夕立のアンティオキア ―パイサの生き方―

明るく元気なインダストリアルデザイナー ミチェル・カルバハル(3話)

この記事は約6分で読めます by ユースケ“丹波”ササジマ

オフィス303の元社員、ユースケ“丹波”ササジマがコロンビアの女性にインタビューしていく連載企画。今回もミチェル・カルバハルさんへのインタビューです。今回は、オフの過ごし方やコロンビアでの女性の魅力についておしゃべりしました。

ゆーすけたんばささじま
ユースケ“丹波”ササジマ

株式会社オフィス303の元社員。黒豆で有名な兵庫県丹波篠山市出身。2017年に日本を飛び出して1年ほどラテンアメリカ諸国を行脚する。現在はライターやフリー翻訳者として働きながら超低空飛行で生き延びる。

    音楽好きはコロンビアの国民性

    休みのときはどうやって過ごしてんの?

    笹島

    よくある感じだけど、買い物とかご飯食べにいったり、カラオケ行ったりだよ。

    ミチェル

    こっちのカラオケって、バーでみんなの前で歌うアレだよね? 俺はまだ経験したことないけど、他人の前で歌うのは恥ずかしくて無理だな。

    笹島

    こっちは誰もそんなこと気にしないよ(笑) べつに金とってコンサートするわけじゃないんだから、他人なんか気にしないでただ楽しんでカラオケすればいいだけじゃない?

    ミチェル

    他人がいると楽しめないんだよ(笑)

    笹島

    あとは、映画館行ったり、近くの村を散策したり、踊りにいったりだね。

    ミチェル

    こっちの人ってみんな踊れるよね。なんで踊れるの?ダンス教室とかで習うの?

    笹島

    教室とか行ったことないよ。両親が教えてくれるんだよ。うちの場合はママが踊るの好きだから、小さいころからことあるごとに「教えてあげるから踊ってみな」ってママが教えてくれたね。

    ミチェル

    なるほど。そうやって引き継がれていくんだね。

    笹島

    みんなそうやって教わるんじゃないかな。で、友達で出かけて教わったことを試してっていうのを繰り返して踊り方を学ぶっていう感じ。

    ミチェル

    踊る機会も多いし、どこでも音楽かかってるもんね。

    笹島

    ダンスってわたしたちの文化だからね。音楽ないと変な感じがするもん。エレベーター内とかシーンとしてるところにいたら、なんか足りないなって。仕事場でも誰かが音楽かけてる。

    ミチェル

    隅々で四六時中音楽かかってるもんね。だからなのか、みんな人気の曲は歌詞見なくても歌えるじゃない? あれすごいよね。

    笹島

    音楽好きすぎてずっと聞いてるからすぐ覚えちゃうのよ(笑)

    ミチェル

    ちなみに、どんな音楽踊るの?

    笹島

    バチャタとかレゲトンかな。

    ミチェル

    ※バチャタはドミニカ共和国発祥のダンス音楽。ペアで向かい合って踊る。官能的な動きが特徴。レゲトンはレゲエやヒップホップの影響を受けて生まれたラテンダンス音楽。今では日本でもわりと知られている。踊りの型らしい型はなく、音楽に合わせて思い思いに体(おもに腰)を動かして踊る。

    バジェナトとかは好きじゃないの?

    笹島

    ※コロンビア発祥のダンス音楽。コロンビアでは定番のジャンル。アコーディオンや「カハ」という太鼓や「グアチャラカ」というギロみたいな楽器がよく使われる。

    バジェナトは嫌い! なんかロマンティックな音楽好きじゃないのよねー。サルサとかも好きなんだけどロマンティックなタイプのサルサも嫌い。

    ミチェル

    そうなんだ・・・。『ロマンティックあげるよ』もたぶん嫌いだろうな・・・。

    笹島

    ※「おいでファンタジー♪ 好きさミステリー♪」のパンチラインで始まる、アニメ『ドラゴンボール』のエンディング曲。

    なにそれ?

    ミチェル

    いやなんでもないです。

    笹島
    左に視線をやるミチェルさん
    よく見るとブラジャーのヒモやカップの一部分が見えているが、日本とは違ってコロンビアではブラジャーは服の一部という認識である。そのため、上の写真のように見えていても、「セクシー」、「誘ってる?」、「はしたない」などと思われることは一切ない。

    料理できる女性 ≠ 魅力的

    ミチェルって料理とかするの?

    笹島

    そんなしないね。スープとかつくったりお米を炊いたりとかぐらいだね。

    ミチェル

    ああ、わりと基礎的なやつって感じね。

    笹島

    そうだね。前、ユースケんちに家族みんなで集まったとき、ベジタリアンハンバーグとかケーキとか作ってくれたじゃない? ああいうのは無理。スイーツとかめっちゃ難しいじゃん。難しいじゃんとかいいつつつくったことないんだけど(笑)。

    ミチェル

    いや難しくないよ。すごいテクニックを要する料理もあるんだろうけど、俺が作るのはレシピ見ながらやれば誰でもできる簡単なやつ。料理に関して聞きたいことがあるんだけど、一般的にこっちの女性って料理する?

    笹島

    しないね。子どもができたりパートナーと一緒に暮らしたりしたらすることもあるだろうけど、そうじゃなかったら基本的に料理しないんじゃないかな。お手伝いさんを雇ってるところだったら、お手伝いさんにつくってもらうだろうし。

    ミチェル

    やっぱりそうだよね。日本はわりと料理する女性が多いのよ。だから、こっちにきて、いろんな女性と話すうちに、日本とコロンビアでそういう違いがあるんだなと。

    笹島

    なるほどね。でも、なんで日本は料理する女性が多いの?

    ミチェル

    料理ができる女性は魅力的だっていう価値観があるからじゃないかな。単純に料理作るのが好きっていう人もいるだろうけど。

    笹島

    そうなんだ。こっちでは料理がうまくても、料理の才能があるんだなって思うけど魅力的っていう感じにはならないだろうね。

    ミチェル

    こっちでは、人柄とかセクシーな見た目とか、中身と外見が大事だもんね。日本でももちろんその両者って大事なんだけど、それに料理とか技能の部分も魅力の一つに加わるところが文化的な違いなのかな。

    笹島

    そうだね。ユースケにとっても料理ができる女性って魅力的なの?

    ミチェル

    いや俺は別にどうでもいいかな。

    笹島

    じゃあ、ほかに魅力的にうつるものってなにかある?

    ミチェル

    やっぱ大きくて張りがあるお尻かな。

    笹島

    いや外見じゃなくて技能的な部分で(笑)

    ミチェル

    ああ、なるほど(笑) 技能的な部分でいうとないね。靴脱いで家に上がってくれる子ならなんでもいい。こっちのくらしに適応するために自分の文化を捨ててきたけど、この文化だけはどうしても捨てられない。土足で家にあがられるのはほんとに許せない。

    笹島

    玄関に「家にあがるときは靴をぬいでください」っていう張り紙してるもんね(笑) 誰も土足であげてないんだね。

    ミチェル

    夜中に妻が体調を崩してEMIで家にお医者さんを呼んだとき、来たのが美人な女医さんだったのよ。それで「やっぱり靴脱がないといけませんかね・・・?」って聞かれたから、つい「いやー邪魔くさいでしょ?そのままあがっちゃってくださいよ!」って言っちゃって土足であがらしたことはあったね。

    笹島

    ※医師派遣サービスを行っている会社。24時間対応なので、夜中でもかけつけてくれる。診察や治療は保険内でやってくれるのでなかなかいいサービスなのだが、医師を呼んでから到着するまでにけっこう時間がかかるときがある。

    簡単に土足であげてるじゃん・・・。

    ミチェル

    出来心でつい・・・。そんなわけで今回はここまで。最終回となる次回は将来についてお話を聞きたいと思います!

    笹島
    笑顔のミチェルさん

    明るく元気なインダストリアルデザイナー ミチェル・カルバハル(4話)

    CREDIT

    クレジット

    撮影・聞き手・執筆
    株式会社オフィス303の元社員。黒豆で有名な兵庫県丹波篠山市出身。2017年に日本を飛び出して1年ほどラテンアメリカ諸国を行脚する。現在はライターやフリー翻訳者として働きながら超低空飛行で生き延びる。