詩人で絵詞作家の内田麟太郎さんは、
日常の何気ないできごとに詩を感じ、
ノートに書きとめるようにFacebookに投稿する──。
思わず笑ってしまう詩、心に優しく染み入る詩、
ふと誰かのことを思い出してしまう詩。
そんな内田麟太郎さんの詩を、
みなさんが一週間を乗り切る力になればと、
毎週月曜日に1編ずつご紹介します。
内田麟太郎さんのFacebook
ゆめのなか
ふわ ふわ ふわ
ふわ ふわ ふわ
クラゲはなんどもうきあがる
でも なんどやっても
そらへはのぼれない
おつきさまが
よんでいるようなきがするのに
クラゲはわからない
なぜ そんなきがするのか
おつきさまもわからない
クラゲがなぜそらへのぼりたがるのか
(なぜかしら)
おつきさまはしらない
じぶんがゆめでながしたなみだが
クラゲになることを
ゆめのなかのことだから
クラゲもゆめのなかでときどきなく
おかあさーん。
とさけんで
でも クラゲもおぼえていない
ゆめのなかのことだから
詩
うちだりんたろう
内田麟太郎
1941年福岡県生まれ。詩人、絵詞(えことば)作家。『さかさまライオン』で絵本にっぽん賞、『うそつきのつき』で小学館児童出版文化賞、『がたごとがたごと』で日本絵本賞、詩集『ぼくたちはなく』で三越左千夫少年詩賞を受賞。他に絵本「おれたち、ともだち!」シリーズなど著作多数。