
これまで4回、例題を通して算数を読み解いていきました。今回は、ペンギンの子どものお母さんも交えて三者面談を行いました。子どもを算数好きにするにはどうしたらよいでしょうか。

さんすうを読んで解けるようになろう
さんすうは、ことばの言いかえでカンタンになる

先生いつもうちの子がお世話になっております。今日は色々質問をさせてください。

はい、よろしくお願いします。

ぼくもそうだけど、どうして算数は苦手な人が多いんですか?

それはね、私も知りたいです。

!?

そしたら先生はどうして算数が得意なの?

算数は言葉あそびと同じと考えているからです。暗号を解くとかクイズに近いと思います。

クイズー? 問題をよく読むってことですか。

問題をそのまま読んでもいきなり答えは出てきません。そこで、違う言葉や意味に変えられる場所を探すゲームと考えます。そうするとひとつひとつの数式や文章が違う意味を持つことに気づくことができます。もとの問題を段々簡単にしていくゲームという感じです。

これを「翻訳」と呼んでいます。

そうです、翻訳です。前に翻訳の話をしてくれました。

算数は、「いかに簡単に翻訳できるか」というゲームなんです。

ハカセはいつそのことに気づいたんですか ?

小学校2、3年の頃かな。文章題を読んでいて、結局数式と文章は同じことを意味していて、日常にあることに置き換えると文章題になると思えたことがきっかけです。

先生、たしかに文字も記号も同じかもしれませんね。

同じなんですよ。文章を言葉で簡略化した記号が数字であり数式。その簡略化した世界だけで考える場合もあるし、具体的な事象になぞらえて考えさせるときもあります。それが一般的な算数の問題です。文章題と数式ですね。

はい。はかせ。

だから、簡略化しきったものをいかに言い換えて自分に分かるようにできるかが算数の問題を解くポイントだと言えます。

簡略化を自分でするって難しいなあ。

そうですか? ホールのケーキがひとつあって、3人で均等にわけたらひとりあたりでは何個分のケーキですか。

それなら理解ができます。

割り算なんかは簡略化しないと逆にむずかしいですね。なんて説明していいかわからないでしょう。3個に等分したうちの一個ですね。

ホールケーキを8人で分けたら1/8個です。
そんな風に考えていけばよいですか?

そうだね。まさしくそのとおりなんだけど、1/8を半分にわけると1/16なのはどう計算するかをしっかりわかっていることが重要だね。

1/8×1/2ですよね。

はい、そうです。実体験とのリンクできるかどうか、実際のことにあてはめられるかが大切です。

ふむふむ。

たまにね
1/8✖️1/2は 1/10 と間違える人います。
✖️でなくて+でも同じ間違いをしがちです。間違える理由はやみくもに数字をいじってるからです。実体験とのリンクができてないから、うまく翻訳できないのが理由です。

ホールケーキで考えたら、1/10になるわけない!

ならないですね。

1/8のケーキを半分にわけたらいくつ? ということを想像できたら間違いはすごく減ります。

想像するって大切ですね。

とても大切です 。それこそが翻訳ともいえます 。

想像力とは言いますが、算数も想像力なんですね。これは段々算数が数学になってもそうですか?

数学になってもそうです。イメージができるかどうか。3次元ではイメージできないことも出てきますが、概念のトレーニングは実体験からしてかないと身につきません。さっきも言った、「問題を実際の事象に置き換える」ことが大事です。

先生はいつもそうやって解いていたんですか? 時間が足りなくなりませんか。

ならないです。

瞬時に判断するからですか?

身に付いていればすぐできるし迷いがないので、かえってサクサク解けますよ。

これはトレーニングでしょうか 、算数には想像するトレーニングが必要……。

そうです、近道です。たくさん解いて反射でできるようになるよりも、想像する方がより近道です。なぜこうなのか? が分かるから間違いも起きないんです。

たくさん解いて反射でというと公文をイメージしました。

公文のトレーニングは理解の後のほうが効率は上がると思いますよ。

なるほど。先生少し疑問があります。言葉と記号がほぼ同義だとすると、文系だ理系だと人を分けるのはナンセンスなように思いました。

はい。実際に日本語をちゃんと使いこなすには理系的な思考は必要に思えるし、あまり意味のないことだと思います。

それなのにいわゆる理系が少ないのは、教育に問題ありですか。

そうでしょうね。ただひとつ言えるのは、どちらが得意か分かれるものではあると思います。
心理的な曖昧さを好むか、 論理的な簡潔さを好むか。

なるほど。法律の曖昧さが気になる人は理系でしょうか。

法律はまあ曖昧ですね。
理系・文系はどちら(曖昧さor簡潔さ)の側面で見るかという区切りだと思います。

算数が得意になるためには、想像することが近道ということですね。

そうです。意味を知ってそのことを想像する。それができて初めて理解したと言えると思います。理解=ことわり(理)をかい(解)するということです。

たしかに、雷が光って鳴るまでの秒数で落ちた場所の距離が分かる、というのは想像しやすいから、理解もしやすいですよね。

そうですね。しかも高速は一定、音速はほぼ一定という要素が隠されています。

隠されてますね! 子どもが得意になるために、親が心掛けることはありますか。

親御さんも一緒に想像してみたらいいのではないでしょうか。割り算はそもそもなんなのかということを以前にやりましたね。割るものの単位に置き変えるのと同じだよと。

角度とかそういうのも想像力ですか。

図形も同じです。問題として与えられたものから隠されたものを探します。そして既知の事実は使ってもよい。

ぼくのお母さんは国語の文章題を解く時、答えは全部書いてあると言うんだ。
もしかして算数も似たようなものですか?

似ているね。

探すという意味では似ているかもしれませんね。

答えは違う表現で書いてあります。

そうです、それです。同じですね、これぞ記号と言葉が≒な感じです。

ニアじゃなくてイコールでよいと思います。

算数っておもしろいかも!

先生、ではまた三学期の三者面談もよろしくお願いします。
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