旅を振り返る-TIME TRIP#3

「流氷に出会うのは難しい」

この記事は約3分で読めます by 上薗紀耀介

「流氷に出会うのは難しい」

「流氷」と検索すると目にする言葉だ。

ウトロの知床自然センターには流氷をプユニ岬手前から毎日観測した写真が貼られている。それを見ると真っ白に海岸を埋め尽くしていた流氷が翌日には沖に流れ出し、深緑色の海面が見えているのがわかる。天候に大きく左右される流氷の動きは直前まで予想することができない。流氷は気まぐれなのだ。流氷に出会える可能性は低いかもしれない…そんな気持ちで真冬の北海道を訪れた。

日本で「流氷」といえばシベリアから北海道のオホーツク海沿岸まで流れてくる氷が有名だ。1月になると流氷は海を越えてやってくる。シベリア沿岸で凍結した氷が割れ、海流や風に乗って北海道のオホーツク海沿岸まで流れつくのだ。毎年最初に流氷を観測した日を「流氷初日」という。流氷は3月まで接岸と離岸を繰り返し、気温が上がると溶け始める。そして流氷が溶け、船の航行が可能になると「海明け」が宣言される。日本で流氷を見ることができる場所は北海道の紋別、網走、知床などに限られる。特に知床周辺は流氷が接岸するので、間近で見ることができる。

地球温暖化の影響もあり流氷は年々少なく、氷の厚みも薄くなっている。明治末期の北海道・樺太を舞台にした漫画『ゴールデンカムイ』には流氷の上を渡って逃げるシーンがあるが、現在の流氷では無理だろう。

そんな流氷に今回は運よく出会うことができた。

網走市の近く、フレトイ展望台から見た沖にある流氷帯。網走から知床へ行く途中には流氷を見られる場所が点在する。展望台には“流氷ノート”が置かれ、訪れた人の書き込みがある。そのノートを読むに、数日前まで流氷は見えなかったようだ。

外は氷点下。呼吸をすると気管が冷たくなる。車の温度計も常にマイナス表示だった。知床方面へ行くにつれて流氷は増え、距離も近くなる。雪の反射が眩しいので運転にサングラスは必須。路面は除雪されていて思っていたよりも運転しやすい。

遠音別川河口に接岸した流氷。秋には鮭やカラフトマスが遡上する川としても有名だ。鮭が遡上する時期に河口で釣りをしていると、巡回してきた警察官に「クマが出るので注意してください」と言われた。

知床横断道路に入るプユニ岬手前の橋から見た流氷。有名な観測ポイントで、たくさんの人が写真を撮っていた。知床横断道路は冬期通行止めになっているが、手前の知床自然センターまでは行くことができる。

秋に訪れた知床の風景。夏から秋の観光シーズンにはウトロ港から半島を巡る遊覧船が出ている。知床は2005年に世界自然遺産に登録された。

「網走流氷観光砕氷船 おーろら」から見下ろす粉砕された流氷。日時や天候によって流氷に出会えないこともある。この日は流氷帯がやや沖にあったが無事に見ることができた。

流氷の上で「流氷ウォーク」をする人たち。知床で体験できる冬のアクティビティ。ウェットスーツを着て流氷の上を歩いたり泳いだりすることができる。装備をつけずに流氷の上に乗るのはとても危険。

知床へ向かう途中、運転席から接岸した流氷が見え始めると思わず「自然の神秘」とつぶやいてしまう。安い感想かもしれないが他に的確なものが見当たらない。LCCのPeach Aviationが成田〜釧路、女満別に就航し、短期間で安く道東を観光できるようになった。今回、流氷はもちろん博物館網走監獄や美味しいご飯なども十分に楽しむことができた。

CREDIT

クレジット

執筆・編集・撮影
長崎生まれ。東京育ち。趣味にお金をかけるため埼玉在住。編集アシスタント、デザイナー、予備校講師、不動産仲介などさまざまな仕事をしているため「本業はなに?」とよく聞かれるが、特に本業はない。