富里南小学校303 BOOKSオンライン職場体験 『STYLES』制作メンバーインタビュー

6年1組編

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2021年11月から2022年1月にかけて、303 BOOKSは、千葉県にある富里市立富里南小学校のオンライン職場体験を受け入れました。子どもたちは、303 BOOKSが制作を担当する千葉市、茂原市、市原市、四街道市で発行されているキャリア教育冊子『STYLES』の制作スタッフにインタビューを実施。こちらの原稿をまとめてくれました。まずは6年1組の原稿から。※以下は子どもたちが実際に書いてくれた原稿です。

『STYLES』とは

千葉市、茂原市、市原市、四街道市の公立中学校に配布されている「キャリア教育」の冊子。四市にある技術系企業で働く人たちにインタビューをして、なぜその仕事を選んだのか、その仕事のやりがいなどを聞いていく。将来の生き方を考えるヒントがたくさんつまっている一冊。

「STYLES 2021 技術・技能職編」

カメラマン・土屋貴章インタビュー

土屋貴章(つちやたかあき)
フリーのDTPオペレーターを経て、2008年、オフィス303に入社。パズル雑誌の編集をしながら、雑誌などに掲載する写真の撮影も担当するようになる。現在では303BOOKSの出版物やウェブの写真撮影、動画の撮影・編集もおこなう。

いつカメラに興味を思ったのですか?

僕は今47歳で、18歳の頃からカメラを遊び感覚で持ち歩いていました。29年カメラを使っています。

土屋

土屋さんはなぜカメラマンになろうと思ったのですか?

カメラが好きだったからです。カメラマンの勉強をしたわけではないですが、写真を撮って欲しいという依頼がきて、やっているうちに楽しいと感じてきて、カメラマンを仕事にしはじめました。

土屋

プロのカメラマンになるまでどれくらいの年月がかかりましたか?

僕は初めからプロのカメラマンをめざしていたわけではなくて、僕は常松と同じ会社で一緒に働いていたんですけど、そこで、ちょっとしたタイミングで撮影をすることになって、そこから段々本格的に覚えていく感じになっていました。今だと学校で学ばなくても本だったりYouTubeなどで学ぶことができるので、だれでもカメラの技術を覚えられますね。

土屋

カメラマン歴何年ですか?

カメラマンとして実際に仕事をしているのは12年です。

土屋

その12年の中で一番大変だったことはなんですか?

自分の予想を超えてくることが多いことが大変です。例えば撮影場所が、思ったよりも暗かったり、狭かったりすることが多いんです。そういうことが積み重ねていくと、撮影では常に予想を超えていく事があるぞ、という心構えができてきて、段々失敗しなくなっていきます。

土屋

カメラマンに資格はいりますか?

いりません。カメラマンと名乗ればカメラマンです。

土屋

カメラマンになるための心構えはありますか?

誰のために何をどういう風に撮るかを考えることが大切です。あとはカメラに詳しくなって、自分撮りたい写真にあわせて、カメラの操作をきちんとできるといいと思います。

土屋

カメラは、何種類使っていますか?

レンズを替えられるカメラをふたつと、持ち歩くのに簡単なコンパクトカメラと、iPhoneの全部で4つのカメラを使っています。

土屋

なんで4種類もカメラを使うんですか?

僕は写真に興味がありますが、カメラそのものにも興味があるので、新しいのが出たら気になって買ってみたりしますね。

土屋

カメラ以外の道具は何がありますか?

カメラを支える「三脚」、暗いところで明るくするための「ストロボ」、暗いところで鏡みたいに光を反射して明るくする「レフ版」などを使います。

土屋

『STYLES』をつくるのに何台のカメラを使って何枚撮るのですか?

使うカメラは1台です。せまい場所で撮るときは広いレンズで、遠いものを撮るときは、遠いものが撮れるレンズで撮ってます。1回の撮影で、300枚位撮ってます。

土屋

写真を撮るときに一番難しいことは何ですか?

何をどのように、どう撮るかを全部自分で決めなきゃいけないことが一番難しいです。また、人を撮るときはムスッとした顔よりも笑った顔、自然な顔を撮る方がいいので、笑顔を引き出すことが大切ですが、難しいですね。

土屋

写真が上手に撮れると、どう思いますか?

うれしいですね。単純に自分にとってうれしい場合と、自分があまりそう思っていなかったとしても、人がすごく良かったねって言ってくれることもあります。それも、すごくうれしいことです。そのときどういう風に撮ったことで、良かったと言ってもらえたのかを自分の中で覚えいておいて、次もそういう風にして撮れば、いい写真が撮れる可能性、確率が高まるのではないかなと思います。

土屋

ものを撮影しているときに意識していることはありますか?

ものをより魅力的に映るように、厚いものをとるときは上からとるのではなく横からとるようにします。色の影が強くなると本来の色とは違った色味になってしまうので光の当て方や、影をどのくらい薄くするのかの調整が大切です。

土屋

動いてる人をうまくとるコツを教えてください。

動いてるところを止めるならシャッタースピードを速くします。残像を撮りたかったら、逆にシャッタースピードを遅くしてもいいですね。

土屋

カメラマンとしての目標はありますか?

満足してもらえる写真を撮る! 自分も相手も良いと思ってもらえるような写真を撮る! 目標を持って仕事をする!!

土屋

カメラは自分にとってどんな存在ですか?

仕事道具だと思っています。相棒のようには思っていません。よりいい写真を撮るために新しいカメラを使ってきました。カメラという道具を使って自分がやりたい事を表現するようにしています。

土屋

カメラマンの仕事は、写真を撮る以外にありますか?

写真を撮るための準備が大事です。例えばモデルが立ってもらう場所を決めること、照明(ライティング)決めること、服装がどうするかなど、たくさんのことを考え、準備するので、写真を撮る瞬間は、すべてが終わったときなんです。

土屋

『STYLES』を見ていて思ったんですけど取材対象者の過去の写真はどうやって手に入れてるんですか?

取材対象者の人に持って来てもらってその場で写真をカメラで撮ります。

土屋

断られたときはどうするんですか?

「お願いします」って泣きつきます(笑)

土屋

ブックデザイナー·倉科明敏インタビュー

倉科明敏(くらしなあきとし)
千葉県出身のグラフィックデザイナー。理系大学卒業後に印刷会社制作部、デザイン事務所を経て、2013年独立。 ブックデザインを中心に、ロゴ、ポスターデザインなどに従事しながら、タイポグラフィを探究中。

ブックデザイナーはどんな仕事ですか?

本をデザインする仕事です。どういうデザインにすると届けたい人に届くかを考えながらデザインをしています。

倉科

デザインするには、どういう道具が必要ですか?

パソコンです。作業はすべてデジタル化されてるので、デザイン作業はすべてパソコンで行っています。パソコンの画面で見たものと、実際印刷したものでは色が違います。だから、常に実際の色をイメージしながらつくっています。アイデアを考えるときはペンと紙も使います。また、本に合う紙を選ぶときは、紙見本帳なども使います。

倉科

303 BOOKSではどういうジャンルの本をよくデザインしていますか?

子ども(小学生)向けの本が多いです。

倉科

ブックデザイナーになろうと思ったきっかけは何ですか?

特にきっかけはないですが、元々、物をつくって、いろんな人に何か届けたいな、と考えていて、そんなときにブックデザイナーという職業に出会いました。

倉科

手に取ってもらえるような本をつくるにはどうすればよいですか?

どういう人が読むかターゲットを予想して、何を考え、どういうことに興味を持っていて、どんな色が好きかなということを考えながらデザインしています。

倉科

デザインをする中でいちばん難しい事は、なんですか?

いちばん難しいことは、デザインには正解がないことです。どのデザインがいちばん正解に近いのかを自分なりに考えてデザインしなくてはならないところです。

倉科

ブックデザイナーになり始めたころと今で違うことはありますか?

初めは全然仕事が依頼してもらえなかったですが、ひとつひとつの仕事を一生懸命やりました。本をつくっているうちに「どうすれば手に取ってもらえるのか」ということが少しずつわかっていきました。その経験を活かして、いいデザインの本がつくれるようになっていきました。

倉科

どうやって自分の力をアピールしていますか?

「こんな本をつくります。デザインをお願いします」と声をかけてもらって、初めて仕事になります。依頼してもらった仕事でいい結果を残すのがいちばんのアピールだと思います。

倉科

『STYLES』をつくるのにどのくらいどの時間がかりましたか?

表紙のデザインに1週間~2週間かかり、本文はページ数が多いので、フォーマットを作るのに1週間かかります。編集者さんとライターさんに文章を仕上げてもらって、デザイナーが誌面を整えるのに1~2週間かかります。1冊の本にだいたい1か月ぐらいかかります。

倉科

本ができるまで大体何人の人で制作していますか?

デザイナーはひとりのことも多いですが、編集者やカメラママン、ライターなど最低5人ぐらいで本はつくられます。本の情報量やページ数で人数が増えたり、減ったりします。

倉科

『STYLES』では、なぜさまざまな色や形の文字が使われているんですか?

それぞれの文の役割が違っているので、さまざまな色や形の文字を使います。
表紙であれば、おもしろそうだな、読んでみたいなと思わせる色や形の文字にデザインしています。本文は、どのような内容を書いているかわかりやすいような文字の色や形にしています。

倉科

表紙のデザインによって本の売れ行きが左右されるのでプレッシャーは大きいですか?

紙はかっこよく、とても魅力的につくってほしいというお願いをされるので、「その期待に応えられるか」というプレッシャーがとても大きいです。

倉科

本をデザインするときに何を大切にデザインしていますか?

おもしろい本なら、できるだけおもしろそうに、むずかしい本ならなるべくわかりやすく感じるように、本を手に取ってもらうことを大切にデザインしています。

倉科

ライター·田中隆幸インタビュー

田中隆幸(たなかたかゆき)
雑誌出版社、ソフトウェア開発、情報システム業務などを経て2016年にフリーライターとして独立。2018年、空間運営会社の役員に就き千葉市起業支援施設の館長や小学校で出前授業の講師を務める。2021年9月に創業した株式会社西葛西出版の副社長に就任。

なぜライターになりたいと思ったのですか?

文章を書くのが好きだからです。みんなと同じ年齢のときに、読書感想文を書いて先生にほめられたことがあって、「僕は文章を書くのが得意なんだ」と思ったからです。

田中

ライターの仕事とはどんな仕事だと思いますか?

インタビューの原稿を書くライターの場合、自分が想像で書いたものではなくて、インタビューを受けてくれた人が答えたことを書いているので、いろいろな人と出会いが大切な仕事だと思います。

田中

取材をするときに気を付けている事は何ですか?

こちらが質問してる内容と、答えてもらった内容がきちんと対応しているか、注意しながら話を聞いています。

田中

ライターをやっていて心がけていることはありますか?

その人が言ったことをきちんと理解し、誤解しないようにすることです。ただ、原稿をおもしろく、読みやすくするために、言ったことばそのままではなく、読むための文章として整える必要があります。

田中

ライターとして一人前になるにはどのくらいかかりますか?

会社に入ってライターとしてやっていくのであれば3年ほどかかるんじゃないでしょうかね。ライターだけじゃなくても「石の上にも三年」といわれるので、ひとつの仕事を覚えるのには3年ぐらいかかるんじゃないでしょうか。多分、最初からフリーとしてひとりでやっていたら、仕事を教えてくれる先輩も上司もいないので、ひょっとしたらもっと時間がかかるかもしれません。

田中

ライターをやっていて楽しいと思うことはなんですか?

僕は基本的に人に会って話を聞く事が好きなので、人と会ってしゃべったり、色々なところを見たりしているのが楽しいです。

田中

1年にどのくらい文章を書いたりするのですか?

文字数でいったら何万字って書くでしょうね。例えば、1回の原稿が3000字だとしたら10回書いたら3万字になります。そして100回書いたら30万字にもなりますよね。なので、文字数でいったらとんでもない量を書いています。

田中

ライターになって変わったことはありますか?

自分が書くときに、誤字脱字がないか、事実に反してないか、すごく気を付けるようになりました。

田中

ライターはどういう道具を使っているのですか?

取材のときにはメモをするためのペンとノートとICレコーダーが必要です。文章を書くときは、ICレコーダーで取材内容を録音した音声を聞きながら、パソコンで文章を書きます。あとは、さまざま言い回しが載っていて参考になる「記者ハンドブック」という本を見ています。

田中

『STYLES』を書いているときはどういうことを考えていますか?

会社員の方々がどういう気持ちで働いているか、どういうプライドをもって、どういう志をもっているかということを、難しい言葉を使わないで、読者のみなさんがわかりやすい文章で書くようにしています。

田中

書きまちがえたものが世の中に出たらどうなるのですか?

書きまちがえてしまうと、すごく大変なことになります。次から仕事が頼まれなくなったりします。あと読者の方々から、会社に問い合わせが来たり、たくさんの人に迷惑をかけたりしてしまうので、必ずふたり以上の人がチェックして確認をするようにしています。インターネットだとすぐ修正することができるのですが、本だと印刷してしまえば修正できません。もしかしたら「書きまちがえないこと」はライターがいちばん気を付けなくてはならない部分かもしれませんね。

田中

編集者·常松心平インタビュー

常松心平(つねまつしんぺい)
303 BOOKS(株式会社オフィス303)代表取締役。千葉県千葉市出身。バイク雑誌、パズル雑誌の編集者をつとめた後、児童書の編集者になる。図鑑、児童文学、絵本などの市販の書籍から、学校図書館に置かれる教育目的の本の制作などを手掛ける。『STYLES』は、2019年の創刊時から編集者として参加している。

編集者という仕事はどのような仕事なのですか?

本をつくるときのまとめ役です。本の企画を立てたり、その企画を​ライター、デザイナー、カメラマンを選んで、それぞれに、「こういう風にやってほしい」と依頼します。そして、文章、写真をまとめて、デザイナーがデザインしてくれたデータを印刷会社に渡します。すると印刷会社が本を印刷してくれます。印刷する前には、まちがいがないか、編集者が必ずチェックします。

心平

編集するときは、何に気をつけますか?

おもしろい本をつくりたいことはもちろん、読みやすい本にすることに気をつけています。文章がわかりづらくないかや、表紙を見れば、パッとみても内容がわかるようにすることに気をつけています。あとは、まちがいがないように気をつけています。

心平

編集者にはどうすればなれるのですか?

資格があるわけではないので、基本的には誰でもなれます。でも、大手出版社に就職したいときは、難しい大学を出て、就職試験に合格しなければなりません。

心平

編集者と編集長にはどのような違いがあるのですか?

編集長というのはだいたい編集者の中で優秀な人がなります。だから今までいろいろなヒットを飛ばした実績がある人や、本のアイデアが豊富な人、リーダーシップをとれる人が編集長に選ばれます。その下に編集者が何人もいて、編集長が指示を出したり、アドバイスをして一緒に本をつくっていきます。

心平

どんな道具を使っていますか?

Apple社のMacBook Proというノートパソコンを使っています。InDesignというソフトを使って編集するのですが、デザイナーがデザインしてくれたデータを、文字を変えたり、画像を変えたりしながら、編集者が仕上げていきます。文字のまちがいも、InDesignで直せます。InDesignで、印刷会社に渡すためのデータをつくっていきます。

心平

ノートパソコンはどこで買っていますか?

家電量販店、AppleのWEBサイトなど,どこでも売っています。

心平

編集者になったきっかけとは何ですか?

最初に就職したときは、デザイナーとして働いていましたが、「編集をやってみないか?」と言われて編集者になりました。それ以来、編集者のほうがデザイナーより自分に合っているなと思って、編集者になりました。

心平

何年間仕事を続けていますか?

大学を出て、最初につとめた会社で、入社して1年後に編集者になったので、もう編集者を25年くらい続けています。

心平

『STYLES』をなぜつくろうとしたんですか?

これは、最初は、千葉市から依頼を受けて、つくりました。今『STYLES』は、千葉市、茂原市、市原市、四街道市の中学校に配られているので、4市の人たちと一緒に考えてつくっています。

心平

『STYLES』はどのくらいの期間でつくられたのですか?

だいたい6月くらいから翌年3月までなので9か月くらいかけて制作しています。5~6年かかってつくる本もあれば、週刊のマンガ雑誌なら毎週発行されています。短い期間でつくるものなら、たくさんのスタッフでつくります。締め切りは絶対に守らなくちゃいけないものです。

心平

本ができたときはどのような気持ちですか?

うれしいし、締め切りをなんとか守れてほっとしたという気持ちもあります。でも、まちがいがこわいので、正直、できた本を見るのがこわいです。「どこかまちがえているのでは?」と思って、「もう見たくない!」という気持ちもあるんです。

心平

自分のつくった本がお店で売られていると、どのような感じがしますか?

すごくうれしいし、ぼくは、幼稚園児から小学6年生くらいまでの子どもが読むような本をつくることが多いです。本屋さんで、目の前で、子どもたちが僕がつくった本買ってくれたことがあって、めちゃめちゃ感動しました。話しかけて握手したいぐらいうれしかったです。

心平

今までの仕事の中でいちばん大変だったことは何ですか?

いちばんというか、いつも結構大変なんですが、本の締め切りが間に合わなそうなときは大変です。徹夜したり、お休みの日も作業したりしても終わらなくて、社員のみんなに手伝ってもらって、なんとか間に合うわせるときもあります。

心平

仕事のやりがいと楽しさは何ですか?

自分で企画して、世の中にない物を、つくっているということを実感できることです。だから、自分で企画して、本をつくると、とてもわくわくします。思ったとおりにできたときは、楽しいですね。

心平