夕立のアンティオキア ―パイサの生き方―

グラフィティ・ツアーガイド エステファニア・アランゴ(3話)

この記事は約3分で読めます by ユースケ“丹波”ササジマ

オフィス303の元社員、ユースケ“丹波”ササジマがコロンビアの女性にインタビューしていく連載企画。今回もエステファニア・アランゴさんへのインタビューです。今回はご家族についてお話をしています。

それぞれ違った魅力

この前エステファニアの姉妹を紹介してくれたじゃない? みんな綺麗な上に、見た目がけっこう違っててそれぞれ固有の美しさがあるよね。お姉ちゃんは褐色系で、妹さんは黒人系で。

笹島

みんな似てないよね(笑) まあ父親が違うから当たり前だけど。

エステファニア

あーだからか! 全然似てないなと思ってたのよ(笑)  姉妹3人いるけど、みんな父親が違うの?

笹島

みんな違うね。ちなみに妹の父親は知ってるけど、姉と自分の父親は会ったことない。お母さんが妊娠してるって分かった途端どっか行ったみたい・・・。

エステファニア

わりと聞きますねそういう話・・・。お姉ちゃんとか双子の妹も子どもいるんだよね? 子どものお父さんは何してるの?

笹島

妊娠が分かった途端・・・。

エステファニア

歴史は繰り返すんですね・・・。そういう場合って養育費の請求とかできるよね?

笹島

できるよ。できるんだけどね・・・請求をしても結局なにもしてもらえないっていうケースが多いよ。人によるかもしれないけど。

エステファニア

なるほどね。それはなかなか辛いな・・・。エステファニアの子どもの父親は責任ある対応してるの?

笹島

一応ね。昔まで一緒に住んでたけど、子どもに対する扱いがひどかったから別れたわ。

エステファニア

扱いがひどいって、虐待するとかそういうこと?

笹島

虐待ってわけじゃないけど、子どもたちに対して明らかに愛情がないの。子ども呼ぶ時も「おいこのバカ」とかよく言ってた。

エステファニア

それ一種の虐待だよね・・・、別れて正解だよ。でもなんでそんな男と付き合っちゃったの?

笹島

なんでだろうねー、ほんとバカだったなって思うよ・・・もう男はいいわ。

エステファニア

学んだんだね(笑)

笹島

まあ、いい男だったらいいかも(笑)

エステファニア

同意がないまま

子どもは2人いるけど、これ以上欲しくない?

笹島

もういいかな。と思って避妊手術したのよ。あと、ちなみにじつは子どもは3人いたの。

エステファニア

いたっていうことは一人亡くなっちゃったの?

笹島

うん。息子がいたんだけど、生まれたときに肺高血圧を持っててね。

エステファニア

それで亡くなったんだ。

笹島

原因としてはそれなんだけど、厳密には助かる見込みがないからモルヒネで安楽死させられたの。

エステファニア

そうなんだ。それは辛かっただろうね・・・。

笹島

そうね、しかも同意なしで安楽死させられたの。

エステファニア

あんまり詳しくないけどコロンビアって新生児の安楽死はできないんじゃなかったっけ? しかも同意なしは絶対ダメだよね・・・。訴えを起こすことってできないの?

笹島

もちろんそれも考えたけど、まず私みたいなお金がない人間は弁護士を雇えないもん。

エステファニア

でも、そういう経済的余裕がない人のために働いてくれる弁護士もいるよね?

笹島

いるね。じつは相談したことがあったんだけど、訴えるのはやめといたほうがいいって言われたの。

エステファニア

それはどうして?

笹島

安楽死の処置をしたのは公立の病院だったから、病院を訴えるとなると国と争うことになるんだけど、そうなると訴えが通ることはかなり厳しいって。凄腕の弁護士を雇えたら違ったのかもしれないけど。

エステファニア

そうか、厳しい現実だな・・・。今回はここまでにしよう。次回は話題をかえて将来について聞きたいな。

笹島

グラフィティ・ツアーガイド エステファニア・アランゴ(4話)

CREDIT

クレジット

撮影・聞き手・執筆
株式会社オフィス303の元社員。黒豆で有名な兵庫県丹波篠山市出身。2017年に日本を飛び出して1年ほどラテンアメリカ諸国を行脚する。現在はライターやフリー翻訳者として働きながら超低空飛行で生き延びる。