どうして算数は苦手な人が多いの?

ペンギンハカセの三者面談

この記事は約6分で読めます by ペンギンハカセ

これまで4回、例題を通して算数を読み解いていきました。今回は、ペンギンの子どものお母さんも交えて三者面談を行いました。子どもを算数好きにするにはどうしたらよいでしょうか。

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先生いつもうちの子がお世話になっております。今日は色々質問をさせてください。

ペンギンの子どものお母さん(以下お母さん)

はい、よろしくお願いします。

ペンギンハカセ

ぼくもそうだけど、どうして算数は苦手な人が多いんですか?

ペンギンの子

それはね、私も知りたいです。

ペンギンハカセ

!? 

お母さん

そしたら先生はどうして算数が得意なの?

ペンギンの子

算数は言葉あそびと同じと考えているからです。暗号を解くとかクイズに近いと思います。

ペンギンハカセ

クイズー? 問題をよく読むってことですか。

ペンギンの子

問題をそのまま読んでもいきなり答えは出てきません。そこで、違う言葉や意味に変えられる場所を探すゲームと考えます。そうするとひとつひとつの数式や文章が違う意味を持つことに気づくことができます。もとの問題を段々簡単にしていくゲームという感じです。

ペンギンハカセ

前にそんな話ありましたね、はかせ。
https://303books.jp/columns/11115/

ペンギンの子

これを「翻訳」と呼んでいます。

ペンギンハカセ

そうです、翻訳です。前に翻訳の話をしてくれました。

ペンギンの子

算数は、「いかに簡単に翻訳できるか」というゲームなんです。

ペンギンハカセ

ハカセはいつそのことに気づいたんですか ?

ペンギンの子

小学校2、3年の頃かな。文章題を読んでいて、結局数式と文章は同じことを意味していて、日常にあることに置き換えると文章題になると思えたことがきっかけです。

ペンギンハカセ

先生、たしかに文字も記号も同じかもしれませんね。

お母さん

同じなんですよ。文章を言葉で簡略化した記号が数字であり数式。その簡略化した世界だけで考える場合もあるし、具体的な事象になぞらえて考えさせるときもあります。それが一般的な算数の問題です。文章題と数式ですね。

ペンギンハカセ

はい。はかせ。

ペンギンの子

だから、簡略化しきったものをいかに言い換えて自分に分かるようにできるかが算数の問題を解くポイントだと言えます。

ペンギンハカセ

簡略化を自分でするって難しいなあ。

ペンギンの子

そうですか? ホールのケーキがひとつあって、3人で均等にわけたらひとりあたりでは何個分のケーキですか。

ペンギンハカセ

それなら理解ができます。

ペンギンの子

割り算なんかは簡略化しないと逆にむずかしいですね。なんて説明していいかわからないでしょう。3個に等分したうちの一個ですね。

ペンギンハカセ

ホールケーキを8人で分けたら1/8個です。
そんな風に考えていけばよいですか?

ペンギンの子

そうだね。まさしくそのとおりなんだけど、1/8を半分にわけると1/16なのはどう計算するかをしっかりわかっていることが重要だね。

ペンギンハカセ

1/8×1/2ですよね。

お母さん

はい、そうです。実体験とのリンクできるかどうか、実際のことにあてはめられるかが大切です。

ペンギンハカセ

ふむふむ。

ペンギンの子

たまにね 
1/8✖️1/2は 1/10 と間違える人います。
✖️でなくて+でも同じ間違いをしがちです。間違える理由はやみくもに数字をいじってるからです。実体験とのリンクができてないから、うまく翻訳できないのが理由です。

ペンギンハカセ

ホールケーキで考えたら、1/10になるわけない!

ペンギンの子

ならないですね。

お母さん

1/8のケーキを半分にわけたらいくつ? ということを想像できたら間違いはすごく減ります。

ペンギンハカセ

想像するって大切ですね。

お母さん

とても大切です 。それこそが翻訳ともいえます 。

ペンギンハカセ

想像力とは言いますが、算数も想像力なんですね。これは段々算数が数学になってもそうですか?

お母さん

数学になってもそうです。イメージができるかどうか。3次元ではイメージできないことも出てきますが、概念のトレーニングは実体験からしてかないと身につきません。さっきも言った、「問題を実際の事象に置き換える」ことが大事です。

ペンギンハカセ

先生はいつもそうやって解いていたんですか?  時間が足りなくなりませんか。

ペンギンの子

ならないです。

ペンギンハカセ

瞬時に判断するからですか? 

お母さん

身に付いていればすぐできるし迷いがないので、かえってサクサク解けますよ。 

ペンギンハカセ

これはトレーニングでしょうか 、算数には想像するトレーニングが必要……。

お母さん

そうです、近道です。たくさん解いて反射でできるようになるよりも、想像する方がより近道です。なぜこうなのか? が分かるから間違いも起きないんです。

ペンギンハカセ

たくさん解いて反射でというと公文をイメージしました。 

お母さん

公文のトレーニングは理解の後のほうが効率は上がると思いますよ。

ペンギンハカセ

なるほど。先生少し疑問があります。言葉と記号がほぼ同義だとすると、文系だ理系だと人を分けるのはナンセンスなように思いました。

お母さん

はい。実際に日本語をちゃんと使いこなすには理系的な思考は必要に思えるし、あまり意味のないことだと思います。

ペンギンハカセ

それなのにいわゆる理系が少ないのは、教育に問題ありですか。

お母さん

そうでしょうね。ただひとつ言えるのは、どちらが得意か分かれるものではあると思います。
心理的な曖昧さを好むか、 論理的な簡潔さを好むか。

ペンギンハカセ

なるほど。法律の曖昧さが気になる人は理系でしょうか。

お母さん

法律はまあ曖昧ですね。 
理系・文系はどちら(曖昧さor簡潔さ)の側面で見るかという区切りだと思います。

ペンギンハカセ

算数が得意になるためには、想像することが近道ということですね。

ペンギンの子

そうです。意味を知ってそのことを想像する。それができて初めて理解したと言えると思います。理解=ことわり(理)をかい(解)するということです。

ペンギンハカセ

たしかに、雷が光って鳴るまでの秒数で落ちた場所の距離が分かる、というのは想像しやすいから、理解もしやすいですよね。

お母さん

そうですね。しかも高速は一定、音速はほぼ一定という要素が隠されています。

ペンギンハカセ

隠されてますね! 子どもが得意になるために、親が心掛けることはありますか。

お母さん

親御さんも一緒に想像してみたらいいのではないでしょうか。割り算はそもそもなんなのかということを以前にやりましたね。割るものの単位に置き変えるのと同じだよと。

ペンギンハカセ

角度とかそういうのも想像力ですか。

お母さん

図形も同じです。問題として与えられたものから隠されたものを探します。そして既知の事実は使ってもよい。

ペンギンハカセ

ぼくのお母さんは国語の文章題を解く時、答えは全部書いてあると言うんだ。
もしかして算数も似たようなものですか?

ペンギンの子

似ているね。

ペンギンハカセ

探すという意味では似ているかもしれませんね。

お母さん

答えは違う表現で書いてあります。

ペンギンハカセ

そうです、それです。同じですね、これぞ記号と言葉が≒な感じです。

お母さん

ニアじゃなくてイコールでよいと思います。

ペンギンハカセ

算数っておもしろいかも!

ペンギンの子

先生、ではまた三学期の三者面談もよろしくお願いします。

お母さん

CREDIT

クレジット

執筆
ペンギン界のアナリスト。なぜ算数が難しいと、みんなが言うのかを長年の謎とし、導いたのはすぐ解こうとすることにあると理解。問題をよく読もう!問題にヒントが隠されている。国語と同じである