時代劇に、キュン!#4

「水戸黄門」の巻

この記事は約4分で読めます by 楠本和子

昭和の時代には、毎日のように、テレビで普通に見ることができた時代劇。
令和のいま、その存在のありがたさを思い出しています。
愛すべき時代劇と、時代劇を愛する人たちに、エールを送ります。

“人生 楽ありゃ 苦もあるさ~♪”

助さん・格さんの歌声でおなじみの「水戸黄門」の主題歌(「あゝ人生に涙あり」)は、いまでも2番まで歌えちゃうくらい、脳にしみこんでいる。日本人なら知らぬ人はいないと思われるスーパーヒーロー、それが、水戸黄門だ。なんせ、印籠一つで悪を成敗できちゃうのだから、土下座だって何だってしますよって話だ。

水戸黄門こと水戸光圀が、佐々木助三郎(助さん)と渥美格之進(格さん)をお供に、悪者どもを懲らしめながら諸国を漫遊する物語。月曜夜8時から50分余り、毎回一話完結で、全く肩が凝らない、痛快娯楽時代劇だった。

「水戸黄門」の放送が始まったのが1969(昭和44)年。2011(平成23)年の最終回スペシャルまで、じつに42年間にわたって長旅を続けてくれた黄門さまに、心からお礼を言いたいと思う。

このシリーズで黄門さまを演じたのは、東野英治郎、西村 晃、佐野浅夫、石坂浩二、里見浩太朗の5人だ。後にBSで武田鉄矢が演じている。

でも…でもね。やっぱり黄門さまは、東野英治郎がいちばんだと思うの。白いお髭もお似合いだし、あの「かっかっかっかっ…」という高笑いもほんとうに素敵だし、助さんや格さんに諫められて、スネるときの黄門さまは、まるで、だだっ子のように可愛かった。そういえば、東野さんも2代目の西村さんも、昔は悪役のイメージが強い役者さんだったのに、なぜか黄門さま役がハマってしまうのだから不思議だよね。

物語は、どこかの大名のお家騒動といった事件がらみで、水戸の西山荘(黄門さまの隠居所)から旅立つのが始まりのパターン。敵対する相手の魔の手をかわしつつ、一行で旅を続けるっていうのが常だった。

「水戸黄門」のレギュラー陣には、風車の弥七(中谷一郎)、うっかり八兵衛(高橋元太郎)、シリーズ途中からは、(後に弥七と夫婦になる)霞のお新(宮園純子)、かげろうお銀(由美かおる)や柘植の飛猿(野村将希)なども加わった。弥七の赤い風車(先端が尖っていて武器になる)は、いざというときには必ず飛んできて、黄門さまの危機を救ってくれたものだ。しかし改めて見てみると、専用のツアーバスがあってもいいくらい、大人数の一行だったよね。

黄門さま(旅先では、越後のちりめん問屋の隠居を名乗っていた)のお守り役、助さん・格さんは、黄門さまや年代に合わせて役者も変わっていったけれど、やっぱり、初代の助さん(杉 良太郎)、格さん(横内 正)の印象が強いかもね。まぁ個人的には、2代目助さん・里見浩太朗のファンだったけど…。

さて、時代劇のクライマックスといえば、決まり文句がつきもの。

「水戸黄門」では、黄門さまの「助さん、格さん、懲らしめてやりなさい」をきっかけに、毎回、大チャンバラが始まるのが決まりとなっていた。

助さんは刀の腕が立つ。格さんは柔の名手だ。心躍らせるBGMの中、悪党どもVS黄門チームの大立ち回りが、しばしの間続く。そして(自分たちから始めたくせに)「しずまれ、しずまれー!」と助さん。「この紋所が目に入らぬかー‼」と格さん。葵の紋が入った印籠をかざし、「こちらにおわすお方をどなたと心得る。畏れ多くもさきの副将軍、水戸光圀公にあらせられるぞー!」と恫喝する。そこで助さんがすかさず、「ご老公の御前であるぞ。頭が高い、控えおろうー!」となる。「ははーーっ…」とひれ伏す一同。

パチパチパチパチ…(拍手喝采)。やっぱり、水戸黄門は、こうでなくっちゃ!

かくして、悪党どもは、ことごとく滅びるのであった。悪が栄えた試し無し。あー、すっきりした。

ところで、42年も続いた長いシリーズの中で、特に人気があったのは、由美かおるが演じた、“かげろうお銀”(シリーズ後半では“疾風のお娟”にキャラ変)だと思う。頭はポニーテール、網タイツにブーツという姿で立ち回りをするのだ。バレエで鍛えた柔軟な体で殺陣シーンをこなしていたなぁ。そもそもは、黄門さま(2代目・西村黄門から)の命を狙う“忍(しのび)”という設定で登場。でも人気があったからだろうね。やがて、登場回数も増え、黄門さま一行の一員に昇格した。

お銀の入浴シーンは、最後の大立ち回りとともに有名で、特に視聴率が上がるといわれていたものだ。もちろん私も毎回欠かさず見ていた。由美かおるさんは、元々きれいな人だが、色白だしスタイルも抜群だったねぇ(令和のいまでも、若々しくて美しいのは驚異的です!)

何だかんだいっても、時代劇「水戸黄門」は、世代を超えて愛される、“勧善懲悪”の物語の定番といっていい。

黄門さまには、また、いつの日か、日本中を旅してほしいものだ。

杖と、三つ葉葵の紋所の印籠を持ち、助さん格さんをお供に従えて…。

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クレジット

執筆
神戸市の生まれだが、東京での暮らしも、すでに、ン十年。 根っからのテレビ好きで、ステイホーム中も、テレビがずっとお友だち。 時代劇と宝塚歌劇をこよなく愛している。
    イラスト
    1994年、福岡県生まれ。漫画家、イラストレーター。第71回ちばてつや賞にて「死に神」が入選。漫画雑誌『すいかとかのたね』の作家メンバー。散歩と自転車がちょっと好きで、東京から福岡まで歩いたことがある。時代劇漫画雑誌『コミック乱』にて「神田ごくら町職人ばなし」を不定期掲載中。