『新装版 そらのうえ うみのそこ』発売記念トークショー 「人類が目指した”そらのうえ・うみのそこ”」

長沼毅×木場事変 ゲスト大橋慶子 #5

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本屋B&B主催で行われた『新装版 そらのうえ うみのそこ』発売記念オンライントークショー「人類が目指した”そらのうえ・うみのそこ”」。ここでは、その模様を再現いたします。本書監修者の長沼毅先生と、芸人の木場事変さんとのトークも今回が最終回。絵本作家、大橋慶子さんがゲストで登場します!

プロフィール(ページ下部へ移動します。)

少年冒険家タケシの旅は続く?

はい。大橋慶子さんの登場です! 早速大橋さんに絵本についてお聞きしたいんですが、主人公のタケシやインディ号などのデザインは大橋さんがすべて考えられたんですか?

木場

いえいえ、自分でいろいろイメージしつつ長沼先生や編集の方々と相談しながら決めていきました。主人公のタケシはやっぱり冒険者なので元気で体もがっしりさせようといった感じで。

大橋

この主人公は長沼先生が毅だからタケシなんですよね?

木場

はい、そうだとうかがってます。

大橋

じゃあ長沼先生の絵本なんですね。これは先生が「俺を主人公にしろ」って言ったんですか?(笑)

木場

いやいや、そんなわけないじゃないですか!(笑) これは編集のみなさんのお気持ちでこういう形にしていただいたと思っています。

長沼

失礼しました(笑)。ところで、タケシの服や博士、宇宙船のデザインはやっぱりいくつかパターンのデザインを考えられたんですか?

木場

そうですね。たとえば服は宇宙服から連想してデザインしたんですけど、当初は普段着バージョンっていうのも考えてましたね。自分でもこんなのあったっけって感じで忘れてましたけど(笑)
インディ号も最初ほうのデザインはちょっと違ってました。いろいろ調べながら描いたんですけど、今見るとドラゴンボールの影響を感じさせるデザインになってますね(笑)。

大橋

サイヤ人が乗ってるやつですね(笑)。今回の絵本では生き物がたくさん出てきますけど、生き物を描くにあたって苦労されたこととかありましたか?

木場

資料がなかったり実物を見れなかったりする生き物、たとえば深海生物とかは難しいですよね。標本でもやっぱり実物と違うし。なので、ある程度は想像で補わざるを得ない部分はありました。

大橋

なるほど。確かにそうですよね。実物が深海でしかお目にかかれない生き物とかいますもんね…。ちなみに、絵本の中でどのページがお気に入りですか? 

木場

わたしは深海のブラックスモーカーのところですかね。もう地獄みたいなカオス感とこれぞ未知の世界っていう感じがして好きですね。

大橋
『新装版 そらのうえ うみのそこ』で描かれたブラックスモーカーと、チューブワーム。

長沼先生のルーツともいえチューブワームがたくさんいるところですね。

木場

そうです、わが青春のチューブワーム※。

長沼

※チューブワーム = 大型の有鬚(ゆうしゅ)動物で、1977~79年にアメリカが行ったガラパゴス地溝帯の調査で、水深約2500メートルの深海で発見された。1本の白い筒(チューブ)の先に赤い花のような物がついた形をしている。物を食べず、光合成もしない。体内に共生する微生物が海底火山から噴出する硫化水素から栄養をつくってチューブワームに与えている。

長沼先生のお気に入りのページはどれですか?

木場

わたしのお気に入りは、バシャーン!と雷が轟く大迫力シーンですね。あれはかっこいいですよね。あと、もう一つあって、その次のアネハヅルがエベレスト超えていくページ。

長沼
『新装版 そらのうえ うみのそこ』で描かれたエベレスト山頂付近。アネハヅルとキバシガラスがエベレストを超えていく。

そのページも雄大でいいですよね。ちなみに僕のお気に入りは上空のページなんですよ。

木場

あの謎の多いところですね。

長沼

ここがもう見てて楽しくてしょうがないですね。なんなんだこれは⁉って感じで。

木場

あそこらへんはまだ科学的に解明されてないですからね。ほんと大橋さんの腕一本で表現してもらったページですね。

長沼

ここはあってるかどうか本当不安でした…。

大橋
『新装版 そらのうえ うみのそこ』の上空の「夜光雲」「スプライト」など不思議な気象現象が見られるページ。

科学で解明されてないっていわれたらそうなりますよね。でもこれを読んだ子どもたちが将来解明してくれるはずですよ! さて、大橋さんと長沼先生に最後の質問ですが、次に絵本をつくる&監修するとしたらどんなテーマの絵本をしたいですか?

木場

最近は旅行とか行けない状況だから、旅とか冒険要素のあるものをやりたいですね。

大橋

僕も一緒ですよ。南極とか砂漠とか高い山とかジャングルとか、地表のいろんな面白い場所をめぐるような冒険ものができれば嬉しいですね。

長沼

見事に意見が一致してるじゃないですか! ということは、少年冒険家タケシの旅はこれからも続くかもしれませんね。みなさん、乞うご期待です! では、これで対談は以上となります。長沼先生、大橋さん、ありがとうございました!

木場

プロフィール

ながぬまたけし
長沼毅

1961年、人類が初めて宇宙へ飛んだ日に生まれる。 1989年、筑波大学大学院生物科学研究科修了。深海から宇宙、北極から南極、砂漠から高山まで、あらゆる極地で、生命について研究する。科学界のインディ・ジョーンズの異名を持つ。JAMSTEC研究員、米国カリフォルニア大学サンタバーバラ校研究員を経て、現在は広島大学大学院統合生命科学研究科教授。

こばじへん
木場事変

1993年12月7日、長崎県波佐見町出身。プロダクション人力舎所属、お笑いコンビ「大仰天」のメンバー。日本史・ベースが趣味で、月1回、日本史のトークライブを開催している。樹海に行って歩いたり、不思議な街歩きをしたり、幅広い分野への興味や好奇心が旺盛。

おおはしけいこ
大橋慶子

岐阜県大垣市出身。武蔵野美術大学視覚伝達デザイン科卒業。イラストレーター、絵本作家として活動。東京都在住。
主な絵本に『もりのなかのあなのなか』(福音館書店)、『にんじゃタクシー』(フレーベル館)、『そらのうえうみのそこ』、『きょだいなガチャガチャ』(教育画劇)など。

構成:常松心平、笹島佑介