夕立のアンティオキア ―パイサの生き方―

明るく元気なインダストリアルデザイナー ミチェル・カルバハル(1話)

この記事は約5分で読めます by ユースケ“丹波”ササジマ

オフィス303の元社員、ユースケ“丹波”ササジマがコロンビアの女性にインタビューしていく連載企画。今回は、デザイナーのミチェル・カルバハルさんにお話を伺いました。クリスマスの過ごし方やどについて雑談をしています。

ゆーすけたんばささじま
ユースケ“丹波”ササジマ

株式会社オフィス303の元社員。黒豆で有名な兵庫県丹波篠山市出身。2017年に日本を飛び出して1年ほどラテンアメリカ諸国を行脚する。現在はライターやフリー翻訳者として働きながら超低空飛行で生き延びる。

    クリスマスは毎年大盛り上がり

    ミチェルの名字ってなんなの?

    笹島

    カルバハル・ブイレスだよ。

    ミチェル

    初めて聞く名字だな・・・。

    笹島

    カルバハルはまあまあ多いけどね。ブイレスは珍しいかも。

    ミチェル

    名前はミチェルだけ?

    笹島

    いや、もう一個あるんだけど、そっちは響きが嫌いだから使ってない(笑)。

    ミチェル

    あ、そう(笑) じゃあミチェルだけってことで。この名前ってフランス語由来だよね?

    笹島

    そうそう。つづりは Michel ね。英語圏だとマイケルになるやつ。日本語だとどんな発音すんの?

    ミチェル

    ミッシェルだね。英語のマイケルはそのままマイケルだけど。

    笹島

    ミッシェル・・・耳慣れしない発音・・・

    ミチェル

    フランス語風日本語発音なんだからそら耳慣れしないだろうよ(笑) ノベナとかクリスマスはどうだった?

    笹島

    ※「Novena(ノベナ)」はコロンビアやエクアドルなどで知られる習慣。12月16日からクリスマスまでの9日間、家族親戚一同が集まってお祈りをするというもの。9日間毎日で家族で集まりお祈りをする家庭は多くないが、最低でも2、3回は集まって執り行う。

    楽しかったよ、家族と親戚でアギナルドをプレゼントしあってね。ママは上着を、彼氏は靴とかパジャマとか化粧ポーチとか、いとこはドレスとかくれたよ。パパはなんにもくれなかったけど(笑)。

    ミチェル

    ※クリスマスの集まりで家族や親戚に渡すプレゼント。

    パパもいろいろたいへんなんだよきっと(笑) こっちでは親類も合わせた家族みんなでプレゼントしあうからプレゼントの数もすごいよね。

    笹島

    日本は違うの?

    ミチェル

    日本は、そもそもクリスマスってカップル同士のイベントみたいなもんだから、プレゼント交換もカップル同士か親が子どもにあげるとかそういう感じ。あと、こっちは自宅でクリスマスパーティーするときものすごい音量で音楽かけるじゃない? 最初すごい衝撃だったよ。日本だとすぐ警察飛んでくるからね。

    笹島

    ほぼみんな音楽かけてるし自分の家もかけてるから気になんないのよ。もう慣れきってる、その轟音の中でも寝れるくらいに。

    ミチェル

    俺も慣れつつあるけど、まだうまく寝付けないわ。

    笹島

    朝方の5時まで音楽かけてたらさすがに近隣から苦情くるけどね。

    ミチェル

    あと、ほぼ業務用みたいなでかい花火も街中でジャンジャン打ち上げるじゃない? あれも、遠目から見たらキレイなんだけど、至近距離のやつは音がデカくてビックリする・・・。でも、花火って禁止されてるんじゃなかったっけ?

    笹島

    花火でヤケドする子どもとかペットとか野鳥が多いから禁止されてるんだけど、なかなか無くならないのよ・・・。

    ミチェル
    ミチェルさんの家のリビング
    ミチェルの家のリビング。コロンビアでは12月になると家をクリスマスツリーなどで飾る。飾り付けはだいたい1月の終わりごろまでそのままにされる。1月に入っているが、筆者の家にもクリスマスツリーがまだ飾られている。けっこう場所をとるので、妻にもう片付けようと懇願しているが「もう少しクリスマスの余韻を楽しめ!」といって取り合ってもらえない。

    アジアっぽいもの=中国

    いま住んでる地区ってベレンだよね?どこのベレンなの?

    笹島

    ※メデジンにある16個ある区のうちのひとつ。筆者もここに住んでいる。「Bélen(ベレン)」は、パレスチナにある都市のことで、日本語では「ベツレヘム」という。

    ベレン・ラス・メルセデスってとこ。

    ミチェル

    そこは安全なところ?

    笹島

    安全だよ。いつも一日中人通りがあるから、独りになって強盗に狙われることもないし。

    ミチェル

    じゃあいいとこだね。

    笹島

    ただ、うちの下がバイク工場なんだけど、そこにマリファナ大好きなキッズがよくたむろしててちょっとマリファナ臭いのがあれだけど(笑)

    ミチェル

    まぁそれくらいならね・・・(笑)。ところで、ミチェルが家族ぐるみで付き合ってる彼氏の、その妹の夫が俺なわけじゃない? 最初、日本人がその家族に加わるって聞いて、「日本人か・・・話したことないな・・・」とかならなかった? こっちにいる外国人って基本的に欧米系でアジア系って少ないから。

    笹島

    小学校のとき中国人の友達がいたんだよね。だから、日本人じゃないけど、アジア系の友達がいたから特に何も思わなかったよ。

    ミチェル

    ああ、そうなんだ。中国とか台湾から来た人はたまに見かけるね。でも、その子は中国人っていうか、おそらく中身はコロンビア人だよね。

    笹島

    そうだね。小さいころからこっちにいたみたいで、スペイン語話してるとこしか聞いたことない。ただ見た目と名前が中国ってだけで、中身はコロンビア人って感じだね。

    ミチェル

    だよね。ちなみに名前はなんていうの?

    笹島

    名前がカオリで、たしか名字が・・・

    ミチェル

    それ日本人じゃねーか!!(笑)

    笹島

    カオリって日本人の名前なの? 今知ったわ(笑) うちらそのへんの区別ができなくてね、アジアっぽいものは中国? っていう感じだから。

    ミチェル

    いやいや、中国文化とか日本文化に詳しくなかったら区別できなくて当然だよ。一般的な日本人だって、たとえばスペイン語とフランス語の区別つかない人いっぱいいると思うよ。見た目ならなおさら中国人と日本人の区別つかないだろうしね。俺も区別できないもん。

    笹島

    ラテンアメリカの国のなかでも見た目で区別すんのは無理だね。その人の言葉のアクセントでどこから来たかって予想できるけど。

    ミチェル

    ラテンアメリカなんてとくに人種が豊富だから見た目なんて当てにならないよね。じゃあ、今回はこの辺にして、次は仕事について聞かせてもらうね。

    笹島
    微笑むミチェルさん
    ミチェルの彼氏はデザイナー兼カメラマン。次回以降、こちらの写真以外にも彼が撮った写真が数枚登場する。

    明るく元気なインダストリアルデザイナー ミチェル・カルバハル(2話)

    CREDIT

    クレジット

    撮影・聞き手・執筆
    株式会社オフィス303の元社員。黒豆で有名な兵庫県丹波篠山市出身。2017年に日本を飛び出して1年ほどラテンアメリカ諸国を行脚する。現在はライターやフリー翻訳者として働きながら超低空飛行で生き延びる。