ついに発売された長田真作最新作『ほんとうの星』『そらごとの月』。この本の発売を記念して本屋B&B主催で行われたオンライントークショーの模様を誌上再現いたします。長田真作さんと語り合うのは、親交がある小島慶子さん。タレント活動をしながら、エッセイや小説を執筆されています。また社会に対する様々なメッセージも発しています。今回は、そんなふたりが、好きな絵本について語ります。そして長田さんは今後の作品について。最終回です。
『ほんとうの星』『そらごとの月』刊行記念トークショー 今、表現者は何を伝えていくのか? 長田真作×小島慶子
わからなさとの格闘
冷水シャワーで涼めない
Q&Aでご質問いただいてるので、長田さんどれから答えていきますか?
「長田さんはいつもニコニコしているイメージですが、怒ることはありますか」って質問いただいてるんですけど、僕そんなイメージ持たれてるんですか(笑)
私ね、最初に長田さんとお目にかかった時、作品とのギャップをすごい感じたんですよ。お会いする前は、「どんな奇想天外な人だろう」と思ってお目にかかってみたら、すごく朗らかで人当たりのいい人で……でも、怒ることってあるんですか?
もう怒ってばっかりですよ。身近な人からは器が小さいってよく言われます。
最近怒ったことってなんですか?
猛暑の中、冷水でシャワーを浴びたのに涼めない自分の体の衰えに激怒しました。30代を迎えて、もう冷水シャワーのさっぱり感が10代20代のそれとは違うんですよ。
お前冷水シャワーで涼めないってどういうことだよっていうことね(笑)
コワおもしい絵本たち
小島さんにも質問が来てますよ、好きな絵本はなんですか?
私ね、息子に読むっていう大義名分で大量に買い込んだぐらい絵本大好きなんですよ。まずひとつは、『ねないこだれだ』っていう本ですね。
これ、こわいですよね。
そう、こんな時間に起きてるのは誰だっていうところから始まって、夜9時を過ぎてる起きてる子どものところにオバケが来るんですね。その子どもは起きているところをオバケに見つかってしまい、お化けの世界に連れて行かれるんです。その途中でその子はオバケに姿を変えられちゃうんですけど、超こわいの。あと、同じせなけいこさんで『ふうせんねこ』。これもすごくこわくて引き込まれちゃう。
せなさんはこわい作品ばっかりつくってるわけじゃないと思うんですけど、この2作はかなりこわいですよね。
あとは、福音館の名作傑作絵本シリーズの、再話が小澤俊夫さんで、赤羽末吉さんが絵を描いた『かちかちやま』。めちゃくちゃにこわいので、みなさんせひ読んでください。ただの童話だと思って読むとビックリしますよ。たぬきがめちゃくちゃ極悪非道なんですよ。
あれも相当こわいですよね…。さっきからこわいしか言ってないな(笑)
おじいさんを思って優しいうさぎが復讐してあげましたみたいな話かと思ったら、そのうさぎの復讐の執念もすごいし、赤羽さんが水に沈んでいるたぬきまで最後まで描ききるというのもすばらしいし、あれをやっぱり子ども向けにちゃんと発売し続けている福音館書店も立派だなと思いますね。
大作の予感⁉ 長田真作が描きたいもの
じゃあ、次の質問で最後にしましょうか。今後、長田さんが描きたいものはどういった作品ですか?
じつは、目下取り組んでる作品があるんですよ。何十巻にもなるような長編の絵本なんですけど。
それは今のところどういった内容になる予定なんですか?
これまでの僕の作品とは全然違うものですね。物語や設定があって、キャラクターがいて長大な冒険をするっていうような感じの。
それは読みたい! いつ頃できるんだろう。
10年くらいかかるかなって思ってます。
10年⁉ じゃあ、ほんとに大作になるんですね。
そうですね、1年で10冊も描けないので、年をとるごとに冷水シャワーで涼めなくなる体の衰えを感じながら少しずつ描き進めていくつもりです(笑)。
プロフィール
構成:常松心平、笹島佑介