作家・神戸万知、Kバレエ『海賊』の世界にふたたび出会う

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Art Novel『海賊 Le Corsaire』を執筆された、作家の神戸万知さん。神戸さんはバレエ大好きということで、今回この本を執筆してくださいました。そんな神戸さんがKバレエ『海賊』の2日目を観劇し、バレエ愛にあふれるレポートをします!

神戸万知(ごうどまち)
翻訳家・作家。ニューヨーク州立大学卒業、白百合女子大学大学院博士課程満期退学。訳書に「バレリーナ・ドリームズ」シリーズ、『バレエものがたり』『わたしたちが自由になるまえ』、著書に『世界一のパンダファミリー』などがある。

ついに! やっと! Kバレエ『海賊』公演が実現しました! 16日の夜公演を観劇しました。

この『海賊』は、熊川さんがアリを演じた初演時から観ていて、個人的にもとてもなじみ深く、思い入れもある作品です。なにより、わたしの歴代お気に入りのバレリーナ、吉田都さん、ニーナ・アナニアシヴィリ、中村祥子さんが出演されてきて、作品の成長と熟成を見守ってきました。

今回は、中村祥子さんがこの『海賊』でプリンシパルを退き、名誉プリンシパルに就任するという発表がありました。ところが、コロナで公演が延期になり、遅沢佑介さんもプリンシパルを退き、ゲスト・ステージング・レペティトールに就任されると発表され、もうとにかく上演できることをひたすら祈っていました。わたし、このおふたりのパートナーシップがすごく好きなのです。

そして、めでたく幕があがり、祥子さんも、遅沢さんも、あいかわらず美しいラインにクリアで正確で優美な踊り……。至福の世界でした。遅沢さんって、ラインも踊りもサポートも、わたしにとって理想的な王子さまなのですが、コンラッドも気品があってたいへん魅力的です。祥子さんもいつも以上に可愛くてかっこよくて、いちいちステップが軽やかで美しくて、これでプリンシパルを退かれるなんて、もったいないーと思ってしまいました。

Art Novel『海賊』を書くとき、『海賊』の映像を何度も見返しました。無事本ができあがり、あらためて生の舞台を観てみて、熊川さんの振付の、ストーリー性の高さにまた新鮮に感動しました。

とくに、第2幕の洞窟での宴は、ただ順番にあれこれ踊るというだけではなくて、海賊たちが酔っ払い、にぎやかに騒ぐ様子が、踊りで細やかに大胆に表現されています。(熊川さんも、インタビューしたときに、あそこは自分らしさが出ているとおっしゃっていました。)一方で、踊りの合間にある、それぞれの登場人物の思いなどは、このArt Novelで補完できたかなあと、自画自賛のようですが、舞台を観ながら感じました。

さて、わたしはあと2回、17日の夜公演、18日と『海賊』公演にいきます! 祥子さんと遅沢さんのプリンシパルとしての最後の公演をしっかりと見届けなければなりません。

2020年10月15日〜18日Kバレエカンパニー公演『海賊』

芸術監督:熊川哲也
会場:Bunkamura オーチャードホール
日時:この公演は終了しました。

Kバレエカンパニー オフィシャルサイト

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