考えるひとに届けたいブックカバー『Vermin』
柏の葉 蔦屋書店でのポップアップに寄せて
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埼玉県・草加を拠点に、読書のおともをつくる書店を営みながら(現在、実店舗準備中)、町の工場と力を合わせて、オリジナルの製品を作っている『ペレカスブック』の店主・新井由木子さん。
新井さんが構想から2年をかけて作り上げた、鹿革のブックカバー『Vermin』をご紹介します。
303BOOKSの営業、フジタです。
ようやく寒くなってきた12月上旬、『Vermin』が販売されている様子を見に、柏の葉 蔦屋書店を訪れました。
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『Vermin』とは
日本語で「害獣」という意味の言葉、『Vermin』。
環境や未来について考えるひと、ひとつのものを永く使いたいひとに、届いてほしいブックカバーです。
現在日本では、生態系維持のために、年間数万頭もの鹿が駆除、廃棄されています。
たしかに生きていた鹿の命を無駄にせず、最後までいただく 。
製品として使うことで、現在より良い未来を考えていく。
害獣駆除の現場と皮革工場と革職人と、書店が挑戦するプロダクトです。
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『Vermin』ができるまでの詳しいお話は、こちらから。
柏の葉 蔦屋書店と新井さん
暮らしのコーナーに、『Vermin』のポップアップコーナーが。
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鹿革はコラーゲンの含有率が高く、やわらかな手触りが特徴です。
『Vermin』は簡単なお手入れで、経年変化を楽しんで永く使うことができ、自分だけの風合いのある革のブックカバーになっていきます。
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読むことや考えることが好きなひとのために。世界から書店が無くならないために。
そんな想いを抱えて、日々活動に取り組む新井さん。
柏の葉 蔦屋書店と新井さんは2年前、ペレカスブック制作の絵本専用バッグ『ぞうのえほんバッグ』のイベントを実施。
絵本の読み聞かせや、工作を子どもたちと行ったそうです。
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新井さんセレクト! Verminに入れて欲しい1冊
思いがたっぷりこもった『Vermin』に入れてほしいおすすめの本を、新井さんに選んでいただきました。
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『文庫手帖』(ちくま文庫)
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『Vermin』に文庫サイズのノートを入れて、手帳として。
年月を跨いで使い続けることのできるカバーは、使えば使うほどに馴染んで、風合いを増します。文庫とノートの2冊入れで楽しむこともできます。
森絵都『カラフル』(文春文庫)
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電車を乗り換える度に文庫を開く、移動時間の読書。
『Vermin』の革の紐は、鞄の中で本が開いてしまわないように。
開いたり閉じたり、移動のおともにしていただきやすい形です。
『カラフル』は、読みやすい文体、テンポよい物語の流れ、自分自身である「ぼく」の正体に急速度で迫る展開は、読み始めたら止まらない物語。
どんな世代のひとにもあった学生時代の痛みを、切なくも鮮やかに描き出しています。
若いひとにも、更に大人になったひとにも読んで欲しい一冊です。
梨木香歩『沼地のある森を抜けて』(新潮文庫)
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『Vermin』に時折見られる穴は、バクテリアによるもの。
生命に満ちた世界の命の痕跡として、『Vermin』ではこれを避けずに仕立てています。
『沼地のある森を抜けて』は、ファンタジーの体裁をとりながら、苔や粘菌、更に無性生物までの「命」「生命活動」までもを問いかける一冊。
命や環境を考えるひとに、『Vermin』からの問いかけも合わせて、楽しんでいただきたい本です。
ケン・リュウ『紙の動物園』(早川書房)
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紙の本を愛するひとへ。
電子書籍も良いけれど、紙で読むことって、やはり特別な愛おしさがありますよね。
「紙」に吹き込まれた、命の魔法の物語をお届けします。
切なくも静かで心に刺さる、SFファンタジーの巨匠ケン・リュウの珠玉の短編集です。
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柏の葉 蔦屋書店での『Vermin』ポップアップは、ひとまず年内いっぱい。
ぜひ実際に手にとって、鹿ごとに違う表情を楽しんでみてください!
オンラインでは、こちらから購入できます。
新井さんとフジタが、303BOOKSの先輩のお話をうかがうコラム、『出版社の新入社員が先輩を本屋さんに呼び出して 本のことやその他諸々きいてみる』もぜひ読んでください!
柏の葉 蔦屋書店
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