VSコロナ コロンビア編

"ロックダウン"封鎖された街

この記事は約4分で読めます by ユースケ“丹波”ササジマ

コロナウイルスと戦う世界の様子を伝えるこの緊急企画「VSコロナ」。第1回ではコロンビアがロックダウンしたことについてお伝えしました。今回は、ロックダウンされた都市での暮らしをユースケ“丹波”ササジマがリポートします。

3月20日、大統領から「Aislamiento Preventivo Obligatorio(アイスラミエント プレベンティボ オブリガトリオ)」が発表されました。これは直訳すると「予防的強制隔離」というもので、在コロンビア日本大使館などは「強制自宅待機措置」という用語を使っていますが、要は「外出禁止命令」です。また、全ての国内航空便はキャンセル、都市間を結ぶ長距離バスなども許可がないと使えないので、ロックダウン状態ですね。

すべての国民はこの措置に従わないといけませんが、特定の分野で働いている人は例外的に外出できます。一部を紹介すると、医療・福祉現場で働く人や、食料品や医薬品、医療機器の製造・流通・販売、銀行や役所、警備関係、軍や警察、電車やロープウェイなど公共交通機関に携わる人などです。例外に当てはまらない分野では、情報科学省の支援のもとテレワークで対応しています。メディアでもこうした動きに合わせて、出演者が自宅から参加している番組も増えています。

私のように、何にもあてはまらない人は外出できないわけですが、これまた例外があります。病院へ行くため、食料品や医薬品を買うため、銀行・役所手続きをするためなどの外出は可能です。ただ、病院に行くといっても、健康診断をしたり美容形成外科にかかったりすることはできません。あくまで健康を維持するための治療目的のみに限られません。

外出できるケースは、基本的に各核家族(夫婦のみ、もしくは夫婦と子ども)から一人のみです。コロンビアはペットを飼っている家庭が多いのですが、犬を散歩させるための外出(20分間)も可能です。レストランで外食することはできませんが、宅配で注文することはできます。コロンビアでは元々外食の宅配注文が盛んなので、今でも家の前を通る宅配バイクをよく見かけます。強制自宅待機措置の間、屋外や商業施設での酒類の消費が禁止されています。

なお、上記のような例外のケースを除き、強制自宅待機措置を無視して外出すると、4年〜8年の懲役や違反金などの罰をうけます。しかし、日本でも外出自粛要請中にも関わらず不要不急の外出をしていた人がたくさんいたようですが、コロンビアでも外出禁止命令に従わない人がいます。こういう困った人はどこの国にもいるものです。

さて、このようにロックダウンといっても、街から人っ子一人いなくなるわけでも、公共交通機関がすべて動かなくなるわけでも、まったく外出できないというわけでもないので、普段の生活とまったく違った世界になるわけではないです。

しかし、前稿でも述べましたがコロンビアは激しい格差があり、豊かな暮らしをしている人が多くいる一方、ギリギリの状態で暮らしている人もたくさんあり、今回のロックダウンで仕事を失って収入がなくなってしまった人も少なくないようです。そのため、政府はこうした人たちへ補助金を給付したり、住む場所まで失わないように賃貸住居の値上げや退去を禁止したりしています。ロックダウン中の政府や民間の支援についてはまた別の機会にお伝えします。

ロックダウン中の実際の暮らしぶりはどうなのか、これは当然個人や家庭によるものなので一概には言えませんが、私の場合は普段とあまり変わりません。ただ、日課だった公園でのサイクリングや筋肉トレーニングができなくなったことからのフラストレーションなのか、外出禁止措置が始まって4日目ぐらいに体調を崩しました。猫派の私は「犬は散歩に行けないとストレスがたまるとはどういうことだ」と思っていましたが、このときに犬の気持ちがよく理解できました…。その後はすぐに回復しましたが、やはり自由に外に出れないとなると、慣れるまでは精神的につらいかもしれません。

それなら、毎日買い物に行けばいいじゃんと思う方がいるかもしれませんが、そうすると感染拡大防止の効果が薄れてしまいます。また、私がくらすメデジンという街では、Pico y Cédula(ピコ イ セデュラ)という規制でそういう小技?ができないようになっています。次稿はこの規制について紹介いたします!

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VSコロナ コロンビア編

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執筆・編集・撮影
株式会社オフィス303の元社員。黒豆で有名な兵庫県丹波篠山市出身。2017年に日本を飛び出して1年ほどラテンアメリカ諸国を行脚する。現在はライターやフリー翻訳者として働きながら超低空飛行で生き延びる。