言葉に置き換えて文章を書いています。

田中

ライターの仕事で使う道具は何ですか?

主にデスクトップパソコン、ノート、音声を録音するICレコーダーを使っています。ICレコーダーはパソコンに繋げ、インタビュー中に録音した音声を聞きます。

田中

ライターとしては、どんな仕事が好きですか?

取材に行って、人に会って、その人を記事にするということが好きですね。本やインターネットに載っていない、その人しかもっていない情報を書くことにとても価値を感じます。また。自分が足を運んで、見たものや聞いたものを人に伝える仕事がしたいなと思っています。

田中

文章をまちがえたときにはどうやって直すのですか?

印刷してしまった本はもう直せません。インターネットなら修正できますが、勝手に修正せず、まちがえた箇所がわかるように文章の下に正しい内容を書きます。原稿はふたり以上で確認して、まちがいがないようにするので、あまりミスが起きることはありません。

田中

この仕事をしていていちばんうれしかったことは何ですか?

自分が書いたものが、本になって、世の中に出たときです。また自分の名前が本に掲載されたときはうれしいですね。

田中

今の目標は何ですか?

ライターとして参加した本はたくさんありますが、本を一冊自分ひとりで書けるようになりたいと思っています。

田中

カメラマン・土屋貴章インタビュー

土屋貴章(つちやたかあき)
フリーのDTPオペレーターを経て、2008年、オフィス303に入社。パズル雑誌の編集をしながら、雑誌などに掲載する写真の撮影も担当するようになる。現在では303BOOKSの出版物やウェブの写真撮影、動画の撮影・編集もおこなう。

カメラマンの仕事内容は何ですか?

依頼された内容に合わせて、道具を揃え、撮影に臨みます。撮影した写真は編集者に渡します。編集者は雑誌やWEBサイトで写真を使います。

土屋

写真を撮る以外の仕事は何ですか?

撮った写真をどれを使うか決め、本に使えるように色を調整することもカメラマンの仕事です。僕の場合は、動画を撮影する仕事もしています。

土屋

カメラ以外の道具は何ですか?

三脚や、被写体を明るくするためのストロボがあります。ストロボ専用の三脚もあります。

土屋

カメラを入れる専用バックがあるんですか?

僕が使っているのはリュックサックみたいなものだけど、カメラを取り出せるようにために横が空くようになっています。パソコンを入れるためのスペースもあります。

土屋

依頼はどのように来るのですか?

例えば、11月30日に千葉の小学校で写真を撮ってくださいと依頼があります。どんな写真が欲しいのかや、何点使う予定なのかや、教室の中は自由に歩いていんかなど、制限されることがあるのかを聞いて、撮影に備えます。

土屋

写真を撮る場所はどのように決めているんですか?

例えば『STYLES』の取材だったら、企業の人にここの場所で撮ってください、というふうに言われます。でも、その中でもどこに立ってもらったらいいかはカメラマンが考えます。例えば人をとるんだったら暗いところよりも光がちゃんと前から当たっている場所を探したり、後ろにいらないものなど角度を選んだりします。

土屋

撮影場所は天候などで変わりますか?

雨や雪では撮影が中止になることもあります。曇りの日に室内での撮影の場合、窓際のほうで外から入ってくる光を活かして撮影することもあります。また晴れのときは光が当たりすぎないようにあえて日陰のところで撮ることもあります。

土屋

撮影する人の魅力を引き出すためにどんな工夫をしていますか?

笑顔など、自然な表情を撮るために、被写体の人としゃべりながら撮っています。

土屋

いい写真を撮るためにどんな質問をしていますか?

本当に単純な質問で、どんな食べ物が好きですか? とかなんでもない質問をしています。

土屋

撮影した写真の取り扱い方を教えてください。

まずは、パソコンに取り入れて、必要な部分だけに写真をカットするトリミングをします。次に、編集者に、候補になりそうな写真を送ります。編集者が使う写真を選んだら、色などの調整をして画像を編集者に渡します。

土屋

写真の選び方のコツを教えてください。

人物ならまず目を開けている写真しか使えません。笑顔になっている写真をできるだけ選びます。他にも、顔の角度やまわりに映っているものも確認します。写真をいくつか並べて見て、どっちがいいか考えているうちに、こっちのほうがいいと、わかってくるようになります。そうなるとトーナメント戦うみたいに、いくつかの写真から「こっちがいい」と繰り返していって、最後に残った写真が優勝です。

土屋

写真を撮るときに角度を変えている理由を教えてください。

今日撮った写真を明日もいいと思うとは限らないので、後々後悔しないようにいろいろな角度から撮っておきます。写真の選べる幅が広い方が、編集者も選択肢が増えます。

土屋

写真を撮るときのこだわりを教えてください。

自分がいいと思っても、依頼してくれた人の意見が違ったら、その人の考えを優先します。また、誰のために何をどういう目的で撮るかを、きちんと考えることを大切にしています。

土屋

手ぶれをなくすための工夫を教えてください。

三脚を使えばいいと思います。そうすれば手ぶれはまったくしません。三脚で撮るときは、10秒間や30秒間ずっとシャッターのボタンを押しっぱなしでもぶれません。手で撮るときの方が気を使っています。手持ちで撮る場合は、脇をしめて顔にカメラをくっつけて息を止めながら撮るようにします。

土屋

壁にぶつかったときの解決方法を教えてください。

ほかのカメラマンの写真集を見て刺激を受けます。新しいカメラを買ったり、いつもと違うレンズを使ったりして、いつもと違う環境に自分を持っていきます。

土屋